福島県玉川村川辺鉱山のモナズ石

福島県玉川村川辺鉱山のモナズ石

1.初めに

ひところ、「モナズ石」騒ぎがありましたが、いつの間にか沈静化しました。
「日本希元素鉱物」によれば、福島県玉川村川辺鉱山でモナズ石を初め各種の希元素
鉱物が採集できたとあり、希元素鉱物に詳しい福島県の石友Oさんに案内していただき
ました。
現地では時間がなくジックリ採集できませんでしたので、ズリの土砂を篩って、
土嚢袋に詰め、持ち帰って洗浄し、小春日和の陽だまりの中でジックリ選別しモナズ石の
良品を3ケ発見しました。
球状ゼノタイムや変種ジルコンなどは見つかりませんでしたが、次回以降が楽しみです。
(2001年11月採集)

2.産地

「日本希元素鉱物」の記述によれば、水郡線泉郷から南、川辺部落から丘陵を東に
1km許行くと北の谷に堀場が見える。
坑道が山道の脇に残っています。
川辺鉱山坑口

3.産状と採集方法

ここは、花崗片麻岩を貫く脈性(ところどころレンズ状に膨らんだ)ペグマタイトで、
初めは長石を採掘し、戦時中には理研がサマルスキー石を目的として小規模に採掘した
場所で坑道は余り深くありません。
坑道前のズリの土砂をフルイがけして、その中からモナズ石をはじめ希元素鉱物を採集
します。
冒頭にも書いたように、現地で土砂にまみれた中から採集するのは困難ですので、
自宅に持ち帰って、ジックリ探すのが賢明です。

4.産出鉱物

(1)モナズ石【Monazite:CePO4】
モナズ石は、セリウムを主成分とする燐酸塩鉱物で、核燃料となるトリウムを含むため、
放射能を持っています。
今回採集したものは、自作ガイガーカウンタには全く反応しないくらい弱いものでした。
従って、希元素鉱物を採集する際、助けとなるガイガーカウンタは威力を発揮できません
でした。
川辺鉱山のモナズ石【結晶形がシッカリ】

5.おわりに

(1)ここは、理研が力を入れた鉱山で、兵隊が歩哨に立ったとも聞いています。
今では、訪れるひともほとんどいないようで、ズリはほとんど手付かず状態です。
(2)次回は、ここ独特の球状ゼノタイムや変種ジルコンなどをと期待しています。
(3)鉱山からの帰り、山際に色づいたマムシ草の実があり、怪しげな雰囲気でした。
マムシ草の実
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