兵庫県大屋町加保のヒスイ

兵庫県大屋町加保のヒスイ

1.初めに

 今年が明けた2004年となっては、昨年(2003年)、我々夫婦の結婚30周年・「真珠婚」を
記念する、鉱物採集兼観光旅行として、兵庫県の石友・Nさんご夫妻に四国・中国の産地を
案内していただいた。
 夏梅鉱山での採集の後、益富地学会館編「日本の鉱物」にもある、大屋町加保のヒスイ露頭を
案内していただいた。ここではヒスイの採集はできなかったが、露頭周辺で、日本では
比較的珍しいとされる、ソーダ雲母を採集できた。
 また、20003年12月に東京・池袋で開催された「鉱物フェアー」で、加保産のコランダムが
売られており、早速購入した。
 採集旅行から帰ってきて、文献を調べて見ると、加保日城谷(ひじろだに)にはヒスイや
コランダムを採集できる場所があるようなので、いつか訪れてみたいと考えています。
(2003年11月採集)

2. 産地

 大屋市場から関宮町に抜ける峠道を1km進むと、左手に鉄格子に囲まれたコンクリート製の
シェルター様の建物があり、この中にヒスイ露頭が保護されています。
 この周辺が産地です。

   露頭【Nさんご夫妻と妻】

3. 産状と採集方法

 産状などが、露頭の脇に大屋町教育委員会が昭和52年(1977年)に建てた案内板に書かれて
いますので、引用させていただきます。【誤りと思われる箇所がありますが、原文のまま】

  『自然産状をあらわす硬玉(ヒスイ輝石)の露頭
   −本邦最初の自然産状の発見−−特記指定に値す−
    当地の硬玉は昭和46年加保日城谷で巨大な転石群として発見されたが、先に発見
   されている新潟県小滝、橋立、鳥取県角谷等の各産地同様に皆転石で母岩との関係
   不明であった。然るに昭和46年に着手の当町から関宮町に至る町道改さく工事中
   日城谷々頭に当るここで硬玉、アルビタイト等の大塊が現れたので検討の結果、正
   しくこれが自然産状を示すものと確認されると共に本邦で最初の発見であるのに鑑み
   これからの研究に資せんため防雨雪の屋根や防採の柵を施して保護を講じた。

   解説:硬石(J)或はアルビタイト(Ab)は塊状で、此地域一帯に分布するカンラン岩
   一部蛇紋化(P)中にプール状に胚胎し、そのその外側にソーダに富む角閃石類のエデン
   閃石(E)およびヒル石(V)が帯状にとりまいている。硬玉は高圧で安定な鉱物で地
   下数十キロの地殻深部の岩層(三郡変成帯)中に迸入したと思われるマントルから供
   給されたカンラン岩々漿の分化によって分離晶出し生成したものが、その後の地殻変
   動により上昇し、かつ侵食削剥されて現在眼前に見るように露出するにいたったもの
   と思われる。尚アルビタイト中に含まれるソーダ雲母(パラゴナイト)は世界屈指の
   結晶と云われている。』

       
        案内板              ヒスイ露頭
                加保日城谷産地

   露頭周辺は、角閃石が風化分解したとされる粘土に覆われており、雨に洗われた
  転石の中から、目指す標本を採集します。

4. 採集鉱物

(1)ソーダ雲母【Paragonite:NaAl2Si3AlO10(OH)2】
   曹長石の中に淡い紫色〜白色の葉片状結晶として産出する。永く風雪に晒されたものは
  表面の光沢がなくなっています。
   ソーダ雲母は、白雲母のカリウム(K)をナトリウム(Na)で置き換えたものであるが
  白雲母よりも産出は稀である。

   ソーダ雲母

(2)コランダム【Corundum:Al2O3】
   曹長石の中に、灰〜青色、半透明で産出する。

   コランダム【購入品】

5.おわりに

(1)今回、ヒスイとコランダムは採集できませんでしたが、この近くに採集できる場所が
   あるようなので、いつか訪れてみたいと考えています。
(2)兵庫県のNさんご夫妻に案内していただき、楽しく実り多かった採集兼観光旅行の
   HPを2ケ月遅れで、全部まとめることができた。
    まだ、昨年12月の採集会分が残っており、当分採集には行かず、休日には
   HP作りに専念する予定です。
   (甲府周辺の産地は、雪に覆われて、採集できそうもないし、・・・・・)

6.参考文献

1)岡本 真琴、工藤 智巳:白いヒスイ谷への招待,青山社,2003年
2)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1994年
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