さて、2008年の採集初めを、いつ、何処にしようかと迷っていると、横浜のK夫妻から
メールをいただいた。「 K川で、5.5mmの砂金を採集したので、案内します 」、との
ありがたいお誘いである。しかも、今まで訪れたことも聞いたことすらない産地なので、
2つ返事で案内をお願いした。
2008年が明けてまもなく、K夫妻と合流し、K川に沿った道を上流に向かい、マル秘
ポイントに到着した。
天気は良いのだが、日陰の沢は、パンニング皿の水が見る間に凍てつく寒さで、焚き
火を起こして、暖をとりながらの採集となった。
早々とKさんの奥さんが砂金を採集したが、当方はフルってもフルっても、砂鉄や鉄砲
玉(散弾銃弾)だけで、砂金は一向にでない。
場所を転々と代え、とある場所でようやく小さな粒が採れた。そこを深く掘った土砂を
フルってみると、時々パンニング皿に小さな砂金が残った。
結局、この日採集できた砂金は全部で、11粒だったが、新しい産地を1つ知ったのは
新しい年の初めに相応しい大きな収穫だった。
マル秘ポイントに案内していただいき、HPへの掲載も了解していただいたKさん夫妻に
厚く御礼を申し上げる。
( 2008年1月採集 )
この産地の近くには、「武田信玄の隠し湯」と称される鄙びた温泉(鉱泉)などがあり、
今でも伝説が息づいている場所でもある。
「日本鉱産誌」によれば、この産地の近くにあった金山は、第3紀砂岩・頁岩・凝灰岩の
凝灰岩中の鉱脈(石英脈)で、黄鉄鉱や黄銅鉱を伴い、鉱石1トン当たり、金(Au)50g、
銀(Ag)30gと、品位が高かったようだ。ただ、1954年(昭和29年)時点で、某氏が探鉱中と
あり、本格的に操業した記録は見当たらず、ほとんど知られていないようだ。
川の岸辺の転石の間に堆積した土砂の中に砂金が含まれている。転石をバールや
つるはしを使って移動させ、その下の土砂をスコップで掘り、パンニング皿に入れ、川ま
で運んでパンニングする。
この産地には、砂鉄が多いので、パンニング作業の終盤に磁石を用いて取り除くと
砂金を見つけやすい。Kさんは、磁鉄鉱などを含んだまま持ち帰り、自宅で「精密パンニ
ング」で砂金をより分けている。このほうが”効率”は良さそうだ。
( ”見逃し” も少ない )
(2) パンニング皿の底には、砂鉄以外に、1mm弱の微細な重鉱物が残る。その主な
ものは、「ジルコン」、「鉄礬ザクロ石」などで、花崗岩起源のものが多い。
(2)氷と炎
この日は快晴に恵まれたが日陰の産地は零下の気温で、パンニング皿を10分も
放って置くと皿の水が氷になってしまう寒さだった。
冬の採集での仕事は、先ず焚き火を起こすことで、流木を拾って燃やすと暖かく
妻などは、パンニングしているより焚き火の番をしていた時間のほうが圧倒的に
長かったようだ。