山梨県下部町岩欠のぶどう石

山梨県下部町岩欠のぶどう石

1.初めに

昔、山梨県の名産は、ぶどうと水晶と言われていました。下部町岩欠には
珪酸塩鉱物の一種である「ぶどう石」が産出する場所がある。
今回、10年ぶりに訪れ、ぶどう石などを採集することができた。
(2002年6月採集)

2.産地

国道300号線を下部町に向かって走ると、「常葉(ときわ)トンネル」がある。
これを抜け、すぐに「常葉駐在所前」の信号を右に折れ、栃代(としろ)川にかかる
「宝運橋」を渡り突き当りを右折すると、道は常葉トンネルの出口で、国道を跨ぐ
ようになる。
栃代川の上流に進むと岩欠の集落があり、ここを抜けると二又になり「有明寺入口」
バス停がありここを右に約200m行くと「杉山橋」があり、これを渡ると左側に
駐車スペースがある。
ここから急な崖を下り、橋より上流側、両岸の河原の転石が産地です。
これらは、先ほどの二又を左に行った道路の拡張工事の際に、切り崩した崖から
産出したと言われていますので、その崖付近からも採集できるかも知れません。
「杉山橋」

3.産状と採集方法

転石にぶどう石の脈があり、その晶洞部分に、球果状をした結晶の集合体が
あります。
ぶどう石の部分をハンマとタガネで掻き採ります。
岩欠のぶどう石産地

4.産出鉱物

(1)ぶどう石【Prehnite:Ca2Al2Si3O10(OH)2】
安山岩の晶洞に、濁沸石や方解石を伴って、球果状をした結晶の集合体で産出する。
白〜淡緑青〜灰色まであり、特に淡緑色半透明のものは、マスカットを思わせます。
晶洞部分には、方解石が結晶している場合もある。
岩欠のぶどう石【犬牙状方解石が共生】
このほか、玉髄(メノウ?)や濁沸石が採集できます。

5.おわりに

(1)ぶどう石を含む転石そのものが少なくなり、幻の産地になってしまう
かも知れません。
inserted by FC2 system