新潟県糸魚川市周辺のひすいと鉱物ウオッチング

   新潟県糸魚川市周辺のひすいと鉱物ウオッチング

1. 初めに

   2005年11月、大相撲11月場所が開催されていた。解説・舞の海が「 自分の
  得意の組み手や決まり手で勝ち星が何日か続くと、今日も何もしなくてもその形に
  なり勝てそうだと、錯覚して黒星を喫する 」 と話していた。
   2005年11月、兵庫県の石友・Nさん夫妻が、新潟県糸魚川市周辺でのひすい観察を
  主にした「ミネラルウオッチング」を計画してくれ、2005年に出版された松原先生の
  「鉱物ウオーキングガイド」にある小滝川上流「ヨシオ沢」でひすい採集にトライした。
  ここで、はじめて、” これぞひすい ” と呼べるものを採集できた。それは、
  「7.5kgのラベンダーひすい」と「緑色も鮮やかな翠(みどり)ひすい」であった。
   1週間も過ぎないうちに、また行けば 「ラベンダー2号」 が見つかるのではないかと
  考え、『 柳の下の2匹目の泥鰌(どじょう)』 を狙って、2週間後に訪れた。
   しかし、世の中そうそう甘くはなく、大きなヒスイは採集できなかったが、ヨシオ沢付近で
  「方解石の自形結晶」と小さな「ラベンダーひすい」、そして宮崎海岸で「ネフライト(軟玉)」
  青海川河口で小さな「白ひすい」さらに「金山谷の砂金」を採集するなどして、2005年の
  採集納めの1コマを飾ることができた。
   「ヨシオ沢」をご一緒していただいたNさん夫妻に、厚く御礼申し上げます。
  ( 金山谷がある青海町も、平成の市町村合併で、糸魚川市に併合された )
  (2005年11月採集)

2. 産地

   松原先生の「鉱物ウオーキングガイド」に詳しく書かれていますので、詳細は割愛
  します。

3. 産状と採集方法

    今回訪れた産地について、産状と観察・採集方法などを一覧表にまとめてみた。

  産  地      産  状   観察・採集方法         備     考
海岸・河口 ヒスイは波で打ち上げられたり
川上から流された砂礫の
中から稀に見つかる
 海岸線を歩き回って探す

     青海川河口付近
 糸魚川市姫川河口から
富山県宮崎海岸
(別名ヒスイ海岸)一帯が好適

 日の出前からライトで
照らして探す人もいる

 ”引き波”に要注意

金山谷 砂金が谷の砂礫層に
埋もれている
 土砂をパンニング   
ヨシオ沢@ヒスイは大きな塊が河原にあり
 転石として極、ごく稀に見られる
A沸石や方解石は河原の転石や
 林道(工事用道路)の路肩などに
 見られることがある

    川の中のヒスイ大塊
 河原の転石や路肩の岩塊を
丹念に見て回って探す
  

4. 産出鉱物

   これらの産地で観察・採集できた鉱物を紹介します。
  産 地  鉱物名   成    分    標      本     備       考  
青海川河口白ひすい
Jadeite
NaAlSi2O6 糸魚川市内のヒスイ店で鑑定
”ヒスイ”と太鼓判を押された
 ちなみに、妻の採集品
 写真をよく見ると、ラベンダーひすい
青海川河口ならあり得ること
宮崎海岸
ヒスイ海岸
ネフライト(軟玉)
Nephrite
Ca2(Fe,Mg)5
Si8O22(OH)2
 透閃石(Tremolite)
 −Actinolite(透緑閃石)系の
角閃石の一種
 繊維状結晶の集合で
ヒスイ同様強靭
 比重が3前後で手に持つと
重く感じられ、表面に独特の
しっとりした油脂感がある
金山谷砂金(自然金)
Placer Gold
(Native Gold)
Au
    採集品の一部


     全長4mm

 
ヨシオ沢ラベンダー
ひすい
Lavender
 Jadeite
NaAlSi2O6 
方解石
Calcite
CaCO3 釘頭状自形結晶の集合

 Nさんの奥さんからの恵与品

5. おわりに

 (1) 妻が青海川の河口で採集した「ひすい(?)」を糸魚川市内のヒスイ店で鑑定してもらい
    ヒスイとの判定であった。
     女主人の話では、2日ほど前、広島(?)から来た人が、宮崎(ひすい)海岸で採った
    ヒスイを鑑定してもらいに訪れた。それほど大きくはないが、女主人に「譲って欲しい」と
    言わせるほどの素晴らしものであったらしい。
     まだまだ、採れるんですね。

 (2) 甲府から糸魚川まで、ごく一部の区間高速を使い、約4時間で着く。ヒスイを求めて
    糸魚川、青海そして宮崎海岸に通いはじめた15年以上前には、大型バスが来るとすれ
    違うのもままならない悪路で苦労したが、今昔の感に堪えない。
     金曜日の夕方甲府を出て、梓川SAで夕食を食べ、22時頃には糸魚川に到着し
    翌朝、日の出と共に「ひすい探し」の1日が始まる。

 (3) 梓川SA(下り線)の「岩魚のひつまぶし」(990円)は、石焼鍋でご飯を香ばしく炊きあげ
    @そのまま、A薬味と共にBだし汁でお茶漬け風にと、3つの味が楽しめ、その上
    ボリューム満点でお奨めです。
     石川の石友・Yさんに話したところ、甲府からの帰りにトライし、「なかなかの物でした」 
    との感想が寄せられた。

    岩魚のひつまぶし

6. 参考文献

 1)松原 聰:鉱物ウオーキングガイド,丸善株式会社,2005年
 2)宮島 宏:とっておきのひすいの話 増補改訂版,フォッサマグナミュージアム,2004年
 3)松原 聰:日本産鉱物種,鉱物情報,1992年
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