山梨県韮崎市「石塊(いしくれ)館」の鉱物

山梨県韮崎市「石塊(いしくれ)館」の鉱物

1.初めに

「山梨地学」のバックナンバーを読んでいると、山梨県で唯一、私設の化石・鉱物博物館
「石塊(いしくれ)館」が紹介してあり、早速訪れた。
この博物館は、韮崎市で石材加工業を営む村上昭仁氏が、化石や鉱物を通して
子ども達に自然の素晴らしさを知ってもらい、自然や環境を大切にして欲しいと願い
込めて、平成6年4月新社屋建設にあわせてオープンした。
入館は無料で、見学する場合、事前に電話で申し込むと良いでしょう。
TEL:0551-25-5310
(2003年2月訪問)

2.場所

韮崎市中田町中条945番地にあり、韮崎ICで下り、141号線を清里に向かって約3km走ると
141号線に平行して走る旧道があり、ここを100mも行くと左手に「村上石材」がある。
建物入口には、高さ2mもあるペグマタイト塊がデ〜ンと据え付けてあり、建物の一角が
博物館になっている。
石塊館展示

3.石塊館のあらまし

3.1 展示内容
展示内容は、次の通りである。
(1)岩石
(2)化石
村上氏とお子さんが採集した木の葉化石を始め、爬虫類の化石まで展示してある。
リニア実験線のトンネル工事で発見された帆立貝化石の大きな塊は、地元山梨県ならでは
のものです。
(3)ふるさと(中田町)の生い立ちコーナ
およそ70〜50万年前の八ヶ岳や茅ケ岳の火山活動や、10〜5万年前に塩川の浸食作用で
つくられた河岸段丘など、地元中田町の地形の成り立ちがパネルで解説してあります。
(4)鉱物
村上氏自身で採集した山梨県の鉱物や購入したものなど、約200点が展示してある。
@水晶
やはり、産地が近いだけに、山梨県特産の水晶標本が目に付きます。

     金峰山産水晶トッコ      増富産水晶

     甲武信産緑水晶
A塩山ミカゲ
石材業だけあり、塩山市の北方、裂石地区で産出した「塩山ミカゲ石」の晶洞部分に
緑泥石と黄鉄鉱がついたものが展示してあります。
塩山ミカゲの晶洞
B地元の特産鉱物
産地が近い、「信濃境の角閃石」や「ホッチ峠の饅頭石」なども展示してあります。

     信濃境の角閃石    ホッチ峠の饅頭石

4.おわりに

(1)山梨県には、鉱物や宝石関係の展示施設がいくつかありますが、ほとんどが営利を
目的としたもので、「石塊館」のように、個人でしかも入場無料のボランティアで運営されて
いるのは、貴重な存在です。
(2)村上氏は、展示室の拡充も計画されていると伺いましたので、展示標本の寄贈などで
サポートできればと考えています。

5.参考文献

1)口野 道男;石と化石と鉱物の博物館(村上石材・石塊博物館),山梨地学第37号,1995
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