2002年4月福島県石川町塩の平の鉱物

2002年4月福島県石川町塩の平の鉱物

1.初めに

日本の3大鉱物産地は、「蛭川」「田上山」そして「石川」といわれ、中でも石川地方は、
結晶が大きい事で有名です。
福島県石川町では、1910年代(大正)から昭和40年ころまで、ガラスや陶器の釉薬の
原料になる石英、長石を盛んに採掘した。それらに伴って、電気石、石榴石や
希元素鉱物も採集でき、多くの採集人が集まり、賑わったようです。
しかし、今ではそれらの採掘場のほとんどが、埋立てられたり、水田の下に埋もれ
たりして、実際に採集できる場所は少ないのが実態です。
しかし、最近の宅地開発や道路建設などで、ヒョッコリとペグマタイト脈が顔を
出す事があり、油断ができません。
石川町は、私の寮から約2時間の位置にあり、東北地方の採集の行き帰りに、休憩を兼ねて
立ち寄る事にしています。
今回は、石川町野木沢地区での採集の行きに立ち寄り、頭付き電気石や鉄バン柘榴石などを
採集した。
(2002年4月採集)

2.産地

常磐道の「那珂IC」から、349号線で北上し、里美村の妙見山を右に見て、福島県の
矢祭町を過ぎ、118号線に入り棚倉町、浅川町を通って石川町に入ります。東北道からの
アクセスも良いと思う。
石川町の珪長石採掘場所は、水郡線の野木沢駅といわき石川駅の周辺に多く、猫啼や
南山形などにもあった。

石川町の地質と鉱山
【石川の鉱物と岩石-民俗資料館-】
今回訪れたのは、塩の平地区で、118号線沿いの、土取場跡を造成した場所です。

石川町の造成地

3.産状と採集方法

ここは、典型的な花崗岩ペグマタイト脈ですので、文象花崗岩の内側にある長石の
巨晶帯やこの内側の石英帯に各種の鉱物がある。
ここを、タガネとハンマで掘りながら、採集するが、脈に亀裂が走っており、バールなどで
こじりながら掘れば、比較的楽です。
残念ながら、晶洞性ではないので、水晶などは採集できません。

露頭【頭付き電気石が見える】
また、柘榴石などが集中して散乱している場所がありますので、表面採集でも、
良いものを発見できる事があります。

4.産出鉱物

(1) 鉄電気石【Schorl;NaFe3B3Al3(Al3Si6O27)(OH)4】
黒色柱状で縦に条線があるのが特徴です。大きな物は、径5cm、長さ20cmを
超えるものも希ではありませんが、ボロボロなものが多い。
しかし中には、結晶がしっかりし、頭付きのものもあります。
鉄電気石【頭付き,2cm×6cm】
(2) 鉄バン石榴石【Almandite;Fe3Al2(SiO4)3】
ここの鉄バン石榴石は、塊状や結晶していても赤錆びているものが多いのですが、
中には、結晶の形もしっかりして、味わいのあるものがあります。
鉄バン柘榴石

5.おわりに

(1)石川町には町立歴史民俗資料館があり、この地域で採集された鉱物が一堂に
展示してあり、一見の価値があります。
展示品の中には、故桜井 欽一博士が金田川で採集した「砂金」もあります。
石川町の鉱物に関する各種の文献も販売している。
入館は無料で、入館者に配る小冊子「石川の鉱物と岩石」には、石川地方で
産する殆どの鉱物、岩石がカラー写真で掲載されており、これを読むだけでも
楽しい。
開館は9:00ですが、閉館が16:00と早いので、注意が必要です。

6.参考文献

1)野木沢宝物探し研究会編:鉱物の里 のぎさわ,ホワイト,1999.11
2)石川町観光課,歴史民俗資料館:石川の鉱物と岩石
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