悪路を、車の底を擦らない様、注意深く走り、入口の国道から河又(こうまた)まで
約15分で産地に到着します。
この産地を何回も訪れて、眼が慣れているNさんの奥さんは、いとも簡単に
「金紅石(ルチル)」「透緑閃石」の良品を次々と発見する。
こちらは、母岩がどのようなものか分からず苦戦。それでも、「ルチル」「菫泥石」
「透緑閃石」「チタン鉄鉱」など、代表的な標本は一通り採集できた。
車に戻ると、妻が「こんなのが、あった。」と差し出したのは、立派な母岩付きの
「鉄礬ザクロ石」であった。道路の脇で、ダンプに踏み割られて、結晶面が無傷で
出たものらしい。
(2)緑閃石【Actinolite:Ca2(Fe,Mg)5Si8O22(OH)2】
角閃石の一種で、灰緑色・針状結晶の集合体で産する。放射状になることがあるので
光線石とも呼ばれることがある。
変成の最後に、輝石から変化するといわれている。
(3)ルチル(金紅石)【Rutile:TiO2)】
角閃岩を切る石英脈の中に””赤褐色、半透明、四角柱状結晶”で産する。
永い間に、表面が錆びて、鉄錆色を呈しており、短柱状結晶の場合、”武石”と
間違い易い。金紅石は、鋭錐石、板チタン石と同じ化学成分をもつ同質異像の
関係にあり、ここでは、ルチルだけが採集できる。
Nさんの奥さんが採集した良品を恵与いただいた。
(4)チタン鉄鉱【Ilmenite:FeTiO3】
白銀色の箔状〜葉片状で産出する。外観は、赤鉄鉱(鏡鉄鉱)と似ているが
チタン鉄鉱の小片は、強い磁石に吸引するので、赤鉄鉱と区別できる。
チタン鉄鉱の回りには、ルチルがくる可能性が高いので注意が必要です。
(5)鉄礬ザクロ石【Almandine:Fe3Al2(SiO4)3】
赤褐色の12面体結晶が片岩の中に点在しています。結晶の大きなものは
5cmちかいものもあるが、変成岩の中のザクロ石の宿命で、角が丸まって
ひび割れも多く、美しいとは言い難い。
むしろ、1cm以下の小さなものに、美しいものがあります。
(6)菫泥石【Kaemmererite:クロムを含む緑泥石】
菫泥石はクロムを含む緑泥石の一種で、チタン鉄鉱に伴い、紫(菫)色の
雲母に似た外観で産出する。
菫泥石の塊状のものは、鮮やかな菫色で、”菫泥石”と名付けられた理由が
納得できます。
(7)クロム雲母【Fuchsite:K(Al,Fe、Cr)2(SiAl)O10(OH)2】
クロムを含む雲母で、クロム鉄鉱に伴い、鮮緑色の薄片状外観で産出する。