松原先生の「日本の鉱物」に、地図がありますので、掲載は見合わせていただきます。ただ
この本に『 20分ほど登るとズリが見える 』、とありますが、私の足でも30分〜40分かかっ
た。(推して知るべし)
「福島県鉱産誌」に、『 鉱床は、高畑山の急斜面を刻蝕して東流する幽澤、鍋澤、大澤の
3支流を南北に貫き、花崗岩巨礫に富む第3紀礫岩および角礫岩中に発達する網状石英蛍石
脈で、幅0.1〜2.0mあり、延長は500m以上にわたっている 』
沢の水面より約50〜70m上に数本の坑道が残っており、その前の斜面にズリ石が
堆積している。
3.2 採集方法
採集方法は、次のいずれかである。
(1) 坑道内で、蛍石石英脈を探し、タガネとハンマで、晶洞部分にある自形結晶を含む部分を
そっくり掻き取る。
(2) 坑道内の床面にある蛍石石英脈を含む転石の晶洞部分を欠きとる。
(3) 坑道の前のズリの表面採集やズリを掘り、蛍石を探す。
Mさんと私は(1)(2)、私の妻は(3)でしたが、どちらでも良品が採れる。
蛍石の表面から針状の水晶が生えていることから、蛍石が生成した後に、水晶の元となる
熱水が浸入してきたと考えられる。このような蛍石の角部はやや丸味を帯び、熱水の影響
で溶けたのだろう、と考えている。
蛍石にミネラライトを照射しても、明瞭な蛍光を示さないので、坑道内での探鉱にミネラ
ライトは威力を発揮しなかった。
(2)水晶【Quartz Crystal:SiO2】
石英脈の晶洞部分には細かい針水晶が族生している。坑道の特定の部分には、蛍鉱山とし
ては比較的大きな2cmを超えるものが見られる。
表面を褐鉄鉱に覆われているものは、蓚酸処理すれば、見違えるようにきれいになる。
ここでは、「松茸水晶」を採集した。
(2) 「福島県鉱産誌」には、今回訪れた「幽沢」以外にも「鍋澤」「大澤」にまで鉱床は延び
ていて、3ケ所で採掘した、とある。
2回目の採集行でMさんと探査したが突き止めることができなかった。これらの産地の
探索が今後の課題である。
(3) 「日本の鉱物」にもあるように、蛍鉱山の針水晶をうっかり素手でつかむと、手指に刺さ
り、”チクチク”と痛む。
必ずゴム引きの軍手やゴム手袋を使用することをお勧めします。