2009年4月 北陸ミネラル・ウオッチング

         2009年4月 北陸ミネラル・ウオッチング

1. 初めに

   『石無県』・千葉県の単身赴任先から『山梨県』に戻ってきて、もうすぐ1ケ月になろう
  としている。
   ミネラル・ウオッチングは地元・山梨県や近場の長野県だけだったが、久しぶりに遠出
  してみたくなった。

   春 → 新緑 → 緑 → 翡翠(ヒスイ) 、 そうだ北陸・日本海方面に行こうと、妻と
  相談がまとまった。翡翠採集に詳しい、兵庫県のNさん夫妻に連絡したところ、2つ返事
  で案内していただけることになった。

   今回訪れた産地は次の通りである。

    @ 新潟県糸魚川市周辺のヒスイ採集、金山谷のヒスイ探し
    A 富山県宮崎海岸でのヒスイ採集
    B 石川県尾小屋鉱山(金平金山)の紫水晶・緑鉛鉱の採集
    C 福井県美山町赤谷鉱山の自然砒
(われわれ夫婦のみ)

   土曜日の朝、山梨を発ち、中央道→長野道→上信道→北陸道「糸魚川IC」まで一筆で
  高速料金1,000円はありがたかった。
   ただ、この週末は終日雨が降り続き、時折台風並みの強い風雨となり、”晴れ男”
  看板を下ろさざるを得なかった。

   それでも、Nさんの奥さんは、「宮崎海岸のヒスイ」「金平坑の紫水晶」の素晴らしい
  標本をシッカリと採集するなど、流石(さすが)だった。
   私も、おこぼれに預かり、何とか標本に加えられそうな「金平坑の紫水晶と緑鉛鉱」を
  採集できた。

   Nさんの奥さんが予約してくれた小松IC近くのホテルで、熱めの天然温泉につかった
  後、途中「徳光ハイウェイオアシス」で買った干物をつまみにビールを飲むと一日の疲れ
  が吹き飛んだ。新鮮なトロ、ウニ、イクラ、甘エビなどが一杯載った海鮮丼(950円)も絶
  品だった。
   持ち寄ったお酒を飲みながら、最近入手した標本を奥さんプレゼントし、談笑している
  と消灯時間だった。

   2日目は、1日目よりも天気が悪く、台風並みの風雨だったので、午前中で切り上げ
  北陸道「尼御前SA」で昼食のあと、6月のミネラル・ウオッチングでお会いするのを約束
  しNさん夫妻とお別れした。

   私たち夫婦は、福井→高山→松本経由で、その日のうちに山梨に戻るつもりで途中
  近況を調べに『金平糖状自然砒』で有名な赤谷鉱山に立ち寄ったところ”ヤッター”
  状態になり、翌日も続ける羽目になった。これについては続報したい。

   これも、Nさん夫妻のお蔭と、厚く御礼を申し上げる。
  ( 2009年4月採集・観察 )

2. 金山谷の鉱物観察とヒスイ探し【第1日】

 (1) 糸魚川市(旧青海町)に集合
      土曜日の朝、山梨を発ち、中央道→長野道→上信道→北陸道「糸魚川IC」まで
     260kmを一筆で行くことにした。以前は、豊科ICでおり、下道を走ると距離は40km
     くらい短いのだが、運転が楽で安全な高速を使うことにした。
      糸魚川ICを出るときに、料金を確認すると『割引 1,000円』、と表示されたときは
     感激し、記念写真を撮った。

      高速料金『1,000円』

     N夫妻との集合場所、青海川河口近くの駐車場に着くと、Nさんの新車は停まって
    いるが夫妻の姿が見当たらない。直感で、”集合前の採集”だなと感じて、海岸を
    見るとヒスイ探しをしているN夫妻がいた。

      ”集合前採集”のN夫妻

     こちらの姿に気付いて、すぐに戻ってきた。挨拶もソコソコに、今日のスケジュール
    を打ち合わせる。
     2年前、Nさんが素晴らしいヒスイを採集した「橋立ヒスイ峡」の上流に行くことにし
    た。

 (2) 橋立ヒスイ産地
      ここは、「橋立ヒスイ峡」の上流にあり、採集禁止にはなっていない場所だった。
     しかし、前夜からの雨で青海川は増水し、簡単に向こう岸に渡れそうもない。
      この近くで、妻が一度も訪れたことがない「金山谷」の新鉱物観察に出かけるこ
     とにした。( 今まで妻は訪れるチャンスは数回あったがいつも車で待機 )

 (3) 金山谷でのヒスイ探し
     私にとってここは、2年ぶりだったが道はさほど荒れていなかった。それでも、所々
    危険な断崖の上をロープや木の根にすがって金山谷の奥を目指す。
     山野草の好きな妻にとって、ルート沿いの崖にへばりつくように咲いている「イカリ
    ソウ」など、十分眼を楽しませてくれ、恐怖心をいくらか和らげてくれたようだ。

        
       足がすくむ崖の上             イカリソウ
                 金山谷へのルート

     やがて、草下先生の「鉱物採集フィールドガイド」の写真でお馴染みの、曹長石
    (アルビタイト)の巨岩が見えてきた。

      曹長石巨岩

     金山谷は、「奴奈川石(ストロンチア斜方ジョアキン石)」、「青海石」等をはじめ
    新鉱物が多数発見された、有名な場所である。
     この上流には、「橋立金山」があり、川では砂金も採集できる。以前、橋立金山を
    訪れたときすれ違った人から、さらに上流でヒスイが採れる、と聞いたので、川原で
    拾えるかと頑張ってみたがダメだった。

 (4) 「親不知ピアパーク」の巨大ヒスイ
      雨脚も強まり、早めに金山谷から引き上げ、「親不知ピアパーク」で、この地名物
     の熱い「タラ汁」(650円)を食べながら昼食にした。

      タラ汁【赤いのはオプションの七味】

      暖かい食事を摂って人心地ついたので、ここの「ひすい館」にある巨大ヒスイを
     見ることにした。
      このヒスイは、もともと「橋立ヒスイ峡」にあったものだが、盗掘が激しく、保護する
     ため、ここに移設し展示することになったらしい。
      重さが数十トンもある巨大なもので、上のほうに橋立のヒスイ特有の「ラベンダー
     ヒスイ」部分が見られる。

 (5) 宮崎海岸のヒスイ探し
      国道8号線を南下、新潟県から富山県に入ると右手はヒスイ海岸とも呼ばれる
     宮崎海岸だ。海岸に行くと、数人の人々が手に袋を持って、下を見ながら海岸を
     行ったり来たりしている。われわれもその仲間に加わった。

      鵜の眼・鷹の眼で探すが・・・・・

      何年経ってもヒスイ拾い素人の私は、冒頭にも書いた通り『 ヒスイ = 緑 』
     の意識が抜けなくて、ついつい緑系を追いかけてしまう。その結果、拾ったものを
     ベテラン・Nさんの奥さんに鑑定してもらうと、「キツネ石」と「ネフライト(軟玉)」だけ
     だった。

        
             キツネ石         ネフライト(軟玉)
                  宮崎海岸の採集品

      Nさんの奥さんからのメールでは、奥さんはシッカリとヒスイを2つ採集していた
     とのこと。流石!!

 (5) 小松の夜は更けて
      雨は一向に止む気配もなく、風も強まってきたので、石川県小松市の今夜の宿
     に向う。「朝日IC」から北陸道にのり、「徳光ハイウェイオアシス」で今夜のつまみと
     夕食そして金沢土産を購入。加賀藩ゆかりの菓子、金箔工芸品そして九谷焼など
     ほとんどが揃っている。
      夕食に「海鮮丼」(950円)を購入、これが正解だった。

      小松IC出口から200mにあるNさんの奥さんが探してくれたホテルに到着し、先ず
     は熱い風呂を浴び、芯まで冷えた身体を温める。天然温泉というだけあって、大浴
     場のお湯が少し”塩味”なのは海に近いせいだろう。

      Nさんの部屋にお邪魔し、宴会+夕食会+標本玉手箱が始まった。「徳光ハイ
     ウェイオアシス」で買った糸より鯛の干物をつまみに冷えたビールを飲むと一日の
     疲れが吹き飛んだ。

      小松の夜は更けて

      新鮮なトロ、ウニ、イクラ、甘エビなどが一杯載った海鮮丼(950円)も絶品だった。
     持ち寄ったお酒を飲みながら、最近採った「輝水鉛鉱入り水晶」などの標本を
     奥さんプレゼントし、談笑していると消灯時間だった。

3. 紫水晶、緑鉛鉱を求めて【第2日】

 (1) 金平の紫水晶と緑鉛鉱
     翌朝、7時からホテルで無料の朝食を食べる。外は台風並みの雨と風だ。完全に
    ”晴れ男”の伝説は破られてしまっている。

     予定通り、金平坑を目ざす。金平を訪れるのは、丸2年ぶりで、砂防ダムの建設が
    終り、かつての一部の産地は消滅していた。古い産地の紫水晶や緑鉛鉱が採集で
    きた場所も、ほとんどが掘り返されている。

     尾根附近で紫水晶の採集を始める。なかなか出てこない。何箇所かポイントを変
    えながらズリを掘るとようやく金平らしい紫水晶が出てきた。

      ズリのN夫妻

     一足先に緑鉛鉱ズリの土砂を土嚢袋に入れ沢まで運び、パンニングすると群晶と
    10mm近いのを筆頭に、かなりの量の分離品を採集できた。

        
        紫水晶              緑鉛鉱群晶
                金平の採集品

 (2) また会う日まで
     お昼近くになり、これで引き上げることにした。北陸道にのり、「尼御前SA」で昼食
    を摂ったあと、6月のミネラル・ウオッチングでお会いするのを約束し、N夫妻とお別れ
    した。12:30だった。
     われわれは、福井県美山町赤谷鉱山を訪れるべく、「福井IC」を目ざし、強風の中
    車を走らせた。

4. おわりに

 (1) 『 毎日がMWデー 』
      Nさん夫妻と小松市のホテルで談笑しているとき、Nさんが今年6月一杯で無事
     定年退職を迎える、と聞いた。

      金平での採集の後、昼食を食べながら、Nさんが「 この海の荒れ具合だと今夜
     は宮崎鉱泉に泊まって、名物のタラ汁を食べて、明日の朝早く海岸に行くとヒスイ
     の良いのが採れそうですね 」、と言った。

      われわれ夫婦はそれでも構わないのだが、あと2ケ月あまり宮仕えがあるNさん
     は今日中に自宅に帰らなければならない。
      早く、『毎日がMW(ミネラル・ウオッチング)デー』になるのをお待ちしている。

 (2) 金平の新産地
      何年か前、遊泉寺銅山で採集していたとき、いつものように妻は車で待っていた。
     地元の人が近づいてきて「何してるの?」と聞かれたので、「紫水晶を探している」
     と答えた。すると、その人が、「ここでも紫水晶が採れる」、と妻の手帳に地図を書
     いてくれた。
      今回、そこを探索する予定だったが、あまりの悪天候なので次回に延期すること
     にした。

 (3) 福井県赤谷鉱山の近況
      私たち夫婦は、福井→高山→松本経由で、その日のうちに山梨に戻るつもりで
     途中、近況を調べに『金平糖状自然砒』で有名な赤谷鉱山に立ち寄った。すると
     ”ヤッター”状態になり、『 毎日がMWデー 』の気楽さで、さらに一泊し、翌日も
     続ける羽目になった。これについては続報したい。

      これも、Nさん夫妻のお蔭と、厚く御礼を申し上げる。

5. 参考文献

 1) 草下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1988年
 2) フォッサマグナミュージアム編:よくわかるフォッサマグナとひすい
                       同ミュージアム,2003年(?)
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