日立鉱山の電気石

日立鉱山の電気石

1.初めに

石友のYさんご一家を案内して、日立鉱山のズリへ菫青石を採集に
行った。
数日前の天気予報とは大違いの快晴で、陽だまりのズリでは、採集していると
汗ばむ程で、Yさんご一家もそれぞれ自力で菫青石を採集できた。
私と同行のMさんは既に前回菫青石をゲットしており、余裕の採集で、
Mさんが、ズリを歩き回り、鉄電気石を採集してくれた。
(2002年2月採集)

2.産地

常磐道日立中央ICでおり、日立有料道路(100円)を通り日立市街に
向かうとT字路になる。ここを右折して進むと、右手に東洋一といわれた煙突
(今は、根元の部分しか残っていない)をもつ、日立鉱山精錬所がある。
日立鉱山精錬所
ここを過ぎ、さらに登って行くと、左手に「日鉱記念館」がある。
「日鉱記念館」
さらに「きららの里」を目指して登って行くと頂上に「本山トンネル」がある。
トンネルを抜けると左手に大きな駐車スペースがあり、ここに車を止める。
駐車スペースの南側に旧道が残っている。入口には、ごく最近頑丈なゲートが
取り付けられた。これを登っていくとトンネル(「フィールドガイド」にある
トンネルだが今は入口が塞がれている)がある。
トンネルの手前を右にはいる道が「高鈴山ハイキングコース」になっており、
ここを約100m行くとゲートがあり、そこがズリ入り口である。
ここから、轍のある広い道を約100m進むと、左側の斜面一帯が日立鉱山の
ズリである。ちょうど、「日鉱記念館」の裏手になっている。
日鉱記念館の縦坑のやぐらが真下に見え、V字の谷間から遠く太平洋が
見える場所です。
もう1つの行き方は、国道349号線から、「きららの里」を目指して登って行くと頂上に
「本山トンネル」がある。
Yさんご一家は、私のHPを見て約1ケ月前にここを訪れたのですが、菫青石のポイント
よりも、20mほど北側で採集したため、採集できなかったようです。

3.産状と採集方法

日立鉱山は、別子銅山と同じように含銅硫化鉄鉱(キースラガー)鉱床を採掘し
菫青石は含銅硫化鉄鉱床を切るペグマタイト質石英脈に産出する。
白雲母混じりで、粗粒の白い石英を含むズリ石の表面を観察すると菫青石が
付いていることがある。
大きな石英脈は、割ってみると中から現れることもある。
菫青石の表面は、緑色のピニ雲母に覆われている場合もあるし、紅柱石と共生する
ようなので、緑や赤紫がかった部分がある粗粒の石英脈が有望である。

   左:Yさんの奥さんと”博士”   右:”博士”と私

4.産出鉱物

(1)菫青石【Cordierite:(Mg,Fe,Mg)2(Al,Fe)4Si5O18】
斜方晶系であるが、面角が60度に近いので、反復双晶をなす場合、六方晶の
ように見える。結晶の形は、多様なので、怪しいと思ったら持帰った方が良い。
日立鉱山の菫青石【結晶長さ13mm】
(2)鉄電気石【schorl:NaFe3Al6(BO3)3Si6O13(OH)4】
真っ黒い柱(針)状結晶の集合で産出する。茨城県の太平洋岸沿いには、
ここ日立鉱山から、花園山にかけて、鉄電気石を産出する地域がある。
その間に、点々と苦土電気石の産地がある。
日立鉱山の電気石

5.おわりに 

(1)今回、石友の高橋さんは、仕事の都合で参加できず、残念でした。
ズリを掘っていると、冬眠中の”長いもの”を起こしてしまった。
(”長いもの”が苦手で、以前日立鉱山のズリに来て、2匹前を横切ったので、
採集せずに引き返したという高橋さんが居合わせたら・・・・・・)
(2)ズリは、陽だまりで、この時期でも、採集していると汗ばむほどでした。
春の訪れを告げるかのように、寒椿が可憐な花をつけていました。
日立鉱山ズリの寒椿
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