区分 | No | 標本 | 産地 | 備考 *印:他産地代用可 |
50種 | 5 | 方鉛鉱(八面体と六面体の集形) | 秋田県太良鉱山 | 9 | 黄銅鉱(三角式結晶) | 秋田県荒川鉱山 | 19 | ルチル | 徳島県眉山 | 30 | 荒川石(ベスジェリ石<原文のまま>) | 秋田県日三市鉱山 | 33 | 苗木石(変種ジルコン) | 岐阜県苗木 | 38 | 褐簾石(花崗岩中の結晶) | 京都府白川 | 45 | 灰鉄輝石(結晶) | 大分県尾平鉱山 | 番外 | @ | 手稲石 | 北海道手稲鉱山 |
このリストを改めて眺め直して、下記の条件で”自力採集できそうなもの”をピック
アップしてみた。
(1)産地が私の住む山梨県に比較的近い。(採集に要する時間、交通費などを考慮)
(2)現在でも産地が健在の可能性がある(閉山して久しい、古い鉱山ではない)
その結果、真っ先に候補に上ったのが『岐阜県苗木の苗木石』であった。
空梅雨(からつゆ)の暑い日ざしの下、2日間粘って、ようやく”3粒”の苗木石を
採集することができ、産地が健在であることを立証できた。
(2005年6月採集)
@マラコン【Malacon】・・・・・・・水の著量を有す
Aアルブ石【Alvite】・・・・・・・・ベリリウムを特に多く含む
Bシルト石【Cyltolite】・・・・・・希土類元素の著量を含む
C苗木石【Naegite】・・・・・・・・希土類元素および土酸元素(即ちニオブ、タンタル)の
著量を有す
D山口石【Yamaguchilite】・・・希土類元素およびリンの著量を含有す
同書には、『岐阜県苗木地方 の変種ジルコンは中津川市苗木、福岡村高山、蛭川村滑
などのスズ石の漂砂鉱床に苗木石を産する』とあり、中津川市から恵那市一帯で産する
ものであれば”苗木産”と称して良いだろう、と勝手に判断した。
更に、同書には、北は北海道から南は佐賀県までの変種ジルコン産地84箇所が記載されて
おり、産出量の多い16産地の1つとして、『岐阜県苗木地方(福岡村木積沢の砂鉱に多し)』
とあり、ここを訪れることにした。
鉱物 | 比重 | 備 考 | 錫石 | 7.0 | 苗木石 | 約4.1 | 錫石の約1/2の比重しかない | トパーズ | 約3.6 | 石英・長石 | 約2.7 | 土砂の99%以上を占める |
今回採集した3つの標本、特に中央の”束状”になったものは、上記の苗木石の特徴を
良く示している。
苗木石の形態
自作の”ガイガーカウンター”を近づけると、1分間に15カウント程度を示し、自然放射能の
約10倍程度の強度である。
(2)その他、私のHPの別なページにもあるように、希元素鉱物として「モナズ石」「ジルコン」そして
「フェルグソン石」などが採集できた。
鉱物 | 採集量 | 重量比率 | 備 考 | 錫石 | 80g | 74ppm | はかりで計量 | 苗木石 | 約0.5g | 0.4ppm | サイズと比重から計算 | トパーズ | 18g | 17ppm | はかりで計量 | 水晶 | 20g | 19ppm | 頭付きのみ・はかりで計量 | その他希元素鉱物 | 約0.1g | 0.1ppm | 概算 | 土砂の総量 | 約1,080kg | ≒100% | 体積と比重から計算 |
「苗木石」は土砂の中に0.4ppmという微量しか含まれていない。”場所による当り外れ”は
あるにしても、この数字は大きく動きそうにない。
スズ石に比べ、重量で1/160、(体積では1/94 になる計算)の産出量しかなく
まさに”稀産鉱物”である。
スズ石を砂鉱として工場規模で採掘していた頃には、それに伴って各種の希元素鉱物が
比較的簡単に入手できたと思われるが、個人がパンニングによって採集するのは
並大抵の苦労ではない。
(砂金であれば、同じ量の土砂から10g前後採集できる筈)
改めて、「苗木石」が選ばれた理由を実感できた。
(2)今回、1粒でなく”3粒”採集できたのは、大きな意味があった。
もし、1粒だけだったら、”後にも先にも、これ1つしか採れない”と考えるしかなく
途中で何度止め様かとも考えたが、”もう一粒、もう一粒”と頑張ってみた甲斐があった。
それだけに、この3粒の苗木石には、愛着ひとしおである。
(3)両氏による資格審査基準は、次の通りです。
@全部あれば一流コレクター。
A70%以上なら、立派なコレクター。
B30〜50%では、まだまだ努力が足りない。
C30%以下では、コレクターという資格はない。
今回、「苗木石」を自力採集し、47種を揃えたことになり、達成率は 47/54=87%と
ようやくAの仲間入りでしょうか。
あなたは、どのグループですか?