塩山市平澤のチタン鉱物と希元素鉱物

塩山市平澤のチタン鉱物と希元素鉱物

1.初めに

 山梨県の代表的な鉱物の1つに、塩山市平沢の氷長石と板チタン石があります。
それらの採集結果については、既に何回か、HPに記載してあります。
 平沢での採集会の後、平沢では、「板チタン石」や「ルチル」など既報の
チタン鉱物以外に「クサビ石」などが採集できるとの情報を得て、何回か
訪れた。  チタン鉱物の「ルチル」、「クサビ石」や「竹森の苦土電気石」に似た電気石や
希元素鉱物の「燐灰石」も採集した。
 ここでは、希元素鉱物の「モナズ石」のほか、砂金などが採集できるとの情報もあり
引き続き探索してみたいと考えています。
(2003年6月採集)

2.産地

 塩山市北方には、竹森の水晶山をはじめ、平澤のほかにも、鈴庫鉱山など
初心者から研究者まで鉱物産地として名前が知られた産地があり、この産地も
その一角にあります。

3.産状と採集方法

 花崗岩の中の晶洞部分や、石英、長石に富むペグマタイト部分にチタン鉱物や
各種のペグマタイト鉱物が晶出しています。
 従って、母岩の中のペグマタイト脈を捜し、晶洞部分を掻き取り、採集します。
産地

4. 採集鉱物

(1)クサビ石【Titanite:CaTiSiO5】
   晶洞の中に、輝きの強い黄褐色半透明結晶で産する。
   ”クサビ石ってどんな石”と聞かれて、”クサビみたいな石”と答えると
   ”クサビ(楔)”そのものを知らない人には、何のことか分からないと
   思います。
    身近なところで見かける”クサビ”は、ハンマの頭が抜けるのを防ぐため
   木の柄に打ち込まれている、鉄製の”平べったい板”でしょう。
    しかし、これとクサビ石が似ているとも思われません。
       
   クサビ石結晶図          クサビ石
(2)鉄電気石【Schorl:NaFe3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4】
   ここでは、鉄電気石特有の光沢の強い真っ黒い針状〜塊状結晶をなすものと
   ガラス光沢で茶褐色透明の苦土電気石【Dravite:NaMg3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4】を
   思わせるものまでが、共生しています。
    鉄電気石

(3)燐灰石【Apataite:Ca5(PO4)3F】
   白色で半透明の六角柱状で晶洞の中に産出する。縦(C軸方向)に条線があり
   横(C軸に直角方向)に劈開があるのが特徴。
   紫外線の下で見ると、蛍光は示さないものの、黄色に見える。
   燐灰石には、「塩素」と「弗素」があるとされるが、ここのものがどちらに
   属するのかは、不明です。
    燐灰石
(4)金紅石(ルチル)【Rutile:TiO2】
   平澤の板チタン石産地で共生する金紅石(ルチル)は、針状結晶で
   六連輪座双晶なども普通に産出する。
   ここの金紅石(ルチル)は、塊状で、太陽光(白熱灯)の光の下で見ると
   ギラギラした貝殻状の破断面が、「ほんのりと紅色」に光り、「金紅石」の
   名前の由来が理解できます。

5.おわりに

(1)「燐灰石」やなどの希元素鉱物が産出することも分かりました。
   希元素鉱物で同じ燐酸塩鉱物の「モナズ石」などを、引き続き探索してみたいと
   考えています。

6.参考文献

1)柴田 秀賢・須藤 俊男:原色鉱物岩石検索図鑑,北隆館,昭和48年
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