(2)チタン鉱物
チタンの酸化物【Titanium Dioxides:TiO2】には、同質異像とよばれる関係にある
3種類の鉱物があり、同じ成分でありながら、結晶の形(外観)は全く違う。
@板チタン石【Brookite:TiO2】斜方晶系
A鋭錐石【Anatase:TiO2】正方晶系
Bルチル(金紅石)【Rutile:TiO2】正方晶系
産地によっては、1種類だけのことも、2種類または3種類が共生するケースもある。
山梨県内、近傍のチタン鉱物産出状況は、下表の通りである。
産地 | 板チタン石 | 鋭錐石 | ルチル | 平沢 | ○ | ○ | 竹森 | ○ | ◎ | 乙女鉱山 | ○ | 黒平 | ○ | 水晶峠 | ○ | 川端下 | ○ | 川上村湯沼 | ○ | ○ |
平沢のように、ルチルと板チタン石の組み合わせは珍しい。
Danaの"A System of Mineralogy"によれば、ルチルは、6連(sixlings)あるいは8連
(eightlings)の輪座双晶をなすとあります。
「ペグマタイト誌」に、山口県宇久鉱山のルチルの双晶が報告されていますが
全て{011}を双晶面とする接触双晶だったとのこと。輪座双晶は珍しいと思う。
また同誌に、茨城県長谷鉱山産板チタン石の六連輪座双晶が報告されていますが
平沢のものはルチルだと思います。写真では、60度の角度をなして細柱状結晶が
3方向に見え、反対方向にも、結晶は伸びています。
(3)水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶には、次の3つのタイプがあります。
@透明なもの(数は少ない)
A錆びて茶色に変色した長細い柱状あるいは四角の鉄鉱(?)が表面に付着したり
インクルージョンになっているもの。
B竹森の流れを受けたススキ入り
中に入っているのは、苦土電気石ではなく、ルチルや鉄電気石(一部紅柱石?)のようです。
今回、広い範囲で探したところ、透明水晶の群晶をいくつか採集できました。