岐阜県中津川市東山温泉と長島乙吉

       岐阜県中津川市東山温泉と長島乙吉

1. 初めに

    「地元以外で好きなフィールドを挙げよ」、と問われたら、私は迷わず岐阜県中津川市
   周辺を指す『苗木地方』をあげるだろう。
    そんなわけで、年に数回この地方を訪れる。川の中に入ってパンニング主体のミネラ
   ル・ウオッチングが多いので、帰る前に身体を温めるため、温泉に入ることが多い。恵那
   峡(木曽川)を見下ろす「紅岩山荘」や木積沢など希元素鉱物産地に近い「東山温泉」を
   利用する機会が多い。どちらも、ラジウム温泉で、身体の芯から温まり、湯冷めしないよ
   うな気がする。

    2009年10月、長野県の石友・Mさんと苗木地方で希元素鉱物採集を楽しんだ翌日も
   私たち夫婦は、孫娘(性別はすでに判っていた)の『誕生石・トパズ』を求めて、産地・Kで
   パンニングを楽しみ、なんとかプレゼントにできそうなトパズを採集した。

    昼で上がり、東山温泉に行くと、入口に小さな石碑があった。そこに、『長島乙吉』
   名を発見したので、ご紹介したい。

    温泉に浸かり冷えた身体を温め、お昼ごはんを食べて、料金を支払うと抽選会があり
   籤(くじ)運の弱い私にしては珍しく”1等”が当たり、”何か良いことあるごとし”だ。

     祝福してくれる(昔の)乙女達

    賞品は、『入浴券+食事券』なのだが、有効期限(11月末)までには行けそうもないの
   が何とも残念だ。
    ( 2009年10月訪問 )

2. 場所

    恵那ICで降り、「博石館」を通って、木積沢方面に向かうと左側に「←東山温泉」の看
   板があり、それに沿って200mも走ると到着する。
    入口左手に温泉の由来を記した石碑があり、右手には季節季節の生け花などが飾ってある。

       
          温泉由来記                 季節の生け花
                      東山温泉入口

3. 東山温泉と長島乙吉

    東山温泉由来記に長島乙吉の名があるので、碑文全体を紹介する。

     
『昭和26年当地東山地内に鉱泉を発見し
 名古屋市下方鉱蔵先生、長島乙吉先生
 御来調泉を得て泉度の高きをみとめて昭和
 40年1月開泉し東山温泉と称して以来今日迄
 15年間の愛着の衆人の縁高し依って祖先の
 御徳をたゝえる意を以って建碑を設立す
        開発者      林時雨郎
 昭和54年吉祥                  』


    下方先生は、名古屋大学で温泉学が専門のようだ。長島乙吉先生は、地元中津川出
   身のアマチュア鉱物学者で、特に希元素鉱物に造詣が深く、「日本希元素鉱物」の著書
   があるのは御承知であろう。

4.おわりに

 (1) 東山温泉でのおすすめは、『入浴料込定食セット』だ。季節の素材を使った釜めしなど
    風呂から上がる時間に合わせて、ホカホカの料理を出してくれる。

      この日は釜めし

 (2) 苗木地方を訪れるもう一つの楽しみは、和菓子舗「満天星(どうだん) 一休」に立ち
    寄ることだ。
     古民家風の店もさることながら、入り口脇に”デン”と据えられた花崗岩の晶洞をその
    まま活かした泉水は苗木地方ならではだ。

        
            店舗                 ”晶洞”
                    満天星 一休

    この季節、「栗きんとん」、「栗ようかん」そして「栗むし羊羹」と、採れたての栗を使った
   和菓子がお土産にピッタリだ。

5.参考文献

 1)長島乙吉、弘三:日本希元素鉱物,日本鉱物趣味の会,1960年
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