千葉県平久里の「石膏」











            千葉県平久里の「石膏」

1. はじめに

    単身赴任を終えて山梨に戻って丸一年が経とうとしている。2月に入って2回も記録的な大雪が
   降り、外出もままならず、コレクションや蔵書の整理を始めた。
    単身赴任先から持ち帰った品々の中に、”塗り皿”があり、その中に”綿ぼこりにまみれた鉱物”
   があった。いつもだと、ミネラル・ウオッチングから帰ると、遅くても翌週には、クリーニングしてラベ
   ルを付けて、写真を撮って、標本箱に収納し、採集記をまとめておくのだが、これだけは採集した
   ままになっていた。

    
           ”綿ぼこりにまみれた鉱物”

    これを採集したのは、2011年12月初旬、2人の石友を千葉県の産地に案内したときだった。初
   日は土砂降りの雨の中、露頭を叩き「新鉱物」を採集し、嶺岡や八岡海岸の産地を回り、夜は鴨
   川の定宿・「竹生」で海の幸を堪能した。
    (この内の一人と行ったミネラル・ウオッチングは常に”雨”が付きまとう。本物の”雨男”ならん)
    翌日は前日とうって変わって快晴になり、和田町の産地を巡り、再び「新鉱物」の産地を訪れた。
   この近くでこの鉱物を採集した。
    この鉱物は、泥質堆積岩の中の黄鉄鉱から溶けだした硫酸イオンが堆積岩のカルシウム(Ca)
   と結合して生まれた「石膏」だ。
    石膏は千葉県でも珍しい鉱物ではなく、「鴨川鉱山」跡で採集したこともあったが、新鮮な露頭
   を叩いて「石膏」を採集した記憶がないので、HPにまとめる気になった。

    大雪も少しは溶けはじめたので、川上村湯沼鉱泉に少しばかりの食料をもって大雪見舞いに行
   った。車一台の幅で除雪され湯沼鉱泉までは通れるようになっているが、そこから先には1m近い
   雪が積もっていて通行できない状態だ。
    社長とお姐さんは無事で元気だったが、川上犬が一匹雪の中に埋もれてしまったらしい。問題の
   浴場は、屋根が雪の重みで崩落し、浴槽の中にまで雪が小山をなしていた。

    
        川上村湯沼鉱泉・浴場 大雪被害
             【男湯から女湯方向】

    母屋は何の被害もなかったので、鉱泉は継続するし、お客が本格的に訪れる5月中旬までに
   浴場を修理したい、と社長とお姐さんが語っていた。石友の皆さんのご協力を別途よろしくお願い
   したい。
    ( 2011年12月採集 2014年3月報告 )

2. 産地

    千葉県の「新鉱物」産地近くにある、すでに休止した採石場跡だ。

3. 産状と採集方法

    ここは泥〜砂質堆積岩で、貝化石なども産出する。その一角に、微細な粒状の黄鉄鉱を含む
   層があり、その近くの堆積岩の割れ目に結晶しているので、岩をハンマとタガネで叩いて採集す
   る。母岩から外れやすいので、それらを指先でつまんで拾い集めたものが今回の標本だ。

4. 産出鉱物

 (1) 石膏【GYPSUM:CaSO4・2H2O】
      透明、針状結晶で見られる。黄鉄鉱【PYRITE:FeS2】の硫黄(S)が、水に溶けて硫酸塩になり、
     堆積岩から溶けだしたカルシウム(Ca)分と合わさって石膏が生まれたと考えられる。
      写真のように、長いものは2cm近い針状結晶だ。

       
            千葉県平久里産 石膏
                【最長 2cm】

5. おわりに 

 5.1 大雪遺文
  (1) 「湯沼鉱泉」大雪被害
       2月下旬になって、さしもの大雪も少しは溶けはじめたので、川上村湯沼鉱泉に少しばかり
      の食料をもって大雪見舞いに行った。野辺山辺りから雪の量は半端でなく、今年の雪が記
      録的なのを改めて認識した。
       川上村を東西に走る県道(?)は、車がすれ違えるが、湯沼鉱泉に入る道は車一台の幅で
      除雪してあるだけで、対向車がきたらどうしようかと”ヒヤヒヤ”しながら走った。何とか、湯沼
      鉱泉までは通れるようになっているが、そこから先は除雪していないので、1m近い雪が積も
      っていて通れない状況だ。母屋の屋根には半分くらいに減ったとはいえ、50cmを超える雪が
      残っていた。

          
                   入口                          母屋
                           大雪の川上村湯沼鉱泉

       話に入る前に、電話で聞いていた浴場を見せてもらった。階段を降りて浴場にいくと崩れ
      落ちた屋根があったあたり空が見え、予想以上の被害の大きさだ。降り積った雪をどけて男
      湯の引き戸を開けて更衣室に入ると浴場のガラス戸が壊れガラスが飛散し、雪が小山のよう
      に積っている。
       男湯から女湯の方向を見ると、かろうじて浴槽があった場所の見当がつけられるくらいに
      雪で覆われている。
       女湯の方は、入口のアルミサッシが雪の重みで変形したのか、扉が開かない状態だ。

          
                男湯入口               男湯から女湯方向
                   川上村湯沼鉱泉・浴場 大雪被害

       社長とお姐さんは無事で元気だったが、川上犬が一匹犬小屋が潰れ雪の中に埋もれてし
      まったらしい。

       二人とも、「母屋が潰れたりしたら、鉱泉を止めるしかないと覚悟していたが、幸い何の
      被害もなかったので、鉱泉を継続するので、お客が本格的に訪れる5月中旬までに浴場を
      修理したい」、と決意をを語っていた。
       鉱物を展示してある「湯沼水晶洞」は、雪が深くて行けない状態だが、社長は「外から見た
      ところ大丈夫そうだ」、というので一安心だ。

       恒例の「月遅れGWミネラル・ウオッチング」は、”湯沼鉱泉雪害復興支援”として開催する
      予定ですので、大勢の石友の参加とご協力を、よろしくお願いする。

  (2) 孫娘の「ひな祭り」
       千葉の孫娘のところから、「ひな祭りのお祝いをするので来ませんか」、と招待された。妻が
      半休をとって、金曜日の1時過ぎに山梨を発ち、4時前に千葉に着いた。
       今年から幼稚園に入る予定の孫娘だが、被災地の復興優先で工事が遅れているらしく、
      近くに建設される幼稚園には入れそうもない、と聞かされていた。しかし、年明けに、欠員が
      ある別な幼稚園に入れることが決まり、”ホッ”とした。
       しかし、歩いたら40分もかかるらしい。車がないので自転車での送り迎えになるらしく、交通
      事故に遭わないかとか、雨の日には濡れてしまわないかとか、心配は尽きない。
       そんなジージとバーバの心配をよそに、持参したケーキに大喜びの孫娘がいじらしい。

       
              孫娘のひな祭り

       土曜から日曜日にかけて、また雪が降る天気予報だった。本当はもう一泊したかったが、
      途中で閉じ込められると困るので、土曜日の夕方、孫娘と別れて山梨に帰った。

 5.2 千葉県の「石膏」
      千葉県では、鴨川鉱山で石膏を観察できることを2008年に報告した。2011年に石友を案内
     して久しぶりに鉱山を訪れると、ズリが埋まってしまったのか、青緑色系のズリ石が全く観察で
     きなかった。

      ・ 千葉県鴨川鉱山の鉱物
       ( Minerals from Kamogawa Mine , Kamogawa City , Chiba Pref. )

      そんなわけで、「石膏」は千葉県では珍しい鉱物になっているかも知れない。

 5.3 確定申告
      今年も確定申告の季節がやってきた。ここ数年、インターネットで確定申告を済ませている。
     今年も例年通りやろうとしたが、国税庁のページにアクセスできない。いろいろ調べてみると
     ” Windous7を使っている人は、Service Pack3をダウンロードしてください ”、とあり、早速試
     してみた。
      確定申告の書類を印刷するところまで何とかできたが、なんだかPCの動きがおかしい。兵庫
     県の石友・Nさんから、「WindowsXPを載せ換えたら動きが遅くなって・・・・・・」、とメールがあっ
     たが、私のも、やたらと、インターネットブラウザのIEがフリーズしたり、動きが遅かったり、挙句
     の果てにウイルスを誤検知して勝手に中断してしまう。
      前からだったような気もするが、自分のHPに”文字化け”が起きている。皆さんのPCでは、
     正常に見えますか?

       
                          HPの”文字化け”

      ”」”(閉じカギかっこ)が”《”(2重カッコ(始))に、”○”(大きいマル)が”。”(小さいマル)に
     ”文字化け”している。
      保科 五無斎ではないが、”これでは 。 (小マル=困る)”のだ。

      新しいソフトを載せてもPCのCPUが古くて動きが悪いのか、と思う。例えて言うなら、軽自動
     車に20畳用のエアコンを積んで走っているようなものか。

      確定申告の書類を2月18日に投函し、3月3日に通帳を見ると、申告が満額認められ、『国税
     還付金』が振り込まれていた。ネット時代を活用して事務処理を一番合理化・迅速化している
     役所は税務署のような気がする。
      還付金の使い道は、十二分に働いてくれたPCの更新が、最も優先度が高そうだ。

6. 参考文献 

 1) 草下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1988年
 2) 加藤 昭:二次鉱物読本,関東鉱物同好会,2000年
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