「石(鉱物)なし県」と言われる千葉県だが、私の住んでいる山梨県とは毛色が全く
違った鉱物が多いことを知り、『ハンマに封印』する前に産地に立っていた。
それから半年近くが経ち、契約期間も残すところ1ケ月足らずとなった。この6ケ月
のミネラル・ウオッチングを総括しておきたいと思い至った。
『 千葉県を代表する鉱物 』 は何だろうか?
2008年4月に東京上野にある科学博物館本館を訪れ、「桜井鉱物コレクション」を
松原先生の解説で見学したのは既報の通りである。ここに展示されている鉱物が
各都道府県の代表的な鉱物とも言える。
千葉県産では『 平久里の「ゾノトラ石」と「トベルモリー石」 』の2種
が展示してあり、これがある意味での代表鉱物となるだろう。
No | 鉱 物 名 | 産 地 | 標 本 写 真 | 備 考 | @ | トベルモリー石 | 南房総市平久里 | 桜井標本 | A | ゾノトラ石 | 南房総市平久里 | 勝氏寄贈 |
そんなわけで、平久里の「ゾノトラ石」と「トベルモリー石」についてまとめてみた。
「トベルモリー石」の産地を案内していただいた千葉・Sさんに厚く御礼を申し上げる。
さて、横浜の石友で職人でもあるKさんから、『 いよいよ年期明けですね 』、との
メールをいただいた。千葉県にある某電子部品メーカーさんから招請をいただき、
技術コンサルタントとして2008年1月末、単身赴任して早くも契約の最終月を迎えて
いる。
できの悪い職人にもかかわらず、最近スタートした新しいプロジェクトの方も見て
欲しい、とのありがたい要望をいただき、契約は2009年の3月まで延長になりそうだ。
湯沼鉱泉社長や大勢の石友と『晴鉱雨読』の生活を楽しめるのは、少し先になりそう
だ。
( 2008年7月まとめ )
有名な産地なので詳細は割愛する。ただ、「トベルモリー石」や「針状結晶のゾノトラ石」を
産出するポイントは限られているようで、十分な情報がないと採集は難しいだろう。
私は、「針状結晶のゾノトラ石」のポイントは自力で開拓できたが、「トベルモリー石」の
産地は偶然出会った千葉県・Sさんに案内していただき、初めて知った。
加藤、松原両の先生の ” Xonotlite from Heguri ”には、平久里で観察できた
結晶図が掲載してあるので、引用させていただく。
先端が尖ったものと平坦なものの大別して2種類、細分すれば3種類ある
ようだ。
結晶図【” Xonotlite from Heruri ”から引用】
(2) トベルモリー石【TOBERMORITE:Ca5Si6O16(OH)2・4H2O】
真っ白い脈状で見られ、”陶器質”と表現される破面を示す。平久里のトベル
モリー石はペクトライト脈と入り混じっていて、鑑定に苦しむこともある。
加藤、松原両の先生の ” A Barium-bearing Tobermorite from Heguri ”の
タイトルにあるように平久里産のトベルモリー石にはバリウム(Ba)が含まれてい
るのが大きな特徴となっている。
トベルモリー石の名前は、原産地であるスコットランドのTobermoryにちなんで
名づけられたもので、原産地は無論、イタリアなどから産出するものにもバリ
ウムは含まれていない。
また、平久里のトベルモリー石にストロンチウム(Sr)が含まれているとの報告
があったようだが、再度分析した結果、含まれていないようだ。
改めて、千葉県を代表する鉱物を選ぶとなると悩ましい。なぜなら、選択基準が
違えば違った鉱物が選ばれるからである。
( 野球のオールスターが、ファン投票、監督推薦、選手互選で違うようなもの )
そこで、選択基準別にリストアップしてみることにした。
選 択 基 準 | 鉱 物 名 | 産 地 | 備 考 | 国立科学博物館に展示 「桜井標本」 | ゾノトラ石 トベルモリー石 | 平久里 | ゾノトラ石の針状結晶はここだけ 「トベルモリー石」は桜井標本ではない |
幻の鉱物 | ラブラドライト (中性長石) | 鴨川 | 「鉱物採集フィールドガイド」にある | 有名標本にある鉱物 | 砂鉄 | 君津郡 銚子海岸 | 「金石舎」鉱物標本 岩本鉱産物商会標本 |
綺麗な鉱物 | ソーダ沸石 | 鴨川 | 「日本の鉱物」に記載 | ピンク色の霰石 | 銚子 | 琥珀 | 銚子 | 白亜紀地層から産出 | 新発見 | 自然銅 (肉眼サイズ) | 平久里 正確には、○○ | 2008年2月発見 |
(2) 年期明け
さて、横浜の石友で職人でもあるKさんから、『 いよいよ年期明けですね 』
とのメールを6月末にいただいた。2008年1月末、技術コンサルタントとして単身
赴任して早くも半年が過ぎようとしている。
できの悪い職人にもかかわらず、最近スタートした新しいプロジェクトの方も見て
欲しい、とのありがたい要望もいただき、契約も2009年の3月まで延長になりそうだ。
湯沼鉱泉社長や大勢の石友と『晴鉱雨読』の生活を楽しめるのは、少し先に
なりそうだ。
千葉にいる間に、「砂鉄」など、地味だが千葉県らしい鉱物は産地の現状を確認
して記録に残しておきたいと思っている。