福島県半田銀山

福島県半田銀山

1.初めに

福島県桑折町にある半田銀山は、かつて佐渡金山、生野銀山と並ぶ日本有数の
銀山として栄え、明治天皇も行幸された、由緒ある(?)鉱山でした。
大同3年(807)の発見と伝えられ、慶長3年(1598)上杉景勝が開発を手がけた。
延享2年(1723)徳川幕府は、半田銀山が優良であることから、直山として、直轄領にし
佐渡奉行の支配下にした。
元治元年(1864)鉱脈の枯渇から直山経営を中止した。住民や掘子の窮状を
見かねた地元北半田村名主早田傳之助が慶応3年(1867)鉱業を再開したが、
明治3年(1870)坑内火災で息子はじめ多くの犠牲者がでて、事実上閉山した。
明治7年(1874)鹿児島の五代友厚が近代工法で再開発に着手し、明治9年(1876)
明治天皇の奥羽御遣幸にあたり、岩倉具視、大久保利通らを伴い、半田銀山に
御臨幸された。
その後、活況を呈したが、明治43年(1910)半田沼の決壊やその後の鉱脈の枯渇などで、
昭和25年(1950)、日本鉱業は操業を休止した。
半田銀山の遺構として、半田山中腹に手堀坑道、明治天皇行幸記念碑や各所にズリ山がある。
今回、宮城県での採集行の途中に立ち寄り、紫水晶や銀黒鉱物を採集した。
(2001年5月採集)

半田銀山遺跡にて

2.産地

東北道国見ICの手前、約1kmに明治天皇行幸記念碑がある。農作業をしていた
地元の方のお話では、ここにズリ山の1つがあったとのこと。
(今は、東北道の下になっている。)

明治天皇行幸記念碑【半田山を望む】

3.産状と採集方法

銀鉱物は、石英脈の中に、真っ黒い筋状(いわゆる銀黒)で入っているので、
石英の入ったズリ石を探す。ここは、記念碑がある場所ですので、道具を持たず、
表面採集に留めましょう。

4.産出鉱物

(1)輝銀鉱【Argentite:Ag2S】
銀の最も普通の鉱物で、今回採集できたのは、結晶粒の見えない、黒い筋状の
標本です。

輝銀鉱

(2)紫水晶【Amethyst:SiO2】
紫石英脈の晶洞には、透明度の高い小さな紫水晶がビッシリ生えていて、
美しいものです。

紫水晶

5.おわりに 

(1)半田山にある坑道周辺は、今回探査しませんでしたが、
次の機会には、是非訪れてみたいと考えています。
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