茨城県ひたちなか市にある、最先端半導体工場から技術コンサルタントとしして招請され
2006年7月に赴任した。
仕事が軌道に乗るまでは、『ハンマに封印』してという決意で赴任したが、最初の
1週間の現状分析で、改善策の粗筋が読め、2週間目の週末には骨董市やミネラル・ウオッ
チングで産地を回る余裕も出てきた。
「福島県の”飴石”(貝化石中の方解石)」産地を回り、「福島県矢塚の緑簾石」産地を
回っても、まだ陽は高く、「花園山」を訪れることにした。
この1年、各地の金銀鉱物産地は無論、苗木地方を始めとするぺグマタイト鉱物産地でも
パンニングにより、今まで採集できなかった鉱物種を発見できており、花園山でも試してみ
る積もりであった。
ズリの土砂を100mほど離れた川まで運び、パンニングして、「鉄コルンブ石」などの
希元素鉱物のほか「チタン鉄鉱」や「紅柱石」など、花園山を代表する標本を採集できた。
大きな「白雲母」など子供たちの喜びそうな標本も多い。華々しい鉱物で脚光を浴びる
ことはないが、まだまだ楽しめる産地です。
( 2006年7月採集 )
(1)花園山登山道脇の鉱山ズリ
(2)花園神社奥の院の駐車場から川の上流の右岸のペグマタイト脈
(3)花園神社の駐車場から南西に林道を走った右側のペグマタイト貯鉱場と
その奥の採掘跡
今まで、訪れて成果が一番多いのは(1)です。
(2)チタン鉄鉱【Ilmenite:FeTiO3】
黒色、板状結晶で産する。鉄コルンブ石や鉄重石と同じような産状だが、弱い磁性がある
ことで鑑定できる。
(3)紅柱石【Andalusite:Al2SiO5】
灰紅色の細柱状結晶が放射状に集合して産出する。紅柱石の回りを紅柱石から変質した白雲母
が覆っていることが多い。
コランダムが白雲母に混じっている標本もある。
(4)鉄バン柘榴石【Almandine:Fe3Al2(SiO4)3】
真っ黒い偏稜24面体で産出するが、全周完全なものは少なく、また錆びがきているものが
ほとんどである。
今回採集した標本の中に、小さいながら、鮮やかな紅色、累帯構造が明瞭に見えるものが
あった。
(2) 最近では脚光を浴びることもない地味なペグマタイト鉱物産地だが、「白雲母」などの大き
な結晶表面採集で発見できる。
子供たちでも、十分楽しめる産地です。