花園山の紅柱石

花園山の紅柱石

1.初めに

2001年最初の鉱物同志会の採集会が茨城県花園山で開催され、
同じ技術士で石友のT氏と那珂ICで落ち合い、現地集合の形で参加した。
途中、福島県三和町にローズクオーツを探しに行くと言う石友の
K氏と中郷SAで、バッタリ出会い、誘い合わせて花園山に行った。
3人とも、何回目かの訪問なので、産出する場所が判っており、
登山道脇の鉱山ズリで採集した。
3人とも、花園山の代表鉱物である「紅柱石」は、何個かずつ採集
でき、柘榴石など代表的な標本を採集できた。
しかし、3人とも、「採れなくなった」と言うのが実感です。
「いつまでもあると思うな親と鉱物産地」
(2001年3月採集)

2.産地

常磐道北茨城ICで下り、すぐに左折し、花園の標識に従って
進む。水沼ダムの上を通り、花園神社域に至る。ここまで、
約10kmで、信号も少なく、20分程度です。
私が知っている花園山のポイントは次の3ケ所です。
(1)花園山登山道脇の鉱山ズリ
(2)花園神社奥の院の駐車場から川の上流の右岸の
ペグマタイト脈
(3)花園神社の駐車場から南西に林道を走った右側の
ペグマタイト貯鉱場と奥の採掘跡
今まで、訪れて成果が一番多いことで、3人の意見が一致した(1)に
行く。花園神社と塙方面の分岐から、約1km塙方向に進むと、
左から幅3mくらいの沢が流れ込んでいる。この先に駐車する。
沢の左岸の道を上流に向かうい、約100mで沢を渡り、更に
約100mで左側に、ペグマタイトのズリがゴロゴロしている
場所がある。この山の斜面が帯状にズリになっており、その上
約70mに坑道がある。

花園山のズリ【左からT氏、K氏】

花園山の坑道【鉱物同志会メンバ】

3.産状と採集方法

「茨城の自然をたずねて」によれば、花園神社から西には、
竹貫変成岩が露出し、この岩は地下約20kmで高温の変成作用を
受けた粗粒の片麻岩とのこと。
この黒雲母片麻岩が高温・高圧で溶けて紅柱石、柘榴石になった
ようです。
この鉱山は、セラミックの原料として花崗岩ペグマタイトの石英や
長石を採集したと言われています。以前は、ズリの表面採集でも
紅柱石を採集できたのですが、今はベンチカット方式でズリを
掘り返すのが確実な方法です。
今回は、3人横一列に並んで掘り進みました。
ズリから掘り出した時には、泥にまみれていますので、怪しいと
思われるものは取あえず持帰り、途中の沢で水洗いして選別すれば
良いでしょう。

4.産出鉱物

(1)紅柱石【Andalusite:Al2SiO5】
灰紅色の先細り放射状結晶の集合体で産出する。紅柱石の回りを
紅柱石から変質した白雲母が覆っている。
コランダムが白雲母に混じっている標本を頂いたことがありますが
採集できていません。

紅柱石1【長さ2cm周囲が白雲母化】

紅柱石2【放射状結晶集合体】
(2)鉄電気石【Schorl:NaFe3Al6(BO3)3Si6O13(OH)4】
ここのは、マッチ棒状の針状結晶の集合体で産出する。
以前、奥の院では、棒状の立派なものが採集できた。

鉄電気石【針状結晶集合体】
(3)白雲母【Muscovite:KAl2Si3O10(OH)2】
ここには、白雲母と黒(金?)雲母の両方が産します。
黒雲母は竹葉状で細長いのが多いのですが、白雲母は
大きさは、掌大のものまであり、白雲母の標本としては一級品が
採集できます。
完全結晶は六角板状であるが、結晶の2〜3辺が見られる程度。

白雲母【長さ20cm】
(4)鉄バン柘榴石【Almandine:Fe3Al2(SiO4)3】
真っ黒い偏稜24面体で産出するが、全周完全なものは少なく、
また錆びがきているものがほとんど。光沢のある標本があれば、
善しとすべき。

鉄バン柘榴石【集合体長さ37mm】
(5)水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここのペグマタイトは晶洞性でなく、脈状であったためか、
六角柱状の水晶は極ごく、希にしか採集できません。
何面か結晶面の見えるものを2ケ採集しただけです。
希元素鉱物があると言われながら、煙水晶は見かけず、ほとんど
透明から白濁した水晶です。

水晶
(6)希元素鉱物
「茨城の自然をたずねて」によれば、コロ(ル?)ンブ石などの
希元素鉱物が産出するとありますが、未だ採集していません。

5.おわりに 

(1)鉱山ズリへ行く右側に民宿「鬼ケ城」(TEL 0293-43-9300)があります。
ここは、宿泊のほか、日帰り入浴もできるので、採集が終わったあと、5人は
入れる大きな浴槽でユッタリと入浴してサッパリして帰ってきました。
(暖かくなれば、露天風呂もあります。)
(2)1ケ月前に妻と一緒の時は、水沼ダムは全面結氷し、鉱山ズリの入口で
30cm以上の積雪でしたが、今回は雪も消え、ウグイスの鳴き声を聞きながら
の採集でした。
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