現在、橋梁の架け替え工事が行われており、鉱山前には駐車スペースがありませんので
かなり手前の無料駐車場に停め、そこから歩くようです。
3.2 五代松鉱山
「日本鉱産誌」や「本邦重要鉱山要覧」などに五代松鉱山の記述はなく
採掘の規模などの詳しいことは分かりません。
と言う事は、余り歴史が古くないようです。
インターネットで調べると、昭和4年ごろから8年にかけ、この地で鍾乳洞を
探洞・発見した赤井五代松氏が経営したので「五代松鉱山」の名前がついたと
言われています。
赤井五代松翁を顕彰した氏の胸像が「ごろごろ水」の湧き出し口脇に建って
います。また、鉱山の事故で亡くなった人々を慰霊する碑があることにも
今回初めて、気付きました。
鉱山の坑道は既に塞がれており、その前に選鉱場があったらしく、選鉱ベルトや
鉱石貯鉱場の施設(残骸)がかつての鉱山の隆盛を偲ばせてくれます。
五代松鉱山遺物
「関西地学の旅」によれば、五代松鉱山は原子炉の遮蔽材として磁鉄鉱を
採掘し、1980年代に廃坑になった様です。
3.3 産状と採集方法
道路脇から30mも上がった所に、水晶の採れる露頭とズリがあり、私が金曜日に
訪れたときは雨上がりで、水晶がキラキラと光るが長さ1cm以下の”針水晶”が殆んど。
感じとして、福島県塙町矢塚の緑簾石産地に似ている。
Nさんは、表面採集で日本式双晶、Iさんは、粘土質のズリを掘って、5cm近い
単晶を採集した。
ここでは、雨上がりに表面採集の後、ズリを掘るのが良いようです。<BR>
ズリの下の斜面(伐採されたばかりの杉の木がある)には、真っ白い
方解石を伴うスカルン鉱物が落ちており、表面採集でもそこそこのものが
採集できます。
塊状の磁鉄鉱は、鉱山施設のベルトコンベアの上にたくさんあり、磁石を
持参すれば簡単に判別できます。
A両錐水晶【Rock Crystal Bipiramid Type:SiO2】
細い針状の透明で両錐のものを採集した。
Bインクルージョン入り水晶【Rock Crystal with inclusion:SiO2】
角閃石(?)と思われる白色繊維状の鉱物が樹枝状や柱状にインクルージョン
として水晶の中心軸(C軸)方向に成長しているものが多数ある。
”茶色”の角閃石と思われるインクルージョンを含む水晶は、全体に”茶色”で
私は勝手に”レモン水晶”と名付けています。
C平行連晶【Rock Crystal Parallel Growth Type:SiO2】
何本かの水晶が寄り添うように集まり、成長軸(C軸)の方向が一致している
平行連晶があった。
面や陵にクサビ状に切れ込みがある水晶もあり、結晶の成長が非連続であったことを
示しています。
並行連晶の頭部だけ見えているものは、”日本式双晶”のように錯覚し
”ドキッ”とします。
D松茸(冠)水晶【Rock Crystal Crest Type:SiO2】
錐面のてっぺんにチョコンと冠を被った松茸水晶もあった。
D中子持ち水晶【Rock Crystal Coaxial Type:SiO2】
C軸の中心部が空洞になった”穴あき水晶”に小さな水晶が差し込まれた”中子持ち水晶”
があった。
中心部の水晶が成長、回りに黄鉄鉱などが成長、その周囲に新たに水晶が成長。
やがて、黄鉄鉱が錆びて褐鉄鉱になり、”中子持ち”になったと推定しています。
(2)磁鉄鉱【Magnetite:Fe2O4】
ここの磁鉄鉱には、塊状のものと方解石の中や磁鉄鉱の集合体の上に
自形結晶を示すものの2通りがある。
(3)灰鉄輝石【Hedenbergite:Ca(Mg,Fe)Si2O6】
緑色四角柱状の結晶が菊の花のように放射状になった結晶がある。
(4)灰鉄柘榴石【Andradite:Ca3Fe(SiO4)3】
方解石や磁硫鉄鉱に隣接して、黄褐色〜緑黒色の結晶で産出する。
(5)このほか、ここでは磁鉄鉱が風化し自然に磁気を帯びた”磁赤鉄鉱”の産出が
報告されていますが、今回も採集できなかった。