@世界ニ稀有ナル水晶ノ大結晶
『産地 山梨県北巨摩郡増富村八幡
長 1m、長径0.3m、周囲0.8m、重量132kg
稍不透明ナレドモ柱面錐面ノ半面像ヨク発達ス。 』
A松茸水晶
『産地 山梨県北巨摩郡増富村半鐘峠
透明ナル松茸水晶ノ晶族ナリ。 』
B平行連晶ヲナス水晶【?】
『産地 山梨県北巨摩郡増富村
大ナル結晶ノ柱面に主軸ニ平行スル多数ノ小結晶ガ簇生シ、見事ナル平行連晶ヲナス。』
C水晶晶簇
『産地 山梨県中巨摩郡宮本村乙女坂
透明 美麗ナル数十の結晶群ニシテ柱面オヨビ半錐面ハヨク発達シ半錐面像ヲカク。』
D草入水晶ノ晶簇
『産地 山梨県東山梨群玉宮村竹森山
粘板岩ガ石英」閃緑岩ニ接触シテ「ホルンフェルス」トナリ其ノ裂罅ニ産シタルモノ
ニシテ、 包嚢物ニハ電気石多シ。 』
「師範(山梨大学)へ行って居る標本中、唯1個小さいが黄玉石の立派な完全な
結晶である。甲州としては得難いもので叉最大最完全のトパーズと言ってよかろう。
黄玉石の産は極く少なかった。自分が30余年間鉱物蒐集中、黄玉石の沢山に
産出したのは僅かに1回しかなかった。其の時だ、和田(維四郎)博士が甲州産
トパーズは珍しい。手に入ったら、全部送って呉れと頼まれたことがあった。
奔走して相当集まったので、大学(東京大学)と和田博士に送ってやった。
現在でも保存されてあろう。(現在でも保管されており、2001年公開された)
仲々大きな結晶もあった様だが皆不完全なものでした。
唯1つ形は小さいが完全なものがあると水晶商人が言うのでそれを譲れと交渉した所
外国人に売るために横浜に送ったと言う。そこで、わざわざ横浜から取り戻したが
高い値を付けるので流石の和田博士も手を下し兼ねた。其の時、自分は和田博士の
標本室や大学の標本室へ行って黄玉石の標本を見せて貰った。其の時に、博士が
大阪の博覧会で買ったと言うトパーズを拝見した。美濃(岐阜県)産で形は成る程
大きく2,3倍もあるが色が茶色を帯びていた。
本県(山梨県)産のものは色が美しい黄色で日本酒のような色である。その後
数年経て例の黄玉石所有者が甲州から他へ転居する都合上自分に買ってくれと言って
きた。今度は値段も折合がついて手に入った。之が今師範学校にある黄玉石である。」