骨董市での鉱物資料探し

1.初めに

最近テレビなどで、骨董品が人気になっています。
この時期は、雪が降ったりして、フィールドでの採集が難しいことから、各地の
骨董市や骨董店を回って、鉱物や郵趣関係の資料を探しています。
1月中旬に、群馬県の骨董市で昔の鉱物ハンマと葛飾北斎筆による、金山
(かなやま=鉱山)を描く「北斎漫画」を入手しましたので、紹介します。
(2002年1月入手)

2.骨董市

ほとんど毎週土曜、日曜に関東、甲信越の地方都市で、骨董市が
開かれています。毎月、曜日を決め、骨董市を回って、鉱物や郵趣関係の
掘り出し物を探しています。
骨董市のにぎわい

3.「北斎漫画」

葛飾北斎(1760−1849)は、江戸後期に活躍した浮世絵師で、錦絵風景
版画の「富嶽三十六景」などの代表作で知られる。
山水、花鳥、人物、器物、図案などあらゆる題材を対象にした「北斎漫画」
13編(1814−49)は、彼の画業の総決算とも言える成果で、フランス印象派の
ドガらにも影響を与えたと言われる。
「北斎漫画」は、北斎の絵を版木に彫り、印刷したもので、版木は江戸
文化期(1804-30)に彫られたものですが、私が入手したものは、文化乙寅(?)
新刻とあります。しかし、骨董の世界につき物ので、明治期になってその当時の
和紙に印刷したもののようです。
従って、”いい〜仕事”でなく、摺りも”ボケ”ています。
北斎漫画第三篇
今回入手したのは、第三篇で、相撲図や農作業図などのほかに、山裾に掘られた
金山(かなやま)の坑道の内外の様子が見開きで描かれています。

北斎漫画「金山(かなやま)」
次のページには、鉱山の中での採掘、運搬、水抜き(排水)作業などがリアルに
描かれています。
北斎漫画「鉱山の労働」

4.鉱物ハンマ

鉱物・化石採集用のハンマで、重さは、500g程度ですが、柄は樫の木で作られ、
柄には目盛りがついている。
石っこ賢さんで知られる、宮沢賢治愛用のハンマと同じような形、大きさで、同じ時期の
ものと考えています。
鉱物採集ハンマ

5.おわりに

(1)葛飾北斎は、自ら画狂人と称するほどで、絵にかける情熱・執念にはすさまじい
ものがあったようです。
従って、鉱山の様子を想像や伝聞で描いたとは思われず、どこの鉱山に行ってこれを描いた
のかも興味深いところです。
(2)鉱物ハンマは、だいぶ使い込まれたもので、持ち主の鉱物(化石)を求めて、
フィールドを駆け巡る姿が、髣髴とします。
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