平成21年 鉱物同志会新年会

       平成21年 鉱物同志会新年会

1. 初めに

   私は、鉱物関係のいくつかの団体に所属しているが、その1つに東京に本拠を置く、
  「鉱物同志会」がある。
   この会は、毎年1月に新年会の企画として、鉱物のバザーとオークションが行われる。
  希産、絶産、遠方、外国産鉱物の1級品から駄物まで、幅広く出品されるので、できる
  だけ毎年出席するようにしている。
   また、普段ご無沙汰している遠方の石友とお会いできる、賀詞交換会にもなっている。

   2009年は、1月11日(日曜日)に開催され、千葉の単身赴任先から訪れた。以前は
  会場が狭く、立錐の余地すらなかったが、今年はやや広い部屋で100名近い出席者が
  なんとか全員座れた。

   バザーでは、売りたてなどでは眼にすることの少ない「恐山の石黄」を100円で入手できた
  のもこの会ならではだろう。
   オークションでは、「群馬県のミメット鉱」など2点に入札したが結局一点も落札できな
  かった。
  ( 積極的に欲しいものでもなく、入札に気合が入らなかったのも理由の1つだ )

   今回、福島・○先生はじめ懐かしい顔ぶれや私のHPを見た方でメールでしかやりとりの
  なかった方々ともお会いできた。初めて会話したOさんとは、春以降のミネラル・ウオッチン
  グを約束した。

   また、「博物館級の緑柱石(アクアマリン)」を産した産地の情報をW氏に教えていただい
  たのも大きな収穫で、春からのミネラル・ウオッチングがますます楽しみになった。
   ( 2009年1月参加 )

2. 内容

 2.1 会長挨拶
     堀会長のあいさつで、新年会は始まった。会誌「水晶」の編集が進んでいるようだが
    いつ発行されるのかは聞かれず仕舞いだった。
     参加者の興味の中心が、この後の「オークション」と「バザー」にあることを十分承知で
    会長の話は、早々に終了した。

 2.2 バザー
    その後、皆さんお待ちかねのバザーに移った。会員が持ち寄った標本に提供者や役員
   が値付けし、テーブルの上に並べておき、十分下見したあと受付順に25名くらいずつ
   グループになり、”ジャンケン”で決めたグループの順番に従って、ひとり1点選んで精算
   する。(最低値100円)
    2順目以降は、点数制限なしとなった。

      下見風景
 

   (1)提供品
       今回は、千葉県に単身赴任して開拓した「千葉県平久里の自然銅」を20点ほど
      無料提供した。
       無料提供者の挨拶で『石(鉱物)なし県と言われる千葉県の自然銅』、と紹介した
      ら、珍しいとみえ、アッ、という間になくなった。

   (2)購入品
       今回(も)クジ運が悪く、5グループ中の最終組になってしまい、目をつけていた「恐
      山の珪華」は既になかった。その近くを見ると「恐山の石黄」があったので、これは
      珍しい、と思い迷わず購入。一金100円也。

       このほか、「玉手箱」用にと、「万珠鉱山の紫水晶」「菖蒲沢の自然金」「秩父の毛
      鉱」などを購入。いずれも100円〜200円。

No  鉱  物  名産  地 価 格 標  本  写  真 備 考
@石黄鉱青森県
恐山
100円 
A紫水晶栃木県
万珠鉱山
100円 「玉手箱」用
B自然鉄群馬県
下仁田
100円
        全体
       【研磨品】


        拡大
      【銀白色部分】

 橄欖岩中の蛇紋岩脈に
粒状に産する。

 素人考えでは
 母岩全体が磁性体なので
磁鉄鉱【MAGNETITE
:FeFe2O3】の酸素が
失われる(還元)作用で
自然鉄が生じたのだろう

 日本地学研究会の
「ポスター展示」で
発表されるらしい
(2009年1月25日)

   

 2.3 オークション
     会員が持ち寄った標本の中から、価値の高そうな標本を役員が選んで別テーブルに
    並べてあった。提供者から採集(入手)の経緯などの説明があった後入札して、2番目
    に高い値段を付けた人が落札する。

     オークションには13点の標本が選定された。それらの中で私が興味を持ったのは、
    次の3点だった。

     @ 「秋田県荒川鉱山の緑水晶」
        石友に恵与いただいたのが1つあるのだがミネラル・ウオッチングの「玉手箱」用に
     A 群馬県の「ミメット鉱」
        新しい産地なので、・・・・・・
     B 全国各地の「(水晶)の日本式双晶」
        長野、群馬、長崎、大分の10前後の産地のもので、持っていなく欲しいのは
       「豊栄鉱山」のものだけだったが。

     開票の結果、カスリもせず、結局一点も落札できなかった。
     ( いずれも、積極的に欲しい、と思う標本でもないので・・・・・・・負け惜しみ )

3. おわりに 

 (1) 標本とラベル
      バザーに出品されている標本にはラベルをつけることが守られている。ただ、
     ラベルに書かれている鉱物名が正しいのかは購入者の判断に任されている。この点
     については、会長挨拶の中で堀先生も触れていた。
      この日も下見をしていると、次のようなやりとりがあった。

     某氏「 ラベルはベスブ石となっているが、石榴石ではないか? 」
     私  「 どう見ても、柘榴石ですよね 」

      私が購入した「恐山の石黄」も、一部に真っ赤な「鶏冠石」が来ていて、全体は
     「硫黄」 のようなので、「硫黄(S)と砒素(As)の鉱物」であることは間違いないのだが
     「石黄」だという保証は全くない。

      ”甘茶”の私が確認できる手立ては、比重を測定するくらいだろうが、その場でできる
     はずもなく、ラベルを信じるしかなさそうだ。

 (2) ネットワークの構築
      どのような集団であれ、その集団に属する目的の1つは、ネットワークの構築だろう。
     「標本の交換」と言った有形のものから、「情報交換」といった無形のものまで、自分が
     (あるいは、相手が)もっていなかったものを授受しあうことに価値があるような気が
     する。

     今回、新年会に参加し

     @ W氏
        某所に展示してある、博物館級の緑柱石(アクアマリン)の産地を持参した地図
        にプロットしてもらった。(受)
        → 「金峰山の紫水晶」産地の近況と「未発表鉱物情報」(授)

     A O氏
        春以降、山梨県と長野県の産地案内を約束(授)
        → 新しい石友とのミネラル・ウオッチングを楽しむ。(受)

     B K氏
        私のHP「茂倉沢のバナジウム鉱物」を読んで訪れた。(授)
        → 「鈴木さん」「長島さん」は健在で今でも会える。(受)

      などなど、である。  

4. 参考文献 

 1) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 2) 山田 滋夫:日本産鉱物五十音配列産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
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