平成20年鉱物同志会新年会

       平成20年鉱物同志会新年会

1. 初めに

   私は、鉱物関係のいくつかの団体に所属しているが、その1つに東京に本拠を
  置く、「鉱物同志会」がある。
   この会は、毎年1月に新年会の企画として、鉱物のバザーとオークションが
  行われる。希産、絶産、遠方、外国産鉱物の1級品から駄物まで、幅広く出品
  されるので、できるだけ毎年出席するようにしている。
   また、普段ご無沙汰している遠方の石友とお会いできる、賀詞交換会にもなって
  いる。
   2008年は、1月13日(日曜日)に開催され、妻の実家に行ったついで(どちらが
  ついでか?)
に訪れた。
   昨年までは会場が狭く、立錐の余地すらなかったが、今年は広々とした部屋で
  80名を超える出席者が全員座っても空席が多数見受けられた。
   懐かしい顔ぶれや私のHPを見た方でメールでしかやりとりのなかった方々とも
  お会いできた。

   バザーでは、私の住む山梨県産の標本など、採集会の「玉手箱」用に10点余り
  を平均単価200円で購入した。
   オークションでは、「荒川鉱山の緑水晶」「日本全国の沸石21種」などに入札した
  が、最高値1点、3番値2点で、結局一点も落札できなかった。
   ( 2番値の人が落札するルールになっている )

   「掲示板」に書き込みがあった『田野畑石』は、会員のW氏が15年ほど前に採集
   し、「マンガンペクトライト」としておいた素晴らしい標本を拝見させていただき、
   写真を撮影する機会が得られた。

   千葉の石友・Tさんとは、久しぶりにお会いし、閉会後に「2人だけの新年会」
  兼「私の激励会」を開いていただき、今月末には、千葉に元気で単身赴任できそうだ。
  ( 20078年1月参加 )

2. 内容

 2.1 会長挨拶
     「何でも鑑定団」でおなじみの、堀会長のあいさつで、新年会は始まった。
     参加者の興味の中心が、この後の「オークション」と「バザー」にあること
     を十分承知の会長の話は、極めて短かった。

      「掲示板」に堀先生が発見した新鉱物「田野畑石」が投稿されていたが、
     堀先生の口からは、”たの字”も聞かれなかった。

      堀会長挨拶
 

 2.2 バザー
    その後、皆さんお待ちかねのバザーに移った。会員が持ち寄った標本に提供者
   や役員が値付けし、テーブルの上に並べておき、十分下見したあと受付順に30名
   くらいずつグループになり、”ジャンケン”で決めたグループの順番に従って、
   ひとり1点選んで精算する。(最低値100円)
    2順目以降は、点数制限なしとなった。

      下見風景
 

   (1)提供品
       今回も、某切手商で、鉱山、鉱物関係の品を漁っていて、開会間際に会
      場に到着した。従って、今回も提供品なし。

   (2)購入品

No  鉱  物  名産  地 価 格 標  本  写  真 備 考
@白鉛鉱山梨県
黄金沢鉱山
200円 最近、「洋紅石」で
一躍有名になった
Aビューダン石山梨県
黄金沢鉱山
200円PbFe3+3(AsO4)(SO4)(OH)6
B木村石佐賀県
肥前町満越
100円 日本新産鉱物

太陽光下ではピンク
蛍光灯下では白色

C石膏神奈川県
箱根大涌谷
200円 
D異極鉱長野県
大深山鉱山
300円 
E毛鉱埼玉県
秩父鉱山
道神窪
200円 
Fレビ沸石長崎県
平戸市生月(いきつき)島
100円 
G轟石静岡県
池代鉱山
100円 軟マンガン鉱(?)
   

     @、Aは、山梨県産のもの
     Bは、遠方だし、100円ならと「玉手箱」用に、数個購入
     Cは、箱根で産するとは聞いていたが、実物を見るのは初めて
     Dは、初めて見る良品
     Eは、山梨県産のものと比較用
     Fは、遠方だし、2007年西九州観光旅行で目の前まで行き訪れられなかった
         産地
     Gは、ラベルを信じて購入したが、手に持つと”ズシリ”と重く「軟マンガン鉱」
       らしい。
       2007年の「白丸の自然銅」と同じで、”自分の見る眼のなさ”をまたまた露呈
      してしまった。

 2.3 オークション
     会員が持ち寄った標本の中から、価値の高そうな標本を役員が選んで別テー
    ブルに並べてあった。提供者から採集(入手)の経緯などの説明があった後入札
    して、2番目に高い値段を付けた人が落札する。

     オークションには13点の標本が選定された。それらの中で私が興味を持った
    のは、次の3点だった。

     @ 「山梨県黄金沢鉱山の2次鉱物」+「長野県御座山の日本式双晶」
        2次鉱物の写真が欲しかった・・・・・・・
     A 「秋田県荒川鉱山の緑水晶」
        石友に恵与いただいたのが1つあるのだが・・・・・・・・・・・
     B 「日本全国の沸石21種」
        北は北海道から南は九州まで、自分で採りに行くとなると・・・・・・・

          
     「黄金沢鉱山の2次鉱物」    「荒川鉱山の緑水晶」         「沸石21種」
                       オークション 私の注目品
 

     開票の結果、最高値1点、3番値2点で、結局一点も落札できなかった。(2番値
    の人が落札できる)

       オークション結果

3. おわりに 

 (1) 「田野畑石」
     この会に出席した理由の1つは、石友・Zeolite氏が「掲示板」に書き込みして
    くれた日本産新鉱物『田野畑石』について、「岩代石」のときと同じように、発見
    者の(1人?)堀先生から何か話があるのか、期待していたからである。

     しかし、前にも述べたように、「田野畑石」の”たの字”も出なかった。

     私の2列ほど後ろに座ったW氏が、「田野畑石」を持参し、お披露目してくれた。
    ”握りこぶし大”の理想的な標本サイズで、手にとって拝見させていただき、厚
    かましくも写真を撮らせていただいた。

       「田野畑石」【W氏採集】

     何でも15年ほど前、岩手県田野畑鉱山松前鉱床で採集したが、そのときは
    新鉱物だと思わず、「マンガンペクトライト」のラベルをつけて保管していたらし
    い。
     例の”○人組”で訪れた時、大きな塊を割って分けたので、同じようなレベルの
    標本を皆さん持っているはずだ、とのこと。

     ここは、「吉村石」や「鈴木石」が採れる場所から離れているので、今でも採れ
    る可能性がある、との嬉しい情報をいただいた。

 (2) 「水晶についての考察」
     2007年11月に湯沼鉱泉を訪れたとき、社長から「水晶についての考察」と題
    するA4サイズ 7ページの論文をいただいた。
     湯沼鉱泉を訪れた長野県住の和田さんが、”水晶の成因”についてまとめた
    ものである。
     内容を皆さんに知っていただきたく、「前書き」を引用させていただく。

    『 水晶がどうしてできるのか、という単純な疑問から水晶について考えてみま
     した。学者ではありませんので、道具も装置も持っていません。誤字脱字に
     加え基礎知識そのものに間違いがあるかも知れません。大先生である堀先生
     の本から若干の引用があります。標本資料を整えて下さった湯沼鉱泉社長及び
     関係者の皆様に御礼申しあげます。

      以前からこのアイデアはあったのですが、常識と違う事もあり、長い間すっぽ
     かして来ました。今回文章にまとめてみました。水晶の成因に頷いて下さったの
     が湯沼社長です。改めて御礼申し上げます。

      イラストはフリーハンドですので、正確ではありません。また仮定を基に考察し
     たので、曖昧さを残しています。

                  2007年10月15日                        』

      この論文を私も読ませていただいたが、”浅学非才”の身の悲しさ、適切な
     コメントを差し上げられそうもない。

      そこで、お忙しい中真に恐縮だが、堀先生にこの論文に眼を通していただき
     コメントをお願いした次第である。

 (3) 「エシキン石」
      日本で最初に「エシキン石」が発見されたのは、既報のように、山梨県甲府市
     黒平である。
      これに関する論文が日本岩石鉱物鉱床学会誌に記載されているので、会員の
     H氏に、論文の入手をお願いした。

      到着を楽しみにしている。

4. 参考文献 

 1) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 2) 山田 滋夫:日本産鉱物五十音配列産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
 3) 和田 晋平:水晶についての考察,,2007年
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