平成18年鉱物同志会新年会

       平成18年鉱物同志会新年会

1. 初めに

   私は、鉱物関係のいくつかの団体に所属しているが、その1つに東京に
  本拠を置く、「鉱物同志会」がある。
   この会は、毎年1月に新年会の企画として、鉱物のバザーとオークションが
  行われ、希産、絶産、遠方、外国産鉱物の1級品から駄物まで、幅広く出品
  されるので、できるだけ出席している。
   普段ご無沙汰している遠方の石友とお会いできる、賀詞交換会ともなって
  いる。
   2006年は、1月15日に開催され東京まで出かけた。この冬、日本海側を中心に
  大雪に見舞われており、「山梨は雪は大丈夫ですか?」と心配していただいたが
  正月に雪がちらついた程度で、中央線沿線は昨年の雪景色とは打って変わって
  春を思わせる陽気であった。

       
       2005年【雪景色】        2006年【春かすみ?】
                中央線沿線風景

     新年会では、懐かしい顔ぶれや私のHPを見た方でメールでしかやりとりの
  なかった方々ともお会いできた。
   また、無料標本配布やバザーがあり、私は、年賀代わりに「大正鉱山の錫石」や
  「印西の貝化石に伴う方解石」などを何人かの石友にお渡しした。
   バザーでは、私の住む山梨県産の未入手標本など10点余りを平均単価120円で
  購入した。オークションでは、栃木県の石友・Sさんが出品した「栃木県銀山平鉱山の
  モリブデン鉛鉱」を狙ったのだが、惜しくも100円差で落札できなかった。
   千葉の石友・Tさんとは、久しぶりにお会いし、閉会後に「2人だけの新年会」を開き
  旧交を温めた。ほろ酔い機嫌で特急に乗り込み、気がついたら石和温泉駅であった。
  ( 2006年1月参加 )

2. 内容

 2.1 会長挨拶
     「何でも鑑定団」でおなじみの、堀会長のあいさつで、新年会は始まった。

    @ 創立20周年記念事業
       今年、創立20周年を迎えるので、会誌「水晶」の創刊号の復刻などの
      記念事業を計画している。
    A 産地への立ち入り
       「レインボー柘榴石」の産地で、「森林法違反」で書類送検された人が
      いるので産地への立ち入りに当たっては注意して欲しい。
    B モーツァルト石
       2006年は、モーツァルトの生誕250年にあたる。鉱物に「モーツァルト石」と
      いうのがあり、国内でも産出し、堀さんは実物を見せてもらったが”茶色い
      結晶で??”。産状からして、広い範囲で産出する可能性がある。

 2.2 バザー
    その後、皆さんお待ちかねのバザーに移った。会員が持ち寄った標本に
   提供者や役員が値付けし、テーブルの上に並べておき、十分下見したあと受付
   順に20名くらいずつグループになり、”ジャンケン”で決めたグループの順番に
   従って、ひとり1点選んで精算する。
    2順以降は、点数制限なし、最後は半額サービスとなった。

   (1)提供品
       今回も、山手線で途中下車し、駅周辺で、鉱山、鉱物関係の郵便切手などを
      漁っていて、開会間際に会場に到着したら、バザー出品受付が終了して
      いた。
       従って、今回は提供品なしです。

   (2)購入品

No  鉱  物  名   産   地 価 格  標  本  写  真
@灰クロム柘榴石北海道八田(はった)鉱山100円
A神津閃石岩手県田野畑鉱山100円
B含砒素燐灰石福島県御斎所鉱山200円
     白色(太陽)光


     紫外(ミネラライト)光

Cブーランジェ鉱埼玉県秩父鉱山100円
D中宇利石埼玉県二ノ宮100円
E玄能石東京都あきる野市100円
F石膏神奈川県大涌谷100円
Gチタン石
(旧名くさび石)
束沸石を伴う
山梨県水晶峠100円
Hチタン鉄鉱山梨県大月市100円
I鉄礬柘榴石山梨県富士河口湖町100円
Jゼノタイム三重県竹原鉱山200円
K灰重石岡山県
山宝(さんぽう)鉱山
100円
     白色(太陽)光


     紫外(ミネラライト)光

   

     @Aは、遠方の産地で行く時間(お金)もないし、行くより安いし、行っても採れる
         かどうか分からないし。Aは、新鉱物の原産地標本。
     Bは、「いわき市鉱物誌」にもなく”初見”
     Cは、何で買ったか??
     Dは、原産地以外の「中宇利石」標本
     Eは、東京の鉱物
     Fは、箱根の鉱物
     G、H、Iは、地元「山梨県」の産地で、標本未入手
     Jは、希元素鉱物
     Kは、山宝鉱山のものは、”初見”

      などなど、勝手な理屈をつけて、今回も買い込んでしまった。

 2.3 オークション
     会員が持ち寄った標本の中から、価値の高そうな標本(今回13点)を役員が
    選んで別テーブルに並べてあった。提供者から採集(入手)の経緯など説明が
    あった後入札して、2番目に高い値段を付けた人が落札する。

No  鉱 物 名   産   地    標   本   説   明落札価格
@ウルツ鉱・津軽鉱青森県湯の沢鉱山 2005年ミネラルショーで
7000円で販売
6,600円
Aベスブ石長野県川上村東沢 新産地、岩戸鉱山産に似た産状3,550円
B北海道鉱物セット(17種)北海道各地 小さいな標本
”絶産”のものもある
6,700円
Cジェムストーンセット
(約120)
世界各地 ケースだけでも1つ130円1,280円
D水晶長野県南相木村 緑泥石や角閃石を含む
こともある
3,800円
E水晶・日本式双晶山梨県乙女鉱山 2年前採集(採集禁止前?)
接着品
9,800円
Fコベリン(銅藍)山梨県増富鉱山 切断品
昭和50年頃、貯鉱場で採集
3,600円
G閃亜鉛鉱新潟県白板鉱山 今では、採れないかも4,800円
H水晶・双晶セット(5種)長野県南佐久郡 大深山鉱山、大深山林道
川端下露頭、甲武信水晶坑
相島鉱山
5,200円
Iモリブデン鉛鉱、緑鉛鉱栃木県銀山平鉱山 ”熊”が出る!!4,800円
Jモリブデン鉛鉱、緑鉛鉱
白鉛鉱
栃木県銀山平鉱山 5,600円
K砒鉄鉱、ホセ鉱?? 4,150円
L水晶岩手県
和賀仙人鉱山
 赤鉄鉱を伴う2,750円

     私は、「銀山平鉱山のモリブデン鉛鉱」狙いで入札したが、惜しくも100円差で
    落札できなかった。

3. おわりに 

 (1) モーツアルト石
      堀会長の挨拶の中にあった、モーツァルトはオーストリアの作曲家で、本名が
     ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756〜1791)である。彼の名前に因む
     「モーツァルト石」について、早速調べてみた。

     【Mozartite:CaMn3+(OH)SiO4
     結晶系:斜方
     産地  :愛媛県上須戒鉱山
     発表  :皆川 鉄雄   鉱物学雑誌(1995年)

     ”3価のマンガン”を含むことがポイントのようなので、素人考えでは、ブラウン鉱
    【Braunite:MnMn3+6(SiO4)O8】や紅簾石【Piemontite:Ca2Al2Mn3+[OH]O|SiO4
    Si2O7]】が産出するところなら、可能性がありそうな気がする。
     ”紅簾石”となると、やはり四国か秩父(長瀞)周辺か・・・・・・・・・・

 (2) この会に出席すると、今どの産地がフィーバーしているのかよく分かる。
    しかし、昨今の各地での「採集禁止」が響いてか、オークションにはごくごくありふれた
    鉱物の1つ”水晶”が1/3近くを占め、”水晶オンパレード”の感があった。

 (3) 参加者の顔ぶれを見ると、私を含めオジサンがほとんどでチラホラとオバサンがいて
    若い人は、数えるほどであった。今回出席した人が会員の年齢構成をそのまま
    反映していないかもしれないが、それにしても”高齢化”が進んでいるのをまざまざと
    感じた。
     私がご一緒するミネラルウオッチングの参加者は、女性や子供が半数近くを占め
    永く続くことを願っている。今年も、皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。

4. 参考文献 

 1)光野 千春 et al:岡山の地学,山陽新聞社,平成4年
 2)松原 聰:日本産鉱物種,鉱物情報,2002年
 3)加藤 昭:マンガン読本,関東鉱物同好会,1998年
 4)関内 幸介:いわき市鉱物誌,,平成16年
 5)宮島 宏:日本の新鉱物 1934-2000,フォッサマグナミュージアム,2001年
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