平成23年 鉱物同志会新年会







           平成23年 鉱物同志会新年会

1. 初めに

    私は、鉱物関係のいくつかの団体に所属しているが、その1つに東京に本拠を置く、
   「鉱物同志会」がある。
    この会は、毎年1月に新年会の企画として、鉱物のバザーとオークションが行われる。
   希産、絶産、遠方、外国産鉱物の1級品から駄物まで、幅広く出品されるので、できる
   だけ毎年出席するようにしている。
    また、普段ご無沙汰している遠方の石友とお会いできる、賀詞交換会にもなってい
   る。

    2011年は、1月16日(日曜日)に開催され、千葉県の単身赴任先から参加した。
   朝起きると、周りは一面の銀世界で、電車は動くのだろうか心配になったが、8時
   過ぎには雪もほとんどやみ、晴れ間ものぞき、マンションをでた。

     2011年初雪
 

    午前中、都内で開催されている骨董市を訪れたが、3店しか出店が無く、得るも
   のは何もなかった。
    その後、新宿にある切手店を訪れたところ、外国の鉱物、宝石そして鉱山関係の
   切手を貼った封筒(エンタイア)があったので、めぼしい品を選び、昼食を済ませて
   会場に到着すると、13:30の開会時間だった。

    会長の挨拶、「三川鉱山」採集会報告、オークション入札そしてバザーと進み、
   「長野県川上村川端下(かわはけ)の玉滴石」はじめ、10点近くの標本を入手した。
    残念ながら、オークションは惜しいところで入手できなかった。

    会場で「MH!!」、と声を掛けられ振り向くと、石友・Tさんだった。3年ほど前
   体調が良くなかったのだが、22年、23年と続けて新年会に参加できるまでに回復し、
   差し上げた「花園山の電気石のお蔭だ」と喜んでおられた。
    会がお開きになった後、Tさんともう1人の石友と近くの喫茶店で新年を祝いながら
   ”孫自慢で爺馬鹿”ぶりを発揮し、今年こそ産地をご一緒する約束をしてお別れし
   た。

     会社のPCのデスクトップを飾る孫の写真
 

    長野県向谷鉱山など、新しい産地の情報をいくつか入手できたのも大きな収穫で、
   春からのミネラル・ウオッチングがますます楽しみになった。
    ( 2011年1月参加 )

2. 内容

 2.1 会長挨拶
       私が会場に到着すると、受付順番は94番(22年は91番)で、参加者は全部で
      100名との話だった。
       参加者の関心が、隣の部屋のオークション品やバザー標本にあるのを見透か
      した堀会長からは、会誌『水晶』に記事の投稿依頼の短い挨拶があった。

       挨拶する堀会長
 

 2.2 新入会員紹介
       新入会員4名の紹介があった。いずれも小中高生らしく、白髪の参加者が
      目立ち 「ジャパン・シンドローム(日本症候群)」の縮図の感がある会として
      は、活性化を図る良い傾向だ。
       中には、「出戻り新入会員」もいて、会場の笑いを誘った。

       新入会員挨拶
 

 2.3 「三川鉱山」採集会報告
       2010年10月30日、「三川鉱山」で30余名が参加した採集会が開催された。
      この日は、私の主催するミネラル・ウオッチングの顛末をHPに掲載したとおり、
      季節はずれの台風の襲来だった。

      ・2010年 秋のミネラル・ウオッチング
       ( Mineral Watching Tour , Fall 2010 , Nagano Pref. )

       長野県のわれわれと違い、日本海側の産地は風は強かったものの、雨には
      降られず、「藍銅鉱(アズライト)」や「青鉛鉱」などは、全員が採集でき
      たらしい。
       この産地の目玉の1つ、「炭酸青針銅鉱」は運の良い一握りのメンバーしか
      採集できなかったようだ。

       「炭酸青針銅鉱」を拝見したが、トルコブルー、針状結晶が放射状に伸び
       た球状で、素晴らしい標本だ。

 2.4 オークション
      参加者が持ち寄った標本のうち、役員が価値が高いと判断した品をオークショ
     ン品として選り分けてあった。
      それに、入札し、2番目に高値をつけた人が落札できる権利を得る。

      今回、「三川鉱山の鉱物セット」、「天沼鉱山の自然金」、「長野県向谷鉱山
     のテルル蒼鉛鉱」などの国産品や「中国産灰重石」などの外国標本など14点が
     並んでいた。

      ぜひとも欲しいという標本は無かったが、お付き合いで「天沼鉱山の自然金」
     などに入札した。

      14点中、2点は、入札ゼロ!と1人しかいないという状況が標本のレベルを暗示
     している。
      「天沼鉱山の自然金」は、私が第3位の価格をつけ、第2位の人がほかの標本も
     落札できる権利が生まれ、微妙だったが、結局落札できなかった。

       オークション結果
 

 2.5 バザー
      参加者が持ち寄った標本に提供者や役員が値付けし、テーブルの上に並べて
     おき、十分下見したあと、受付順に25名ずつグループになり、”ジャンケン”で
     決めたグループの順番に従って、ひとり1点選んで精算する。(最低値100円)
      3順目以降は、点数制限なしになった。

       下見風景【2010年】
 

   (1) 提供品
        今回は、千葉県に単身赴任しており、お出しするほどの標本が無くパス。

   (2) 購入品
        バザーが始まる前の15分ほどの下見の時間で大雑把にバザー品を見て回る
       と同時にオークション品に入札した。
        「長野県川上村川端下の水晶・玉滴石」があったので、マークしておいた。

        私のグループは、4グループ目で、めぼしい品は残っていなかったが、マ
       ークしておいた「川端下の玉滴石」は残っていたので、シッカリ確保した。
        200円也。

        2007年11月、湯沼鉱泉社長らと、「川端下の水晶坑道」を訪れ、両翼20
       センチを超える『鎌形水晶』と呼ぶ「日本式双晶」を掘り出したことをHPで
       報告した。

       ・長野県川上村の日本式双晶 巨晶 その2
        ( Big Japanese Law Twins from Kawakami Village - Part 2 -
         Nagano Pref. )

        このとき、白〜青白い”玉髄”質の鉱物を採集し、上のページに記載し
       た。これが、ひょっとしたら『玉滴石』ではないかと思い直し、比較のため
       購入したかったのだ。

        この標本を提供したNさんが会場にいたので、採集した場所を聞くと、私
       が採集したと同じ坑道の中だと分かり、納得した。
        2順目で「北海道国力鉱山のオホーツク石とマンガンパンペリー石」を
       100円で購入。
        その後は、点数制限なしとなり、「山の尾の長石」、「竹森のススキ入り
       水晶」、「朝日根のパンペリー石」、「北海道旭鉱山の辰砂」などを購入
       した。いずれも100円〜200円。
       ( 採集禁止になった山の尾や竹森は今や古典的産地で貴重な標本 )

No  鉱  物  名産  地価 格
(円)
 標  本  写  真 備 考
@玉滴石長野県
川端下
200円
     白色光(太陽光)


     紫外光(ミネラライト)

 ミネラライトを当てると
緑色に見えるのだが
岐阜県中津川のもののように
鮮やかな緑色の蛍光は示さない
Aオホーツク石北海道
国力鉱山
200円  1987年発見の日本産
新鉱物
 マンガンパンペリー石を
伴う
B辰砂北海道
旭鉱山
100円
 5mm大の自形結晶
Cカリ長石茨城県
山の尾
200円    
 この産地にしては
珍しい自形結晶
D水晶山梨県
竹森
水晶山
200円    
 ススキ(苦土電気石)
入り

 Cとならんで今や
古典的産地

        下見のとき、1,000円〜500円ほどで、「千葉石」が数点出品してあった
       のだが、私の順番の時には、既にカケラもなかった。
        後ろに座った人に500円で入手した標本を見せていただいたが、『白濁』
       しているのと、結晶がルーペサイズなのが気になった。
        それでも、ミネラルショーで売っていたものの1/10の安さだ。

3. おわりに 

 3.1 『ゼネラル・コレクション』
      私の趣味の1つ、郵便切手の世界では、発行された切手を全て収集する方法を
     『ゼネラル・コレクション(General Collection)』、収集する人を『ゼネラル
      ・コレクター』、と称している。

      2010年10月、「飯豊鉱山」など、新潟県の産地をご一緒したO氏もその一人ら
     しく、「私は、国産○○○種、MHは、何種持っていますか?」と聞かれた。
      ( 「私は数えたことはないが、200種くらいでしょう」と曖昧な答えだ )

      2011年の某氏の年賀状にも、『ただいま△△△種』、とあり、ゼネラル・コレ
     クションを目指している人が、少なくないようだ。
      「千葉石」を入手した人が、「これで1種増えた」、とつぶやいていたのも同
     類なのかもしれない。

      私が完集した、「日本産鉱物50種+番外4種」も、80%くらいまでは簡単に集
     まったのだが、「日三市鉱山の荒川石【正式鉱物種:ベゼリ石】、「荒川鉱山の
     三角黄銅鉱」、「手稲鉱山の手稲石」そして「眉山のルチル」など最後の数点は
     1種に1年か2年かかり、使ったお金も馬鹿にならない。

      日本の郵便切手界では、『ゼネラル・コレクター』がいると聞いたこともない
     し、誰もが不可能だと認識しているようだが、鉱物の世界ではどうなのだろうか。

 3.2 『トルマリン・パワー』Part2
      今から2年ほど前の2009年3月末、1回目の千葉県への単身赴任を終え山梨に
     引き上げる帰途、石友にお会いした。その前に届いたメールに 「重篤な状態と
     医者から宣告された」とあった。
      私達夫婦がお会いするとすっかり病魔に侵されたのか、歩くのも大儀そうで、
     ひょっとしてこれが見納めにならなければ良いが、と思ったほどだった。
      2009年3月、栃木の石友・Sさん一家と訪れた「花園山」のページを読んでいて、
     是非「花園山の鉄電気石」を記念に欲しい、というのでHPに載せた品を差し上げ
     た。

        花園山産「鉄電気石」

      それから、半年が過ぎ、元気溢れる石友からメールをいただいた。病魔はスッカリ
     退散した、とあった。去年の新年会に引き続き今年もお会いすると、以前と変わ
     らぬ元気さで、差し上げた「花園山のトルマリン(電気石)のお蔭だ」と喜んで
     おられた。

      この話を病気で苦しむ関西の石友にお知らせしたところ、「是非送って欲しい」
     というので、差し上げた。
      2010年暮れにいただいたメールには、近場での採集に行けるまで、体調が回
     復したとあり、喜んでいる。

      『トルマリン・パワー』 だろうか。

 3.3 『新産地』
      今回、オークションに「長野県茅野市向谷鉱山産 テルル蒼鉛鉱」が出品され
     出品者のラベルに、『新産地』、とうたっていた。
      会場に居合わせた人に場所を聞くと、ハッキリ教えてくれなかったが、大体の
     場所は分かった。「金鶏鉱山」近くと私が予想した位置とさほどずれていない
     ようだ。

      「金鶏鉱山」のHPに書いたように、今の産地は雪に覆われいているはずで、
     春になってからの探査が楽しみだ。

     ・長野県茅野市金鶏鉱山の鉱物
      ( Minerals from Kinkei Mine , Chino City , Nagano Pref. )

4. 参考文献 

 1) 宮島 宏著:日本の新鉱物 1934-2000,フォッサマグナミュージアム,2001年
 2) 山田 滋夫:日本産鉱物五十音配列産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
 3) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 4) 松原 聰:鉱物ウオーキングガイド 全国版,丸善株式会社,平成22年


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