2002年4月福島県伊達永井鉱山の近況

2002年4月福島県伊達永井鉱山の近況

1.初めに

福島県裏半田鉱山への途中、丸1年ぶりに、福島県霊山(りょうぜん)町
藤搦(ふじからまり)にある、伊達永井鉱山に立ち寄った。
1年前に鉱山の選鉱場などの建物を取り壊してしまい、ズリも殆ど残っておらず
採集できない状況です。
事務所においてあった有名な「柘榴石」も行方知れずで、見せていただくことが
できませんでした。
断って、ズリで代表的な標本を採集させていただいたが、良品はありません。
(2002年4月採集)

2.産地

福島市の東25km、伊達郡霊山町石田にある。霊山町から相馬市に向かい、
石田集落の東はずれの藤搦(ふじからまり)のバス停から右に坂道を登ると、
約100m先の右手に鉱山施設がある。その手前の民家が永井鉱山長の自宅である。

3.産状と採集方法

ここは、竹貫型変成岩に挟まれた石灰岩と黒雲母花崗岩による接触交代鉱床
(スカルン)である。
坑口前の建物の周辺や貯鉱場跡などに残るズリ石から、標本を採集する。
坑口前での記念写真
永井鉱山採集風景

4.産出鉱物

今回は、灰バンザクロ石、ベスブ石、透緑閃石などが採集できました。
前回(1年前)に採集したものを、参考に示します。
(1)灰重石【Scheelite:CaWO4】
長い鉱山の主要鉱石で、白色だが方解石のような光沢がなく、脈状に入っており、
ミネラライトを照射すると独特の青白い蛍光を示す。自形結晶は探せなかった。

灰重石【白い部分】
(2)灰ばん柘榴石【Grossular:Ca3Al2(SiO4)2】
赤黒〜赤褐〜黄、不透明〜透明まで、偏菱12面体の結晶で産する。幅の広い
方解石脈の中にあるものは、粒も1cmを超え、光沢も良く美しい標本となる。

灰バン柘榴石
(3)ベスブ石【Vesuvianite:Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4】
塊状の柘榴石の中に、柱状または放射状の緑褐色結晶として産出する。緑簾石との
見分けが付かないと言われるが、縦に条線がある事が特徴。

ベスブ石

5.おわりに 

(1)鉱山施設はほとんど取り壊されていました。
(2)鉱山前を100mほど行った山際にズリがありますので、これから採集する場合、
そちらを攻めたほうが良いでしょう。
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