長野県川上村千曲川(ちくまがわ)の砂金 その2











      長野県川上村千曲川(ちくまがわ)の砂金 その2

1. 初めに

    私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと春のGWと
   秋の年2回、定期的にミネラル・ウオッチングを開催するようになって10年目を迎えた。
    2010年秋は、「山梨県・長野県のマル秘産地を訪ねて」、と題して2回開催した。

    ・2010年 秋のミネラル・ウオッチング
     ( Mineral Watching Tour , Fall 2010 , Nagano Pref. )

    2回目には女性の参加者も多く、希望者が多かった長野県川上村を流れる千曲川での砂金
   採集を組み入れてみた。HPに掲載したように、皆さん満足できる砂金を採集できたようだ。

    ・2010年 秋のミネラル・ウオッチング Part2
     ( Mineral Watching Tour , Fall 2010 ,- Part2 - Nagano Pref. )

    ミネラル・ウオッチングに先立ち、湯沼鉱泉社長に昔の話を聞き、ポイントを探るため千曲川
   の本流、支流の何箇所かでパニングを行い砂金を採集できたが、これらの砂金がどこから来た
   ものか特定できていなかったのが引っかかっていた。

    2010年末、湯沼鉱泉の社長とお姐さんに挨拶に行こうと思っていたが、帰省した孫たちを
   相手に遊びに夢中で機会を失ってしまっていた。3月になって、2ケ月ぶりに山梨に戻り、湯沼
   鉱泉を訪れると、社長、お姐さんそして生まれて間もない7匹の川上犬が歓待してくれた。社長は
   「○○の奥に水晶が出るところがあるから、皆を案内できるように探しておかア」、と以前より
   鉱物採集に意欲が出てきたようで安心した。

    この日は、千曲川の砂金がどこから来ているのかを調べるため、埼玉県との県境から西に流れ
   る東沢の水系でのパンニングを試みた。しかし、場所を変えながら何回やってもパンニング皿
   の底に残るのは真っ黒い磁鉄鉱(砂鉄)だけで、砂金は一片も見つからなかった。
    2010年の探査結果と総合すると、予想されたことではあるが、千曲川の砂金は、そのほとんど
   が、支流の梓川と金峰山川から供給されている。この2つの川に挟まれた位置に「甲武信鉱山」
   があるのも納得できる。

    ・長野県川上村千曲川(ちくまがわ)の砂金
    ( Placer Gold from Chikumagawa River , Kawakami Villadge , Nagano Pref. )

    関西の石友から「今年も恒例のミネラル・ウオッチングを開催するのですか?」、と問合せをいた
   だいた。大震災、原発事故にともなう放射能汚染と気がかりなことが多い昨今だが、こういった時
   こそ石友との親交を温めたいと思っている。
    ( 2011年3月訪問 )

2. 産地

    長野県川上村を流れる千曲川流域一帯が産地だ。詳しい場所は、湯沼鉱泉に宿泊して社長に
   教えてもらうとよいだろう。

      
                           川上村砂金産地地図

    今回トライしたのは、埼玉県境から川上村に流れてくる東沢水系の川で、集落のすぐ脇だ。ここ
   から見える周りの山々には雪が残っていた。

        
               千曲川                    パンニング場所
                          砂金探索地

3. 産状と採集方法

    砂金は比重が約20と、水晶(石英:2.6)の約8倍もあり、川の砂礫層の下に堆積しているので、
   それを掘り起こして、パンニングするのが一番簡単な採集方法だ。パンニング方法と理論は次の
   ページにまとめてある。

    ・鉱物採集の技(1) パンニング
     ( Technique for Mineral Hunting (1) , Panning , Yamanashi Pref. )

    砂金は『寄せ場』、と呼ばれるポイントに集まる。川岸にテトラポットを設置した場所が条件を満
   たしていそうな雰囲気だったのでここでパンニングした。

4. 採集鉱物

    今回観察できた鉱物は「磁鉄鉱」(砂鉄)だけで、持ち帰るような標本は何もなかった。

5. おわりに

 (1) 川上村の春
      この季節、湯沼鉱泉を訪れるとき気になるのが川上村の気温だ。道路脇に設置された温度
     表示を見ると朝8時で4℃だった。マイナスではないかと予想していたが、思ったより暖かい。
      湯沼鉱泉に到着すると、宿の前の駐車場にも雪が残っていた。お姐さんの話では、数日前
     に降った雪が残っているらしい。

        
            気温表示【4℃】                 湯沼鉱泉駐車場
                         川上村の春

      社長の話では、この冬は例年より寒かったようだ。それでも確実に春が訪れているようで
     「○○の奥に水晶が出るところがあるから、皆を案内できるように探しておかア」、と社長の
     鉱物採集意欲も湧きあがってきたようだ。

      石友・N夫妻から、「今年も恒例のミネラル・ウオッチングを開催するのですか?」、と問合せ
     をいただいた。大震災、原発事故にともなう放射能汚染と気がかりなことが多い昨今だが、こ
     ういった時こそ石友との親交を温めたいと思っている。
      大勢の石友と湯沼鉱泉でお会いできるのを楽しみにしている。

 (2) 石器観察
      帰途、石友・小Yさんに教えてもらった場所で石器観察をやってみた。(妻は車の中で待機)
      八ヶ岳の見える畑の中を歩き回り、石槍らしきものを拾い、写真を撮って、もとあった場所の
     辺りに戻しておいた。
      八ヶ岳の麓の雪は溶け、ここでも春がすぐそこまで来ていることが感じられた。

        
              八ヶ岳遠望                  頁岩製      黒曜石製
                                             石槍
                             石器観察

6. 参考文献

 1) 小出 五郎:長野県川上村川端下(かわはけ)付近の鉱物,我等の鉱物,昭和16年
 2) 加藤 公夫:写真版 北海道の砂金掘り − 三津田三郎さんの採金技法 −,
                                北海道新聞社,昭和61年
inserted by FC2 system