「日本地質学雑誌」明治29年(1896年)7月号に掲載された五無斎の論文、と言うより
目録である『長野県小県郡鉱物標本目録 保科百助 撰』には次のような”鉱物”が掲載
された。(1部のみ抜粋)
×印は保科氏其地方に於て採集し ○印は同氏の新発見なり |
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番号 | 名 称 | 産 地 | 方名 | 備 考 | 一 | 自然硫黄× | 長村字角間 | 現ニ採掘願中ナリ | 二 | ○赤鉄鉱 | 武石村大字下本入 | 七 | ○方鉛鉱× | ? | 本原学校補習生徒ナルモノ神川ノ下流ニ於テ 採集スルトコロニカカル・・・・・・ |
一四 | ○角閃石× | 長窪古町字立岩 | 二一 | 光線状泡石× | 中塩田村産川 | 蛇骨 | 二二 | 十字石× | 西塩田村字前山 | チガヒイシ | 十字形ヲナス石ノ謂ナラン?・・・・・・・・ |
二八 | ? × | 武石村大字下本入 | 焼餅石 | 球状ニシテ中ニ緑色光線状の結晶物 |
長野県北佐久郡横鳥村 保 科 百 助 |
ここに22番として掲載された、”十字石”、地方名で”違い石”と呼ばれた「中性長石の双晶」を
求めて、上田市の各地を彷徨ったので、報告させていただきます。
(2004年11月採集)
@弘法山
上田市塩田にある弘法山で、前山寺(ぜんざんじ)の西側にある道路を車で行ける
所まで行き、そこから歩いて登ると「聖観音」や「千手観音」などの石仏があり、
この登山道から頂上にかけて「違い石」と稀に高温石英を拾うことができる。
しかし、松茸シーズン(9月中旬〜11月中旬)は、入山禁止になっているので採集時期を
選ぶ必要がある。
A竜光院
前山寺の西にある竜光院の裏手に露頭があり、「違い石」を拾うことができる。
ただし、現在位牌堂の建設中で平成17年5月ごろまで立ち入り禁止です。
B「蛇骨」で有名な沢山池の北東にある塩野神社の中を流れる沢の岸辺や月見台に至る
山道の脇の土砂が崩れた場所。
ここでは、高温石英や月長石の破片も採集できるとある。
(2)高温石英【High Quartz:SiO2】
噴出岩や深成岩の斑晶成分で、両錐八面体をなし、微細なクラック(ひび割れ)が
走り、不透明に見える。中性長石に比べるとその数は少なく、今回産地Bで2ケ採集した
のみであった。
このほか、小さな玉髄などが採集できます。