福島県郡山市愛宕山採石場の鉱物

福島県郡山市愛宕山採石場の鉱物
1.初めに

福島県郡山市中田町にある愛宕山採石場は、現在でも稼行している
採石場である。
以前から、名前は知っていたが、様子が分からず、今回、石友の高橋氏に案内
していただき、手掴みで電気石を採集するなど、貴重な体験をし、綺麗な
鉄バン柘榴石や紅石英など、この産地ならでではの鉱物を採集した。
案内していただいた高橋氏と採石場への立ち入りを快く許可していただいた
関係者に厚く感謝致します。
(2001年6月採集)

2.産地

石川町から須賀川市に向かい、須賀川三春線で北上し、国道49号線を
横切り、県道54号線に入る。手代木(てしろぎ)の集落を過ぎると右手に、
「愛宕山採石場」があります。

愛宕山採石場【梅沢氏の地図を編集】
現場事務所に挨拶に伺い、入場の許可をお願いすると、「いいよ、でも命の
保証はない。」と脅かされ(からかわれ?)る。
「今は、良いものが採れなくなった。」との事。
早速、ヘルメットを着用し、採集に向かう。

3.産状と採集方法

ここでは、角閃石片岩や超塩基性岩(蛇紋岩)を貫く花崗閃緑岩に伴う
ペグマタイトが見られるなど、地質の見本のような場所で、各種の鉱物が
採集できる。

左:採石場北面左:採石場の東面
現役の採石場ですから、新鮮な掘削面の晶洞や岩石の境界面や色が変化して
いる場所などを丹念に探し、目的の鉱物を掻き採ります。また、かつて掘削した
ペグマタイトに伴う石英、雲母などと共に、石榴石や電気石などが集中して
散乱(層になっていた)している場所がありますので、表面採集でも、
良いものを発見できます。

4.産出鉱物

(1) 鉄電気石【Schorl;NaFe3B3Al3(Al3Si6O27)(OH)4】
黒色柱状で縦に条線があるのが特徴です。帰りに高橋氏が現場事務所で頂いたものは、
径15cm、長さ30cmと大きな物でした。
今回探したものは、頭付きがありませんでした。

鉄電気石【5cm×8cm】
(2) 鉄バン石榴石【Almandite;Fe3Al2(SiO4)3】
ここの鉄バン柘榴石は、雲母などと隣接し石英に埋もれているものが多いの
ですが、電気石の中に埋もれたピカピカの石榴石を採集した。

左:鉄バン柘榴石【雲母と共生】右:鉄バン柘榴石【電気石と共生】
(3) 紅石英【Rose Qualtz;SiO2】
ペグマタイトの石英が散乱している場所で、ほんのりピンクに色付いた紅石英を
2個体偶然に採集。

紅石英

5.おわりに

(1)現在も稼行している採石場ですので、入場許可を得てから採集しま
しょう。また、くれぐれも事故が無いように、ヘルメットの着用、2人以上で採集
するようにしましょう。
(2)以前と採掘している岩質が変わっているようで、ドロマイトなどは、
ほとんど見かけませんでした。これから採掘が進めば、変わった鉱物が採集でき
そうですので、また、訪れたいと考えています。
(3)帰り道、手代木(てしろぎ)に立ち寄ってみました。採掘跡は分かった
のですが、採集できたのはボロボロの電気石だけでした。サファイアを含む紅柱石や
手代木石は影も形も探せませんでした。ここも、次回のお楽しみです。

6.参考文献

1)梅沢俊一:鉱物産地をたずねて,1995
2)福島県地学のガイド編集委員会編:福島県地学のガイド,コロナ社,1995
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