荒川*を遡ってきた釣り人から、『来る途中に”紫水晶”が一杯落ちていた』、と聞いた
と言うのである。さらに、その日会った、別な釣り人も同じようなことを言っていた、と
聞くと間違いなさそうである。
* 金峰山に源を発し、水晶峠、乙女鉱山、黒平集落、昇仙峡などを経て甲府市民
の飲み水となり、富士川に合流する。
2週間後に、荒川流域の探査を実施する事にした。上流側のA地点に集合し、私の
車で下流側のB地点に行き、ここから荒川の川岸を遡行し、紫水晶を探査しようという
のが計画の概要だった。
荒川の川岸の岩にかかった飛沫が凍っているほどの寒さの中、両岸に別れ、探索
すると、膨大な量の石英塊や石英片が落ちていて、期待が膨らむ。
1kmあまり遡上すると、川岸の石英で”薄いピンク”に見えるものがある。よくよく見ると
「褐鉄鉱」で汚れた石英が光線の加減で”紫水晶”に見えることが解った。
どうやら、これが”紫水晶”の正体らしい。さらに遡上を続け、巨大な一枚岩を大きく
高巻きにし、見慣れた場所から林道を通り、Mさんの車まで、約6km、4時間余りの強行
探索だった。
途中、至近距離での銃声、おびただしい数の”熊の糞”にビクビクしながらの探査行の
成果は、湯沼鉱泉社長へのお土産、40cmの”母岩付き日本式双晶”2つだった。
結局、”幻の紫水晶”に終わったが、気になっていた産地に1つ、決着をつけられた
ので、気分的に楽になった。同行いただいたMさんに、厚く御礼を申し上げる。
( 2007年11月 調査 )
見逃すことがないよう、両岸に別れて調べることにした。ウエーダー(胴長靴)では歩
きにくいが、深みがあると遡上できないので、長靴をはき、念のため、ウエーダーを
ザックに背負っていくことにした。
( 結局、ウエーダーは使わず、深みは高巻きして回避した )
荒川本流に下りると、岸辺や水中におびただしい数の石英塊や片が散乱している。
(1) 石英【QUARTZ:SiO2】
これって、”われわれが獲物!!”
( 「助けて、ヘナK小隊」・・・・・大隊長 )
この日、林道脇で出猟の準備をしているグループに出会い、猟犬を荷台に積んだ
何台かの軽トラックともすれ違った。
黒平周辺には、多くのハンター(Animalhunters)が入り込んでいるので、”誤射”で
殺されない注意が必要だ。
(2) 今回、全く訪れたことがなかった地域の探査行で、初めて見る景色、風物が心を
豊かにしてくれた。
ガマ(晶洞)は開かなかったが、”緑釜”が見られただけでも大満足だ。
(4) 探査行の成果は、湯沼鉱泉社長へのお土産、40cmの”母岩付き日本式双晶”
2つだった。
母岩は、「猿の腰掛」で好まれる”栂(つが)”で、”母岩”に相応しい木である。
(5) 2003年に開拓(再発見)した向山鉱山の露頭や△△△は、今でも訪れるたびに
歓迎してくれ、誰かしらがガマ(晶洞)を開け良品を採集している。
このような良い思いをするには、今回のような地道な努力の積み重ねが必要で
それがあるからこそ、ガマが開いたときは、何倍も嬉しい。
『 東に紫水晶の美晶、西に綺麗な石榴石 』、の情報で産地を追い掛け回す
だけに終わりたくない、との思いを強くしている昨今である。