(1)石墨(黒鉛)【Graphite:C】
ここの石墨は、変成岩の中に、脈状や小さな塊状で産する。晶質石灰岩の中に、小
さな葉片状で産するものは、一見「輝水鉛鉱」を思わせる。
石墨を持ち合わせた白紙の上で擦ると、真っ黒い線が引ける。私たちの身近な”鉛筆
の芯”の原料になっていることに納得させられる。
このほか、採集できる鉱物は見当たらなかった。
(2) それから15年余りが過ぎ、天生を訪れてみると簡易郵便局は、真新しい局舎に変わ
っていた。
天生鉱山のズリは、簡単に見つかり、念願の標本を手に入れることができた。同行
いただいた石友・Mさんに厚く御礼申しあげます。
(3) 天生鉱山の石墨は、自形結晶を示すわけでもなく、美しい色合いをしている訳でも
ない。
”五無斎”こと保科百助を評した言葉ではないが、1つは持っていたいが、2つは
いらない標本である。