その後、テレビだったか情報誌だったかで、『福島県のある道の駅で貝化石を販売
茨城県ひたちなか市にある、最先端半導体工場から技術コンサルタントとして
盆の入りで、社長は忙しいご様子だったが、採掘場の見学をお願いすると、私の人品
ここで、たまたま、貝化石の空隙の中に、あめ色の犬牙状方解石が結晶した”飴石”と
この採掘場にある貝化石は、この会社の主力商品の大切な原材料であり、無断で採掘 ( 2006年8月入手 )
福島県立博物館の「図説 福島県の化石」によれば、ここの産状は次のとおりである。
『 この周辺には久保田層と呼ばれる中新世後期の前期(1100万年前〜900万年前)の
社長に案内していただいた貝化石の採掘場では、高さ約15mの崖をベンチカット
3.2 採集方法
社長から、『 あのあたりが、”飴石”がでやすいところ 』と教えていただいた
(1)飴石(貝化石中の方解石結晶)【Calcite on Shell Fossil:CaCO3】
(2)化石【Fossil:―】
また、この地域の化石に関する資料や情報を送っていただいた、平地学研究会の
(2) この採掘場にある貝化石は、この会社の主力商品の大切な原材料であり、無断で
(3) 道の駅には、江戸時代天領であったこの地の代官・寺西重次郎封元(じゅうじろう
1)天はおそろし
子供の虐待、自然災害など身近で暗いニュースの多い現在、心すべき言葉である。
(4) 今回、”飴石”なるものがあることを初めて知った。インターネットで調べてみると
( Calcite on Shell Fossil from Inzai City , Chiba Pref. )
している 』との情報を得た。
招請され2006年7月に赴任した。
仕事が軌道に乗るまでは、『ハンマに封印』してという決意で赴任したが、最初の
1週間の現状分析で、改善策提言の粗筋が読め、2週間目の週末には骨董市やミネラル
ウオッチングで産地を回る余裕も出てきた。
真っ先に訪れて見たい場所の1つが、この貝化石中の方解石産地であった。これらの
貝化石を産出する採石会社を訪れ、平地学研究会の会員であること、富田会長の紹介で
来たことなどを応対に出た社長にお話しすると、事務所に飾ってある貝、鯨骨、植物な
どの化石を手にとって見せてくれ、貝化石の中の方解石結晶を”飴石”呼んでいる、と
教えてくれた。
飴石(貝化石中の方解石) 鮫の歯
骨柄をしげしげと見回した後、『 採集は許可していないが、観察だけなら案内します 』
と、車で約15分ほどの採掘現場に案内してくれた。
ここで、化石の産状などを観察した後、社長にお礼を述べ、「道の駅」に向かった。
なるほど、「道の駅」には、地元の高校の先生の名前で、貝化石が展示されており
1つ1000円前後で即売もしている。
貝化石展示品
呼べるものや貝化石、脊椎動物(鯨)の骨の化石などを購入できた。
しないようにして欲しい。また、「道の駅」で販売しているのは、単なる貝化石がほとん
どで、よほど運が良くないと”飴石”には巡り会えないようです。
2. 産地
福島県の海岸から離れた山間部にある場所で、海に生息した貝や鯨の化石が採集できる
ことには驚かされるとともに、大自然の営みには驚嘆させられる。
3. 産状と採集方法
3.1 産状
堆積物が分布している。
(下部は、中新世中期までさかのぼるとの見方もある)
久保田層の下部からは、豊富な貝化石が密集して産し、一部は採掘され、肥料などに
利用されている。
貝化石は、「カネハラカガミ」「シオバラザル」「ハタイサルボウ」など浅い海や
潮間帯に住んでいた貝が中心で、これらはお隣の栃木県北部の塩原町の化石群と似て
いることから「塩原動物群」と呼ばれている。
久保田層からは、鯨や鮫の歯など海に住む脊椎動物の化石も見つかっている 』
している。
貝化石は、見える範囲の全層に見られるのだが、下層には「牡蠣」などもみられ
層によって、生息した貝の種類、量や化石の保存状態が違っている。
福島貝化石産地【採掘場に立つ社長】
が、今回は見学だけに止まった。
4. 採集鉱物
厳密には、”現金採集”鉱物です。
貝化石の空隙の中に、方解石が結晶し成長しているものが、ごくごく稀に観察で
きる。
方解石が成長するためには、カルシウム(Ca)の存在が不可欠であり、しかも空隙が
なければならない。
従って、団塊状に貝化石が密集している場所がねらい目である。
方解石は、犬牙状、菱面体そして柱状と各種の結晶が観察できる。白色透明と
飴色(琥珀色)のものがあるが、着色の原因は硫化鉄鉱に伴う褐鉄鉱脈が観察できる
ところから、これに起因すると考えられる。
飴石(貝化石中の方解石結晶)
正式には鉱物とは呼べないが、ここではいろいろな動植物化石を採集できる。
貝・・・・・・2枚貝、巻貝
植物・・・・・木の葉、炭化した木材など
脊椎動物・・・鯨骨、サメの歯など
巻貝 鯨骨
採集化石
5.おわりに
(1) 事前の予約なしに突然訪れたにもかかわらず、忙しい中、採掘場まで案内していた
だき、入口のお社で、安全祈願までしていただいた社長に、厚く御礼を申し上げます。
礼状の返事に、『 技術士として、工場の診断をして欲しい 』 とあったので
このような形で、お礼ができればと考えている。
富田会長と会員・S氏に厚く御礼申し上げます。
採掘しないで欲しい。
たかもと)の遺徳をしのぶコーナが設けられている。
寺西8ケ条
封元は、寛政4年(1792年)、天領の塙領6万石、小名浜領3万石、合わせて9万石を
支配するため磐城国白川郡塙代官所に着任した。
このころの東北地方は、天明の大飢饉(1782年〜87年)に見舞われた直後で、封元は
『寺西8ケ条』をつくって、村人を教え諭したという。
2)地は大切
3)父母は大事
4)子は不憫、可愛
5)夫婦睦まじく
6)兄弟なかよく
7)職分を出精
8)諸人愛嬌
1912年に米国誕生石商組合が制定した8月の誕生石が”飴石”で、夫婦愛や和合が宝石
言葉とある。
これは、黄緑色をした橄欖石(Peridot)のことで、この地方で呼んでいる”飴石”
とは全くの別物である。
6.参考文献
1)福島県立博物館:図説 福島県の化石,同館,平成5年