長野県川上村雨降山の水晶(石英)

        長野県川上村雨降山の水晶(石英)

1. 初めに

   2007年GWのミネラルウオッチングで長野県川上村湯沼鉱泉に宿泊したとき
  社長から、『 川上村の雨降山に水晶探しに行こう 』 、と声をかけていただ
  いた。

   「雨降山」は初めて聞く名前の産地である。何でも、社長が沢を歩いている時に
  落ちていた石英塊に気付き、その源を求めて、沢の上流に追いかけて発見した
  新産地である。

   社長、地元の石友・Yさん、そして宿泊客の女流陶芸家(の卵?)のOさん
  ”美女と3野獣”での探査・採集行となった。

   沢筋を1時間30分ほど登ると石英塊が集中して散乱している試掘跡(?)と
  思しき場所に到着した。巨大な石英塊をどかすとガマ粘土と思われる層が現
  れ、その中から両錐水晶をはじめ平板水晶などを採集した。
   Oさんも、ガマ粘土と周辺の粘土を陶芸材料として持ち帰った。

   この産地からは、小川山が間近に見え、遠く八ヶ岳も望むことができ、早春の
  息吹の中で、水晶採掘を楽しむことができた。
   今回採掘した石英脈はまだまだ続いており、試掘跡と思しき窪みも何箇所か
  確認できている。今後の継続探査・採掘が楽しみである。

   産地を案内していただいた湯沼鉱泉社長と同行していただいたYさん、Oさんに
  厚く御礼申し上げる。
   ( 2007年5月採集 )

2. 産地

   水晶産地として有名な「川端下(かわはけ)」の目印になっている長峰(2065m)の
  南、約2kmに「雨降山」(2156m)がある。産地はこの北側尾根近くである。
   川上村の「金峰山荘」の付属施設であるバーベキュー場、テニスコートなどがある
  「ふれあいの森」脇を通る林道を終点まで行く。
   林道の入り口にはチェーンが張ってあるが、バーベキュー場などの利用を申し込
  めば、鍵の暗証番号を教えてもらえる。
   林道終点の先に沢があり、この沢を約1時間上ると3つの沢が合流している。真
  ん中の沢を約30分登ると左手に真っ白い石英塊が散乱している。この周辺が
  産地である。

    3段の滝【歩き始めて約30分】

3. 産状と採集方法

   この一帯は、ほぼ水平に堆積した粘板岩が熱変成を受けホルンフェルス化して
  いる露頭が随所に見られる。粘板岩に貫入した花崗岩は、風化し”ボロボロ”になって
  いるが、風化しにくい石英塊がところどころにある。石英塊の空隙や希に晶洞に水晶
  が見られる。

    産状

   石英塊を割ったり、ガマ粘土と思しき層を掘って水晶を採集する。

    両錐を手にニッコリのOさん

4. 産出鉱物

 (1)  水晶/石英【QUARTZ:SiO2
     母岩が白色不透明な石英塊のせいか、部分的に透明で残りが白い水晶が
    ほとんどで、表面に長石らしきものが付着しているのが多い。
     透明感がある平板水晶がチラホラ出てくるので、「日本式双晶」を期待したが
    社長の永年の経験によれば、難しそうである。

     水晶【両錐 6cm】

     各種鉱物の産出で知られる「甲武信鉱山」から約3kmしか離れていないの
    に、水晶以外の鉱物は全く見あたらなった。

5. おわりに

 (1) 『 雨降山はその名に違わず、この日も雨だった・・・・・』 、どころかこの日の
   産地(標高1900m前後)は快晴で、少し肌寒いものの、気持ちよく、水晶採集を
   楽しむことができた。
    この産地からは、小川山が間近に見え、遠くに八ヶ岳も望むことができる。

 (2) 今回採掘した石英脈はまだまだ続いており、試掘跡と思しき窪みも何箇所か
   確認できている。今後の継続探査・採掘が楽しみである。

 (3) 産地を案内していただいた湯沼鉱泉社長と同行していただいたYさん、Oさんに
    厚く御礼申し上げる。
     産地について詳しく知りたければ、湯沼鉱泉に宿泊し、社長からジックリ聞き
    だすのがベストである。

6. 参考文献

 1)松原 聰:日本の鉱物,株式会社 学習研究社,2003年
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