2011年6月、東京飯田橋の「ミネラル・マーケット」を訪れた脚で新宿の「ミネラルフェア」
をのぞいてみた。
国産鉱物がありそうなのは、「Ms.Hの店」、「真鍋鉱物研究所」、「益富地学会館」、「大
江理工社」そして「鉱物同志会」など限られたブースだけだった。
「クリスタルワールド」を訪れると、申し訳なさそうに、「国産鉱物は、11月の池袋に出し
ます」、とのことだった。
丹念にブースめぐりをしていると、古い標本の里帰り品がいくつかあったので、”ラベル”
を買うつもりで購入した。
・「常陸国多賀郡諏訪村のクリノクロア石入り大理石」
・「越前の玉髄と石英」
今回、大震災や原発事故の影響で、予定された特別展示「水晶の世界」は来年度に
塩基され2階の展示スペースには何もなく、入口前通路の装飾も質素なものだった。
しかし、会場内は熱気にあふれ、ついつい、面白そうな品に手が伸び、気が付けば
10点近く購入していた。
( 2011年6月 現金採集 )
名 称 |
場 所 (最寄り駅) | 出店数 | 入場料 | 内 容 | 備 考 | 第24回東京国際 ミネラルフェア |
ハイアット リージェンシー 東京 (JR新宿) |
国内 67 海外 64 |
5日間通し券1,000円 シルバーの私は700円 |
業者による販売 鉱物、化石、ジェム ジェムが多い |
金曜日〜火曜日 (5日間開催) |
(1) 古い国産標本
日本で採集された鉱物標本で、海外からの里帰り品が多い。
(2) 山梨県(甲斐國)産鉱物
自分が住んでいる山梨県産鉱物
(3) ミーハー品
強いて産地まで行って採集しようとは思わないが、話題の産地・鉱物なので1つ
くらい持っていようか、という品
(4) ゲテモノ品
一般的な「鉱物」の定義からは外れる(そうな)モノ
3.1 古い国産標本
会場を回っているとひときわ大きな「乙女鉱山産日本式双晶」が置いてあった。値段を
聞くと2万ドル(邦貨180万円)だという。
大きさは十分なのだが、結晶の形、透明度など今一つなので買う気は起きず、断って
写真だけ撮らせてもらった。
今回購入した古い国産標本は次のようなものだ。標本そのものより、『ラベル』に価値
がありそうな感じだ。
鉱 物 名 | 産 地 | 説 明 | 写 真 | 備 考 | 石英(玉髄) | 越前國 (現福井県) |
鍾乳石状でラベルには Chalcedoney(玉髄) & Quartz(石英)とある。
帰宅して実体顕微鏡で確認 |
標本(全体)
ラベル |
どちらの標本も RUTGERS COLLEGE の 収蔵品だった。 |
大理石の中の クリノクロア石 |
常陸國 多賀郡 諏訪村 (現茨城県 日立市) |
ラベルには「大理石」と あるが、暗緑色部分が 「クリノクロア石」 |
標本
ラベル |
3.2 山梨県(甲斐國)産鉱物
自分が住んでいる山梨県産鉱物には一入(ひとしお)愛着がある。昔、山梨県で採集
されたものを少しでも買い戻しておきたいと思っている。
そんな訳で、過去に購入したことがる鉱物種でも、「乙女鉱山の日本式双晶」など、
「これは!」、と思う標本は乏しい財
布の許す限り購入するようにしている。
今回も、「乙女鉱山のライン鉱」を購入した。
鉱 物 名 | 産 地 | 説 明 | 写 真 | 備 考 | ライン鉱 (灰重石後の鉄重石) | 乙女鉱山 |
小さなカケラほどの 標本だが、結晶面が 明らかな標本。 |
ライン鉱 |
3.3 ミーハー品
強いて採集のため産地まで行こうとは思わないが、話題の産地・鉱物なので1つくらい
持っていようか、という程度の品。
今回は、同志会の新年会のオークションで落札できなかった「天沼鉱山の自然金」だっ
た。
鉱 物 名 | 産 地 | 説 明 | 写 真 | 備 考 | 自然金 |
天沼鉱山 (群馬県) |
母岩は大きくないが 肉眼サイズの自然金が 付いている。
ここの自然金には「葉片状」の |
|
3.4 ゲテモノ品
一般的な「鉱物」の定義からは外れる(そうな)モノがなぜか私の収集欲を掻き立てる。
以前も書いたかも知れないが、『病(やまい)膏肓(こうもう)に入(い)る』 状態かも知れ
ない。
鉱 物 名 | 産 地 | 説 明 | 写 真 | 備 考 | 石英 (瑪瑙(メノウ) | メキシコ |
瑪瑙で拵(こしら)えた 「石槍」と「石鏃(やじり)」
こういった品を拵えて |
| 霰石 (あられいし) | 中国 |
淡水真珠
私の第2(第3?)の古里
養殖真珠は、人工の核に
母貝は、子どもの頃「馬鹿貝」と
もしかしたら、中国の淡水真珠は |
|
(1) ここのところ仕事が忙しく、本格的なミネラル・ウオッチングを楽しめる状況にない。中学生
やMWを始めて間もない人を案内して産地を訪れる程度だ。
そんな訳で、今回のページもミネラル・ショーでの「現金採集」始末記になってしまった。
夏休みには、どこか出かけてみたいと思うのだが、「酷暑」、「節電」を考えると自宅で買
いためた古書を読んだり骨董品の整理をしているのが無難かな、と思い始めている。
(2) 『 五無斎 没後100年展 』
今年(2011年)は、五無斎こと保科百助が亡くなってちょうど100年の記念すべき年に
あたっている。
そんな訳で、2011年6月に、『五無斎100年忌 五無斎の足跡とマル秘産地を訪ねて
in 信濃国」と題して、大勢の石友と長野県の古典的産地と新産地をたずねたのは既報
通りだ。
長野県にある「戸隠地質化石博物館」が秋の企画展として『五無斎 没後100年展』を
涼しくなったら、訪れるのを今から楽しみにしている。
( Mineral Watching , Jun. 2011 , Nagano Pref. )
9/17から11/27まで開催すると館のHPにあった。
5. 参考文献
1) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年