2011年 東京国際ミネラル・フェア<BR> 24th Tokyo International Mineral Fair







          2011年 東京国際ミネラル・フェア
         24th Tokyo International Mineral Fair

1. 初めに

    東京では、国際的なミネラルショーが6月、12月の2回開催される。それぞれ、開催地に
   ちなんで「新宿ショー」、「池袋ショー」と呼ばれている。

    2011年6月、東京飯田橋の「ミネラル・マーケット」を訪れた脚で新宿の「ミネラルフェア」
   をのぞいてみた。

    国産鉱物がありそうなのは、「Ms.Hの店」、「真鍋鉱物研究所」、「益富地学会館」、「大
   江理工社」そして「鉱物同志会」など限られたブースだけだった。
   「クリスタルワールド」を訪れると、申し訳なさそうに、「国産鉱物は、11月の池袋に出し
   ます」、とのことだった。

    丹念にブースめぐりをしていると、古い標本の里帰り品がいくつかあったので、”ラベル”
   を買うつもりで購入した。

    ・「常陸国多賀郡諏訪村のクリノクロア石入り大理石」
    ・「越前の玉髄と石英」

    今回、大震災や原発事故の影響で、予定された特別展示「水晶の世界」は来年度に
   塩基され2階の展示スペースには何もなく、入口前通路の装飾も質素なものだった。
    しかし、会場内は熱気にあふれ、ついつい、面白そうな品に手が伸び、気が付けば
   10点近く購入していた。
    ( 2011年6月 現金採集 )

2. 場所と規模

 名  称  場  所
(最寄り駅)
出店数  入場料  内  容   備  考
第24回東京国際
ミネラルフェア
ハイアット
リージェンシー
東京
(JR新宿)
国内 67
海外 64
5日間通し券1,000円
シルバーの私は700円
業者による販売
鉱物、化石、ジェム
ジェムが多い
 金曜日〜火曜日
 (5日間開催)

          
              ミネラルフェア会場               入場券

3. 購入標本

    何だかんだ、と理由をつけてミネラル・ショーなどで購入するのは、次のような訳だ。

     (1) 古い国産標本
          日本で採集された鉱物標本で、海外からの里帰り品が多い。
     (2) 山梨県(甲斐國)産鉱物
          自分が住んでいる山梨県産鉱物
     (3) ミーハー品
          強いて産地まで行って採集しようとは思わないが、話題の産地・鉱物なので1つ
         くらい持っていようか、という品
     (4) ゲテモノ品
          一般的な「鉱物」の定義からは外れる(そうな)モノ

 3.1 古い国産標本
      会場を回っているとひときわ大きな「乙女鉱山産日本式双晶」が置いてあった。値段を
     聞くと2万ドル(邦貨180万円)だという。
      大きさは十分なのだが、結晶の形、透明度など今一つなので買う気は起きず、断って
     写真だけ撮らせてもらった。

       
               「乙女鉱山産日本式双晶」
                   【両翼 37cm】

      今回購入した古い国産標本は次のようなものだ。標本そのものより、『ラベル』に価値
     がありそうな感じだ。

  鉱 物 名  産   地  説      明      写      真 備  考
石英(玉髄)越前國
(現福井県)
 鍾乳石状でラベルには
Chalcedoney(玉髄)
& Quartz(石英)とある。

 帰宅して実体顕微鏡で確認
すると、小さな水晶が確認
できた。


        標本(全体)


          ラベル

 どちらの標本も
RUTGERS
COLLEGE の
収蔵品だった。
大理石の中の
クリノクロア石
常陸國
多賀郡
諏訪村
(現茨城県
 日立市)
 ラベルには「大理石」と
あるが、暗緑色部分が
「クリノクロア石」


           標本


           ラベル

 3.2 山梨県(甲斐國)産鉱物
      自分が住んでいる山梨県産鉱物には一入(ひとしお)愛着がある。昔、山梨県で採集
     されたものを少しでも買い戻しておきたいと思っている。
      そんな訳で、過去に購入したことがる鉱物種でも、「乙女鉱山の日本式双晶」など、
     「これは!」、と思う標本は乏しい財
布の許す限り購入するようにしている。
      今回も、「乙女鉱山のライン鉱」を購入した。

  鉱 物 名  産   地  説      明      写      真 備  考
ライン鉱
(灰重石後の鉄重石)
乙女鉱山  小さなカケラほどの
標本だが、結晶面が
明らかな標本。


           ライン鉱

 

 3.3 ミーハー品
      強いて採集のため産地まで行こうとは思わないが、話題の産地・鉱物なので1つくらい
     持っていようか、という程度の品。
      今回は、同志会の新年会のオークションで落札できなかった「天沼鉱山の自然金」だっ
     た。

  鉱 物 名  産   地  説      明      写      真 備  考
自然金 天沼鉱山
(群馬県)
 母岩は大きくないが
肉眼サイズの自然金が
付いている。

 ここの自然金には「葉片状」の
おもしろい結晶形のものが
ある。


           全体


           拡大

 

 3.4 ゲテモノ品
      一般的な「鉱物」の定義からは外れる(そうな)モノがなぜか私の収集欲を掻き立てる。
     以前も書いたかも知れないが、『病(やまい)膏肓(こうもう)に入(い)る』 状態かも知れ
     ない。

  鉱 物 名  産   地  説      明      写      真 備  考
石英
(瑪瑙(メノウ)
メキシコ  瑪瑙で拵(こしら)えた
「石槍」と「石鏃(やじり)」

 こういった品を拵えて
1つ100円以下で売って生計を
立てている人が世界には
いることを思うと・・・・・・・


           石鏃

   
           石槍

 
霰石
(あられいし)
中国  淡水真珠

 私の第2(第3?)の古里
茨城県霞ケ浦では、淡水真珠の
養殖がおこなわれている。

 養殖真珠は、人工の核に
真珠貝が分泌する炭酸カルシウム
「霰石」もしくは「方解石」が層状に
沈着したもの。

 母貝は、子どもの頃「馬鹿貝」と
呼んでいた「カラス貝」に似ている
のだが・・・・・・・・

 もしかしたら、中国の淡水真珠は
日本の技術指導で作っているのかも
しれない。


           真珠

 

4. おわりに

 (1) ここのところ仕事が忙しく、本格的なミネラル・ウオッチングを楽しめる状況にない。中学生
    やMWを始めて間もない人を案内して産地を訪れる程度だ。
     そんな訳で、今回のページもミネラル・ショーでの「現金採集」始末記になってしまった。

     夏休みには、どこか出かけてみたいと思うのだが、「酷暑」、「節電」を考えると自宅で買
    いためた古書を読んだり骨董品の整理をしているのが無難かな、と思い始めている。

 (2) 『 五無斎 没後100年展 』
      今年(2011年)は、五無斎こと保科百助が亡くなってちょうど100年の記念すべき年に
     あたっている。
      そんな訳で、2011年6月に、『五無斎100年忌 五無斎の足跡とマル秘産地を訪ねて
     in 信濃国」と題して、大勢の石友と長野県の古典的産地と新産地をたずねたのは既報
     通りだ。

      ・2011年月遅れGWミネラルウオッチング
        ( Mineral Watching , Jun. 2011 , Nagano Pref. )

      長野県にある「戸隠地質化石博物館」が秋の企画展として『五無斎 没後100年展』を
     9/17から11/27まで開催すると館のHPにあった。

      涼しくなったら、訪れるのを今から楽しみにしている。

5. 参考文献 

 1) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
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