国産標本が置いてあるブースを中心に見て回るが、『高い!!』。海外からの里帰り品
に期待してMs.Hのブースを訪れたが、1点もなかった。
この日は、国産標本数点、日本では入手できない外国産鉱物種数点を買って会場を後
にし、山梨に戻った。
翌土曜日、日曜日の出勤に備え、早めに山梨を発ち、東京の切手店に寄った後、再び
「池袋ショー」をのぞいてみた。
大江理工社のブースには、国産の古いものから最近のものまで、素晴らしい標本が並ん
でいた。
それらの中に、「長野県川上村の偏平電気石完形品」があった。すでに完形品を2つ
持っているし、値段も良かったので迷ったが、この歳まで元気で働いている『自分への
ご褒美』 として購入した。
その後、私の単身赴任先に来た妻が、件(くだん)の「長野県川上村の偏平電気石完形
品」を見て、『貴重なんだ』、と一言漏らしただけで、購入金額には目くじらを立てなかった。
ようやく、良い標本が判るようになったようだ。ここまで10年以上かかったことになる。
( 2011年12月 情報 )
会場入口
公式ガイドブックには、国内227(215)社、海外84(86)社、合計311(301)社が出展し
( )内の2010年にくらべ、総出展社数は10社増えているが海外の出店は若干減ってい
る。
たしか、昨年までは海外出店数は増え続けていたように記憶しているが、記録的な円
高で、出店料、滞在費そして売上高などを考えると出店を見送る業者が居てもおかしくは
ないだろう。事実、お客が全く寄りつかず、手持無沙汰にしているブースをいくつか目にし
ている。
国内業者の場合は逆で、円高のメリットを生かし、海外で安く買った標本を高く国内で売
れば、ダブルの儲けとなり、雨後のタケノコのように増える道理だ。
” Mineral Show ”、と銘打っているが、「化石」だけ、あるいは「ジェム(磨き石)」だけの
ブースも沢山あり、次のようなものを展示、即売している。
(1) 鉱物
(2) 化石
(3) ジェム
(4) 隕石
(5) 文献・図書・切手・古銭
3.1 国産標本
日本を代表する鉱物種として、岡本、桜井両先生が選んだ「日本産鉱物50種+番外」
があり、国産鉱物収集の目標をこれに置き、すでに達成している。
そうなってくると、私の地元の山梨県や隣接する長野県、とりわけ川上村の標本で
(1) 「長野県川上村産偏平電気石」
2011年秋のミネラル・ウオッチングでここを訪れ、運の良い数名が”カケラ”を採集でき
・2011年 秋のミネラルウオッチング
湯沼鉱泉社長によれば、『完形品』を持っているのは、国内(=世界)でも限られた
(2) 「三井大高鉱山のミアジル鉱」
(3) 「苗木産ジルコン」
(4) 「高知県産ストロンチアン石」
3.2 外国産標本
(1) 「サン ベニト鉱山のベニト石」
(2) 「アルプス産水晶」
・アルプスの水晶 「フルリーナと山の鳥」
これ以来、アルプス産の水晶を手に入れたいと思っていたが小さな群晶が1万円以
(3) 「メキシコ産ダンブリ石」
1993年5月、「インターナショナル ストーン フェア」として開催したのが最初で、同じ
私がこのショーを訪れ、HPに取り上げたのは、2002年が初めてで、それ以来、欠か
何ごとにも”功罪”両面があるが、一般の人、特に女性にとって近づきにくい鉱物を
鉱物コレクターの資格審査
( How Many Specimens do you have ? , Qualification of Mineral Collector )
良いものがあれば、持ち出された標本の”買い戻し”の積りで買うようにしている。
そういった標本を紹介する。
この産地の電気石は、草下先生の「鉱物採集フィールドガイド」に『赤面(顔)山(あ
かずらやま)の電気石』、と紹介されているが、もともとパリ万博に出品された鉱物に
加えられたことから有名になったものだ。
ただけで、”希産”なことは間違いない。
( Mineral Watching Tour Fall 2011 , Kawakami Village , Nagano Pref. )
人らしい。こうなれば、すでに2ケの『完形品』を持っているが、ついでにもう一つ、と
買ってしまった次第だ。
偏平電気石【長野県川上村産】
国産の「ミアジル鉱」と言えば、この鉱山の専売品のようで、過去にも”カケラ”を買
ってはいたが、この標本は、結晶形がハッキリし、価格も安かったので購入した。
「ミアジル鉱」【三井大高鉱山産】
『希元素鉱物』大好き人間の私として、苗木のものは一通り揃えて置きたいと思い
購入。
「ジルコン」【中津川市苗木産】
『希元素鉱物』のストロンチウム(Sr)を含む純白の針状結晶が気に入って購入。
「ストロンチアン石」【高知県佐川産】
日本国内では採集出来ない結晶や見かけない産状の標本を数点購入した。
草下先生の「鉱物採集フィールドガイド」の橋立ひすい峡の項に、「ベニト石」の話
があり、調べてみるとアメリカ・カルフォルニア州サン ベニト鉱山にちなむネーミング
と知った。
原産地標本で、結晶形をしており、驚くほど安かったので購入。
「ベニト石」【サン ベニト鉱山産】
アルプス産水晶を題材にしたページを5年以上前にまとめたことがあった。NHK教育
テレビの「日曜美術館」でみた「水晶」がキッカケでこのページをまとめたのだが、この
番組のゲストのケーニッヒ女史が「スイスの人々は、水晶を Mountain Crystal(山の
結晶)と呼んで、なじみ深いものである」と述べていた。
( " FLURINA UND DAS WILDVOEGLEIN " Rock Crystal from Alps , Switzerland )
上もするなどで、なかなか買えなかった。今回、透明〜煙、左右水晶と明確にわかる
ものなど数本購入した。
「水晶」【アルプス産】
国内でダンブリ石の良結晶の採集は困難、と思い外国産を購入。
「ダンブリ石」【メキシコ産】
4. おわりに
(1) 第20回ミネラルショー
池袋ショーは今回で20回を迎え、3階の会場の一角に過去のポスターやパンフレット
などが展示してあった。
歴代のポスター
年の12月「国際鉱物化石ショー」と改称し開催し、12月開催が定着した。
2004年、「東京ミネラルショー」、と改称し現在に至っている。
さず訪れている。
宝石鉱物(ジェム)を通して身近な対象とし、できれば自分の手で採集してみたい、と
いう気にさせた功は大きい。
一方、欲しいと言う人がいれば、売ろうという人が出るのは自然の成り行きで、”売る
ために採る”輩が増え、産地荒廃に拍車がかかったのも事実だろう。
5. 参考文献
1) 岡本要八郎、桜井欽一:「あなたはおもちですか?」鉱物コレクターの資格審査
地学研究Vol.10 No.5,1958年
2) 益富 寿之助:水晶 やさしい鉱物学,保育社,昭和60年
3) 草下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1998年
4) 松原 聰、宮津 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
5) プラニー商会:第20回 東京ミネラルショー公式ガイドブック,同商会,2011年