2008年12月「第17回東京ミネラルショー」

       2008年12月「第17回東京ミネラルショー」

1. 初めに

   東京では、年に2回、国際的なミネラル・ショーが開催される。それぞれ、開催場所が
  新宿、池袋なので、それを頭につけて、年末に開催されるのを「池袋ショー」とも呼んで
  いる。
   最近のミネラルショーには、欲しいものが少なくなり、今回の池袋ショーはどうしたもの
  かと迷っていたが、クリスタル・ワールド社からいただいた出品リストに国産鉱物が出て
  いたのと、栃木県の石友・Sさん一家とお会いするのを楽しみに、2日目(13日)に訪れた。

   開場30分前に着いたが、土曜日のせいか、既に100名以上が入場券の購入を済ませ
  列に並んでおり、招待券を持つ50名余りが入場ゲート前に並んでいた。

   10時の開場と同時に国産標本を置いてあるブースを訪れ、興味のあるものをいくつか
  購入した。

   今回も、『 これは欲しい!! 』、というものは少ない。いつも懇意にしてもらっている
  Mさんのところに顔を出したが、「津具鉱山の自然金」など既に持っているもので、見送っ
  た。以前、里帰りの「輝安鉱」の良品を買ったMs.Hのブースにも立ち寄ったが、前々から
  あった「荒川鉱山の三角黄銅鉱」や「ダンブリ石」などで食指を動かすような標本はなか
  った。
   関東鉱物同好会のブースには、文献や標本があり、千葉県産というので「ラブラドライト」
  「玄能石」そして「クロムスピネル」を購入した。
   クリスタル・ワールド社のブースには、国産標本がうず高く積まれ、「魚卵状珪砂」、「葡
  萄石」、「甘南備山の水晶」などを購入した。こうして、気付いてみればなんだかんだと
  10点近く買い込んでいた。

      混雑する会場【2008年12月】

   お昼近くになると会場は混雑しはじめ、栃木県のSさん一家を放送で呼び出していただき
  お会いすることができた。娘のYさんは、「高校生になっも鉱物は続けたい!!」、とのこと。
  一緒にミネラル・ウオッチングに行けるのを楽しみにしている。

   今回から、「抽選会」が導入された。この手のもので当たった例(ためし)がないので期
  待していなかった。予想通り、1回目の抽選は”スカ”で、敗者復活戦に挑戦した。”ガラガ
  ラ”を回し”ポン”と出た玉の色は、”スカ”のときと違っていた。”カランカラン”と鐘が鳴らさ
  れ、「おめでとうございます。4等です」の声が会場に響き渡り、嬉しいやら恥ずかしいやら。
   賞品は、5,000円相当の鉱物・化石の中から好きなものを選べるので、「ウルグアイ産
  方解石 on 紫水晶」をいただいた。
   2008年も残り1週間になった。今年も健康で仕事とミネラル・ウオッチングを楽しめた
  ことに感謝しながら会場を後にした。
  ( 2008年12月情報 )

2. 場所と規模

   JR池袋駅からサンシャインビルを目指して進み、「東急ハンズ」の脇から一度地下に
  降り、「文化会館」を目指す。今年から、2Fだけでなく3Fの一部でも販売されるようになり
  会場のスペースに若干余裕が出たような気がした。

   公式ガイドブックには、国内177社、海外64社、合計241社が出展しており、うち初参加は
  国内の26社である。2007年にくらべ、出展者数は約30社増え、鉱物、ジェムなどの人気の
  高さを物語っている。

   ” Mineral Show ”、と銘打っているが、「化石」だけ、あるいは「ジェム(磨き石)」だけの
  ブースも沢山あり、次のようなものを展示、即売している。

   (1)鉱物
   (2)化石
   (3)ジェム
   (4)隕石
   (5)文献・図書・切手・古銭

3. 購入標本

 3.1 「あなたは、おもちですか?」
    岡本要八郎先生と桜井欽一先生が書いた ”「あなたはおもちですか?」鉱物コレクター
  の資格審査”という記事に目が止まり、その内容について、私のHPで紹介させていた
  だいた。

   ・    「あなたはおもちですか?」
   鉱物コレクターの資格審査
   ( How Many Specimens do you have ? , Qualification of Mineral Collector )

   それ以来、フィールドやミネラルショーでは、日本産鉱物50種+【番外】、計54種を
  積極的に追いかけるようにしている。

   2005年に、岐阜県木積沢で「苗木石」、京都府白川で「褐簾石」の2点を自力で採集し
  2007年2月に秋田荒川鉱山の三角式黄銅鉱結晶をオークションで購入した。
   2008年には、「荒川石((ベスジェリ石<原文のまま>)」を「三角黄銅鉱」と交換・入手し、
  さらに、古い鉱物標本から「太良の方鉛鉱」を発見し、51種( 51/54=94% )が揃ったが
  この先が一段と厳しくなってきた。
   残り3種を求めて、国産標本を取り扱っているブースを丹念に見て回ったが、1つも見つ
  からなかった。
   気長に探すしかなさそうだ。

  No 産地 鉱物
 19 徳島県眉山 ルチル
 45 大分県尾平灰鉄輝石(結晶)
【番外】 北海道手稲手稲石

 3.2 購入国産標本

    今回、あれこれ理由をつけて購入した国産標本は、9点だった。それらの内、千葉県産
   とそれに関連する標本4点を紹介する。

産   地 鉱   物   産     状 価 格  備  考
千葉県鴨川市
ラブラドライト
(曹灰長石)
【Labradorite】


         横 8cm

1,500円
 桜井先生の
”幻の鉱物”
千葉県鴨川市クロムスピネル
【Picotite】


        全体【横7cm】


          拡大

2,000円
 初見
千葉県南房総市玄能石
【IKAITE】


        横 7cm

800円
 初見
私のHPにある産地
マダガスカル
ラブラドライト
(曹灰長石)
【Labradorite】


        横 6cm

2,300円
 鴨川産と比較用

 3.2 購入文献

 文   献   名 著  者 発 行 年 価 格  備  考
新宝石学 久米 武夫 昭和38年1,500円  和田維四郎
「宝玉誌」と比較
関東鉱物同好会
創立20周年記念誌
同会 1999年2,000円  産地情報

4. 特別企画

 4.1 砂金採り
     3Fの特設会場には、大きな水槽がいくつか設置され、パンニング皿での砂金採りを
    有料(1,000円)で体験できるようになっていた。
     砂金採りの人気は高く、午前の部は早々と満席になってしまったようだ。

 4.2 大抽選会
     今回から、「抽選会」が導入された。入場券の上に抽選券がついていて、これと
    引き替えに3Fの会場で1回抽選できる。外れてもハズレ券をもらい、2,000円以上の
    買い物をすれば、また抽選できるシステムになっている。早い話が2,000円買い物する
    たびに(当たるまで)1回抽選できることになる。

     この手のもので当たった例(ためし)がないので期待していなかった。予想通り、1回
    目の抽選は”スカ”で、敗者復活戦に挑戦した。”ガラガラ”を回し”ポン”と出た玉の色
    は、”スカ”のときと違っていた。”カランカラン”と鐘が鳴らされ、「おめでとうございます
    4等です」の声が会場に響き渡り、嬉しいやら恥ずかしいやら。

      当たり玉【4等賞】

     賞品は、5,000円相当の鉱物・化石の中から好きなものを選べる。「尾太鉱山の水晶」
    「ウルグアイ産の方解石」 などがあったがで、「ウルグアイ産方解石 on 紫水晶」をい
    ただいた。

        
      賞品を手にニンマリ         方解石 on アメシスト
                            【蝶形双晶もあり】

5. おわりに

 (1)  ”欲しいモノがない”と言いながら、気がつけば10点近くの標本を買ってしまって
    いた自分の強欲さには、我ながらあきれている。

 (2) 1月末から、その昔 『石(鉱物)なし県』と言われた千葉県に単身赴任し
    山梨県にはない鉱物を採集でき、中には「平久里の自然銅」のように、新発見となる
    ものもあった。
     しかし、ミネラルショーを訪れ千葉県産の「ラブラドライト」、「玄能石」、「クロムスピネル」
    など知らなかった産地があることも知った。
     単身赴任の残り期間に、これらの産地を訪れたいと思っている。

 (3) 2008年も残すところ1週間になった。今年も忙しい(?)仕事の傍ら、健康でミネラル
    ウオッチングを楽しめたのは、案内・同行いただいた多くの石友のお蔭であり、
    厚く御礼申し上げる。

     ミネラル・ウオッチングは、自分の眼・手で採ってこそ醍醐味があると信じて、今年の
    「採集納め」のフィールドをどこにしようか、と迷っている。

6. 参考文献 

 1)岡本要八郎、桜井欽一:「あなたはおもちですか?」鉱物コレクターの資格審査
                  地学研究Vol.10 No.5,1958年
 2)益富 寿之助:水晶 やさしい鉱物学,保育社,昭和60年
 3)山田 滋夫:日本産鉱物五十音配列産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
 4)松原 聰、宮津 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 5)プラニー商会:第17回 東京ミネラルショー公式ガイドブック,同商会,2008年
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