2006年7月、茨城県に”コンサルタント”として赴任し、半年が過ぎようとして
いる。最近、栃木県、福島県、新潟県そして岐阜県の産地を中心に巡っているた
め、すっかりご無沙汰している石川県のYさん、千葉県のYさん親子などの石友に
会うことができた。
また、比較的ご一緒する機会が多い、栃木県の石友・Sさん一家と東京の石友
・Mさん、そして産地情報を交換している石友にもお会いできた。
景気の本格的回復(?)を反映してか、会場内はごった返しており、特に国産標
本を売るブースには黒山の人だかりが見られた。
私は、「日本産鉱物50種」の残り6種を求めてあちこちのブースを覗いて見たが
「15万円の荒川鉱山産三角黄銅鉱」には手が出なかった。
それでも、「大粒ダイヤと砂金が褐鉄鉱に埋もれた標本」や「レグランド石」
などを、今年1年の”自分へのご褒美”として購入し、”景気回復”にいささか
貢献した(?)。
2006年のミネラルウオッチングの締めくくりの1つとして、有意義な2日間だった。
( 2006年12月情報 )
(1) 日本産鉱物50種
HPに掲載した「日本産鉱物50種」の残りの内2種は2005年に自力採集
できたが2006年にはひとつも入手できなかった。残り6種を求めて、国
産標本を販売しているブースを重点に物色した。
10月末の小室宝飾の売り立てに「荒川鉱山の三角式黄銅鉱」が2点出て
おり1点15万円と聞いて、買うのは断念した。1点売れ残っているらしいが
現品は確認できなかった。
No | 産地 | 鉱物 |
5 | 秋田県太良 | 方鉛鉱(八面体と六面体の集形) |
9 | 秋田県荒川 | 黄銅鉱(三角式結晶) |
19 | 徳島県眉山 | ルチル |
30 | 秋田県日三市 | 荒川石(ベスジェリ石<原文のまま>) |
45 | 大分県尾平 | 灰鉄輝石(結晶) |
【番外】 | 北海道手稲 | 手稲石 |
(2)里帰り標本
里帰り品には、良いものが沢山あった。以前、20cmを超える市ノ川
鉱山の輝安鉱や秩父鉱山の紐状自然金などを、今になって思うと比較的
廉く購入した。
今回、Ms.Hisami は、里帰り品を持参していなかった。アメリカでも良
品は得難くなっているらしい。
(3)国産標本購入品
今回購入したのは、2006年に訪れた産地で採集できなかったもの、石友と話
題にしているもの、そして未公開の産地の標本などで、値段は300円〜と”高安
マチマチ”だった。
それらの中から、2つだけ紹介します。
No | 鉱物名 | 化学式 | 産 地 | 標 本 | 備 考 | 1 | レグランド石 (Legrandite) | Zn2(AsO4) (OH)・H2O | 岡山県 扇平 (おうぎひら) 鉱山 |
亜鉛の砒酸塩鉱物 ”希産”あるいは”絶産” 兵庫県の石友・N夫妻 の口からたびたび出る ので、つい購入
黄色いガラス質 |
2 | 球状方解石 (Oolitic Calcite) | CaCO3 | 長野県 大町市 湯俣温泉 |
石友・Mさんと話題に している標本 ”霰状方解石” |
3.2 外国産標本
10cmを超える輝安鉱や両翼5cmの水晶の日本式双晶など中国産のもの
であればそれぞれ500円、1,500円で購入でき、うれしい”価格破壊”が進ん
でいる。しかし買う気は起きなかった。
鉱物採集を趣味にしている人に鉱物に全く興味あるいは知識のない人が尋ね
るのは『ダイヤモンドはありますか?』あるいは『(自然)金はありますか?』
であろう。
言われてみれば、私は「ダイヤモンド」も「肉眼でハッキリわかる自然金の
塊」、いわゆる”ナゲット”も持っていなかった。
息子の嫁さんやこれから生まれるであろう孫に先のような質問をされて、即座に
標本を見せてあげられないのは真に情けないと思い、機会があれば母岩つきの
ダイヤモンドと自然金塊を入手したいと考えていた。
ミネラルショーの度に顔を出す「丸甲」さんの店先で女主人がブラジルからの
標本を荷解きしながら値札を付けていた。その1つに「5mmの八面体ダイヤモンド」
と「1cmを超える金塊」が褐鉄鉱に埋もれた標本があった。
ひと目見て「標本は気に入った」が「値段の○万円は気にいらなかった」女主人
の”代理人”と価格交渉すること30分、私が妥当と思う価格に落ち着き購入した。
これは、今年一年の”自分へのご褒美”と勝手に解釈した。
3.3 特別講座
いつものように、国立科学博物館名誉研究員の加藤博士による特別講座が
レベル別に2回に分けて実施されたが、事前に申し込み者で一杯になり、受
講できなかった。
( 当日枠もあったらしいが、インターンネットには”申し込み締め切り”
とあったので、素直に”一杯だ”と早合点してしまったようだ )
3.4 特別展示
今回の特別展示は「中国の玉石」というテーマだった。”玉=翡翠”と
ほとんどの日本人は考えるのだが、中国では本当の翡翠は全く産出しない。
したがって中国で”玉”と呼ばれているのは「単なる石英」であったり
それに「クロム雲母」などが混じったものであるらしい。
そうすると価格的にも”安価”なもので、海外を旅行した際に”翡翠”の
名前で売られている”工芸品”には注意が必要である。
3.5 文献・切手など鉱物関係資料入手
地方にいると、なかなか入手できない、鉱物関係の文献や資料を入手する
機会でもある。
堀先生が書いた「宮沢賢治はなぜ石が好きになったか」を買おうと思ったが
売っているブースはなかった。
結局、新刊書のインターネットで購入した。
(2) 2006年も残すところ2週間あまりのこの時期、今年のミネラルウオッチングを総括
今回入手した「湯俣温泉の球状方解石」について、千葉の石友・Mさんから
鉱物コレクターの資格審査
(How Many Specimens do you have ? , Qualification of Mineral Collector)
する一助としてミネラルショーを訪れた。
新しい情報を教えていただいた。
今年も、直接、間接に出会った大勢の石友に恵まれ、良き1年だったと皆様
に感謝している。
6. 参考文献
1)プラニー商会:第15回 東京ミネラルショー公式ガイドブック,2006年
2)松原 聰:日本産鉱物種,鉱物情報,2002年
3)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1994年