@絶産(採集禁止)品・・・・・・・茨城県山ノ尾の緑柱石、仏生寺の緑柱石
岡山県布賀鉱山の「逸見石」、栃木県文挟「塩素燐灰石」
A山梨県産・・・・・・・・・・・・・・・鞍掛鉱山の輝水鉛鉱
B著名採集者の標本・・・・・・・南部標本「高取鉱山のトパーズ」
C採集見本・・・・・・・・・・・・・・・島根県古浦ケ鼻の「バビントン石と葡萄石」
岡山県大佐山の「母岩付きジルコン」、擬宝珠(ぎぼし)山の赤鉄鉱
岡山県高瀬鉱山の「灰クロム柘榴石」
兵庫県夏梅鉱山「紅砒ニッケル鉱」
長野県茂来山の水晶、富山県立山新湯の「魚卵状オパール」
D産地情報・・・・・・・・・・・・・・・鳥取県藤屋の「紫水晶」
( 2005年6月 現金採集 )
(1) アマチュアが自力で採集した国産鉱物や化石
(2) 外国(中国など)産の鉱物
(3) 文献・図書・標本ケースなど
当然、国産標本のブースが黒山の人だかり、となり、外国産のコーナーは気の毒なくらい
人気がありません。
3.2 南部標本
あるブースを覗いていると、ガッシリした標本箱に入った大ぶりの標本が目についた。
標本ラベルを見ると「南部標本」とあり、その下からオリジナルの標本ラベルが現れた。
そこには、次のように書かれていた。
No :322
名 称:黄玉 Topaz
採集地:茨城県高取鉱山
採集者:南部 キ’
年月日:昭29.3
南部標本の主、南部秀喜氏は明治30年(1897年)、元土佐藩(高知県)絵師の家に生まれ
大正6年(1917年)高知工業学校採鉱冶金科を卒業、三菱生野鉱山に入社。爾来、佐渡、手稲
尾去沢そして高取と三菱鉱業系の鉱山に勤務し、昭和45年(1970年)に退職した。
この間、54年間にわたって氏が20数箇所の日本の代表的な鉱山から採集した3,150点の
鉱物標本が南部鉱物標本と称されるものである。
氏が亡くなる昭和47年(1972年)に前後して、小室 吉郎氏が自分の標本も加え南部・小室
コレクションとして保存に尽力した。
これらの標本の多く(2,604点)は、平成4年(1992年)茨城県自然博物館準備室に納入された。
私が購入したのは、それに漏れたものと思われる。
南部秀喜氏の鉱物採集の足跡は「南部鉱物標本解説」に、克明なスケッチや採集に至る経緯
そして標本記載の形で残されている。
これによれば、高取鉱山での黄玉(トパーズ)の採集経緯は、次のようであった。
『 本鑛山ニテ黄玉ヲ産スルハ既ニ昔ヨリ知ラレタルモ之ニ付テ其産状等詳細ニ記載スルモノ
無ク、更ニ本邦第一ノ和田標本中ニモ高取黄玉標本無ク・・・・・・・・・・・
然ルニ、昭和24年8月現地ニ採集ヲ試ミ、終ニ之ヲ発見セリ。・・・・・・・・・・・・・・
其後昭和27年11月ヨリ昭和29年3月マデ数回高取ヲ訪レ鋭意其標本ヲ探索セル結果
実ニ興味ツキザル種々ノ産状ヲ発見、数多ノ標本ヲ採集シココニ高取産黄玉ノ産状ノ
大略ヲ知ルニ至レリ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
南部氏が数回にわたる高取採集行の最後に得られた標本の1つだと思われます。
3.3 国産標本
今回購入した主な標本は、山梨県産を初めとする次のような標本であった。
産地 | 鉱物 | 産状 | 価格 | 備考 | 山梨県鞍掛鉱山 (駒ケ岳or金満寿鉱山) | 輝水鉛鉱 | 500円 | 灰重石が有名だが 2004年に購入済 |
茨城県山ノ尾 | 緑柱石 | 3,000円 | 採集禁止 | 茨城県仏生寺 | 緑柱石 | 800円 | 絶産(?) | 岡山県布賀鉱山 | 逸見石 | 1,000円 | 採集禁止 | 栃木県文挟 | 塩素燐灰石 | 900円 | 絶産(?) | 島根県古浦ケ鼻 | バビントン石 | 750円 | 採集見本 | 島根県古浦ケ鼻 | 葡萄石 | 750円 | 採集見本 | 岡山県大佐山 | ジルコン | 1,500円 | 採集見本 母岩付き |
岡山県擬宝珠山 | 赤(鏡)鉄鉱 | 1,500円 | 採集見本 | 岡山県高瀬鉱山 | 灰クロム柘榴石 | 500円 | 採集見本 | 兵庫県夏梅鉱山 | 紅砒ニッケル鉱 | 500円 | 採集見本 | 長野県茂来山 | 水晶 | 1,500円 | 採集見本 | 富山県立山新湯 | 魚卵状オパール | 700円 | 採集見本 |
3.4 文献・標本ケース
大ぶりのガラス蓋つき標本箱(1ケ300円)を5つ購入した。大昔に入手した有名標本を
整理したいと考えています。
長野県・川上村のYさんの”蝶”、”石器”標本を見せていただき、標本整理をせねば
と遅ればせながら、考えました。
同館の収蔵品目録・鉱物 −南部・小室コレクション@−には、NK-250102はじめ
高取鉱山産のトパーズが8点記載されている。
(NK:南部・小室両氏の頭文字)
内2点は”丸箱に○○個入り”とあり、明らかに分離単晶で、残り6点が”母岩付き(群晶)”と
思われる。「南部鉱物標本解説」には18点の母岩付きが掲載されており、全てが博物館に
納入されたのでもないようです。
(2) ほとんどの鉱山が閉山した現在でも、「マーケット」には、それぞれの鉱山(採石場)の
逸品が並んでいました。
アマチュアとは言え、その採集ぶりは玄人はだしの方々が多いようです。
これだけのものが採集できる背景には、
@ インターネットなどの発達によって産地情報があっと言う間に広まる。
A 自家用車の普及に加え、高速道路から林道まで整備され、産地へのアクセスが便利になり
産地が近くなった。
ことが挙げられます。
しかし、それと同時に産地の荒廃、採集禁止など地元の反発も強まり採集マナーには
気をつけねば、と自戒する昨今です。