ミネラルマーケット・2004

ミネラルマーケット・2004

1.初めに

  東京新宿で国際的なミネラル・ショーが開催されるのに合わせ、東京・秋葉原のラジオ会館で
 アマチュアが自分の採集品を売る「ミネラルマーケット」が開催される。
  開催されることは知っていたが、アマチュアの顔見知りの人から買うのも何かと思い
 今まで行ったことがなかった。
  2004年5月、新宿で開催された「第17回東京国際ミネラル・フェアを訪れ、「あなたは、おもち
 ですか?」の鉱物50種+番外を探した。
  京都の古い鉱物標本店のブースで、「荒川鉱山の三角黄銅鉱」や「日三市鉱山のベゼリ石」など
 出ていないか聞いていると、明日開催される秋葉原の「ミネラルマーケット」に”ヒョッ”としたら
 でる可能性がある、と聞かされ、初めて行ってみた。
  店主の言葉に違わず、「日三市鉱山のベゼリ石(荒川石)」の現物がいくつか飾ってあり
 手にとって見ても良い、とのありがたい言葉に甘え、明治40年代採集という貴重な標本を手に
 できた。ただ、値段がン万円と私の予算と合わなかったのは、残念でした。
  それでも、山梨県産の鉱物を中心に、20点近くの標本を購入できた。次回も「日本産鉱物50種」を
 求めて、行ってみる積りです。
(2004年5月採集)

2.場所と規模

  JR秋葉原駅電気街側駅前の「ラジオ会館」8階の大ホールが会場です。案内のチラシには
 10時30分開場とあり、その時間に行くと、既に7階まで、開場を待つ行列が伸びていた。
  その数、約100名か。

       
       ラジオ会館        開場を待つ行列

  行列の尻のほうに、千葉県の石友・Yさん一家が、そして昨日遭ったばかりの鉱物同志会の
 Tさんもいる。
  後で本人から聞いたのだが、行列の先頭は千葉県の石友・K君で、「鉱物採集のたび」
 シリーズ5冊揃いを求めて、午前4時から並んでいたとのこと。
  10時30分キッカリに開場。並んでいた人々がドッ、となだれ込む。大ホールとは言っても
 10m×30m程度の部屋に約10店ほどが、標本を所狭しと並べており、立錐の余地もない
 とはこのこと。

    会場

  ここで、売られているのは、次のようなものであった。

(1)アマチュアが自力で採集した国産鉱物や化石
(2)外国(中国など)産の鉱物
(3)文献・図書など

  当然、国産標本のブースが黒山の人だかり、となり、外国産のコーナーは気の毒なくらい
 人気がありません。

3. 購入標本

 3.1「あなたは、おもちですか?」
  「あなたは、おもちですか?」の鉱物50種+番外4種、合わせて54種のうち、持っていないものは
  8種であった。
   「あるかどうか聞いて回るのが早い」と教えていただいたので、「荒川鉱山の三角黄銅鉱」や
  「日三市鉱山のベゼリ石」などをあるかどうか聞いて回った。あるブースのショーケースに
  聞かなくても分かる「日三市鉱山のベゼリ石(荒川石)」が飾ってあるのが目に飛び込んできた。
   店主は、「客寄せです」、と売れるとは思っていない様子。
   店主の、手にとって見ても良い、とのありがたい言葉に甘え、明治40年代採集という貴重な
  標本を手にし、目近に観察でき、その上写真まで撮らせていただいた。

    「日三市鉱山のベゼリ石(荒川石)」

  しかし、カケラのような標本の値段がン万円と私の予算と合わなかったのは、残念でした。
   

 3.2 国産標本
    今回購入したのは、山梨県産を中心に次のような標本であった。

産地 鉱物 価格 
山梨県駒ケ岳(鞍掛・金満寿)鉱山産 灰重石(母岩付き)2000円
山梨県塩山市平澤産 硫黄入り水晶2000円
山梨県黒平寒沢産 煙水晶800円
山梨県黒平産 電気石付き煙水晶1200円
山梨県黒平(?)松木尾根産 水晶800円
埼玉県越生町産 灰クロム柘榴石(大)2000円
埼玉県越生町産 灰クロム柘榴石(小)1000円
岐阜県洞戸鉱山産 a面付き柘榴石)1500円
岐阜県洞戸鉱山産 自然蒼鉛500円
京都府鐘打鉱山産 燐灰石500円
栃木県文挟クレー鉱山産 燐灰石1500円
長野県栗生産 毛鉱入り水晶600円
三重県海山町産 マイクロ松茸水晶2000円
和歌山県大地町産 サニディン500円
宮崎県板屋産 水晶300円
滋賀県石子山産 天河石2000円
岡山県日吉鉱山産 藍銅鉱+硫酸鉛鉱500円
岡山県日吉鉱山産 藍銅鉱500円
兵庫県樺坂鉱山産 サピエリ石500円

   それぞれの標本を買った理由は、あるのですが、言い訳になりますので・・・・・・。

 3.3 文献
    和田維四郎著「日本鉱物標本」などの名著がありましたが、既に持っているので見送り
   ました。今回購入したのは、「ヒスイのはなし」2冊でした。

4.おわりに

(1)既に、全国各地の鉱山の多くが閉山している中で、これだけ採集する人が増えると
   アマチュアでも良い標本を採集する人はいるのだ、と感心してしまいます。
   自力では、採集が難しく、欲しい標本は、躊躇わずに、購入することにしました。
(2)会場で、ある人が呟いていました。
   「こんなに安く買えるのなら、自分で大金掛けて、採集に行くのが馬鹿らしく
    なった・・・・・・・。」
    気持ちは、分からないではありませんが、鉱物採集の目的が鉱物を手に入れるだけ
    だったら、その通りでしょうが、他にも楽しみがある筈です。
(3)帰り道、約20年ぶりに、秋葉原のジャンク店を覗いてみた。かつて、”ラジオ少年”
   (オジサン?)だった頃、足繁く通って、部品を買ったり、その使い方を聞いたり
   しながら、専門でもない電子工学もマスターし、21MHZのSSB(Single Side Band)
   トランシーバを自作するまでに育てていただいた街です。

    電気街

    最近の読売新聞に、秋葉原のジャンク店は、多くの”プロジェクトX"を支えてきたが
   その役目を既に終わろうとしている、とありました。
    その理由は、日本が豊かになり過ぎて、実験用の機器を自分で作る(作れる)研究者や
   エンジニアが激減しているからだそうです。
    日本の高度成長を支えた世代の一員として、複雑な心境です。

5.参考文献 

1)ミネラルマーケット実行委員会:ミネラルマーケット・2004,同委員会,2004年
inserted by FC2 system