2004年5月東京国際ミネラル・フェア

2004年5月東京国際ミネラル・フェア

1.初めに

  東京では、年に2回、国際的なミネラル・ショーが開催されます。その1つである新宿のホテル
 「センチュリーハイアット」で開催された「第17回東京国際ミネラル・フェア【5/21〜5/25】」を
 訪れた。
       
    「センチュリーハイアット」          会場
            2004年東京国際ミネラルフェア

  ミネラル・ショーでは、次のような楽しみがあり、毎回訪れるようにしています。
 (1)国内では、産出しない種類、大きさ、美しさの鉱物を見たり、購入できる。
 (2)国産鉱物の原産地標本や里帰り品を見たり、購入できる。
 (3)外国のディーラと片言の英語で情報交換ができる。
 (4)講演会で新しい知識を仕入れることができる。
 (5)石友と出会って情報や標本の交換ができる。
 (6)文献・切手など鉱物関係資料が入手できる。
    今回も、「あなたは、おもちですか?」の鉱物50種+番外を求めてリストを片手に会場内を
 何回か巡回し、次の3点を購入した。
 「尾平鉱山の硫砒鉄鉱(長柱状結晶)」
 「長野県湯股産球状方解石」
 「山口県六連島産金雲母」
  残り、8点となり、気長に探していこうと考えています。
(2004年5月情報)

2.場所と規模

 JR新宿駅から東京都庁を目指して進むと、その西側にホテル「センチュリーハイアット」があり
毎年この1FとB1Fで開催される。
 案内パンフレットには、内外150社が参加とあり、約半数は外国のディーラです。
 年々お客が増え、22日(土曜日)の開場と同時に訪れたのですが、昼頃には会場は歩くのも
容易でないくらいの混雑ぶりで、蒸し暑さには閉口した。
 展示、即売しているものは、次のようなものがあります。
(1)鉱物
(2)化石
(3)ジェム
(4)隕石
(5)文献・図書・切手

3. 購入標本

3.1「あなたは、おもちですか?」
  「あなたは、おもちですか?」の鉱物50種+番外4種、合わせて54種のうち、持っていないものは
  11種であった。
   今となっては、幻の鉱物と呼ばれ、マーケットで見かけることを期待できないものもあるが
  気長に捜している。
   今回、見かけて値段もマズマズだったので購入したのは、下記の3種であった。
  No47の六連島産・金雲母は、いつも「里帰り標本」を運んでくる、Ms.Hisamiから購入したもので
  ラベルも英語で書かれており、"Mutsurejima"が"Mitsurejima"となっているのもご愛嬌です。

   Ms.Hisamiの店先

No 産地 鉱物
11 大分県尾平鉱山産 硫砒鉄鉱(長柱状結晶)
20 長野県湯股産 方解石(球状)
47 山口県六連島産 金雲母

     
   尾平鉱山・硫砒鉄鉱     湯股産・方解石       六連島産・金雲母

 3.2 購入国産標本
   最近、外国産の大きな美しい結晶に心を惑わされることは少なくなり、国産標本を重点的に
  探している。今回購入したのは、次のような標本であった。

産地 鉱物 価格 
京都・大谷鉱山産 頭付き錫石(10ケ)200円/ケ
宮崎・土呂久鉱山産 鉄斧石付きダンブリ石2000円
岡山・大佐山産 ジルコン1000円

   それぞれの標本を買った理由は、次の通りです。
  (何だか、酒飲みが、あれこれと理屈を付けて、飲んでいる感じですが・・・・)
  @大谷鉱山の錫石の頭付きは、いくつか自力採集しているが、数がまとまれば、展示しても
   迫力が違うと思い。
  Aダンブリ石は、透明・頭付き結晶を持っているが、鉄斧石との組み合わせは珍しいと思い。
  B大佐山のジルコンは、いつか訪れるときの、道しるべに。

4.国産鉱物の原産地標本

   今回目についた国産標本は、次の通りです。
  @山梨県乙女鉱山産日本式双晶(250万円)
  A茨城県栃原金山産自然金(3(5?)万円)

       
     乙女鉱山日本式双晶       栃原金山自然金

    乙女鉱山の日本式双晶は、2003年に何個か自力採集したが、これだけの大きさのものは
   なかなか採集できそうにありません。
    栃原金山の自然金は、もう10年近く前、栃原金山が稼行中の正月休みに行ったところ
   従業員の人から、同じようなものを1桁安く、譲っていただいたことを、懐かしく思っています。

5.講演会

   土曜日(5/22)の講演会は、国際宝石学会議名誉メンバー近山 晶氏による「発掘される
  地球のグリーン」と題して、約1時間にわたって行われた。
   同時開催の、特別展は、近山氏の保有している、「緑色」の鉱物を展示したものであった。

   特別展示会場

  (1)国民性で違う宝石の好み
     欧州・・・・・スカッとして、煌びやかな石(エメラルド、ルビーなど)
     アメリカ・・・スター(スター・サファイアなど)
     日本・中国・・半透明(ひすい、オパールなど)
  (2)着色の原因
    @遷移金属成分(自色)
      鉄礬ザクロ石のように、鉱物を構成している成分、この場合、鉄(Fe)による色が
     でているので、鉱物(宝石)に色名はつけない。
    A遷移金属不純物(他色)
      エメラルドのように、不純物が色をつける。この場合、鉱物(宝石)に色名をつける。
      例:ブルー・サファイア、黄水晶
      但し、ルビーのように、歴史的に、色名をつけないで呼ばれているものを除く。
    B着色中心(Colour Center)
      着色成分として、陶器の釉薬やガラスの添加剤に使われる元素。

元素名元素記号
チタン Ti ブルー
ヴァナジウム V 淡いグリーン
クロム Cr 鮮やかな緑
マンガン Mn ピンク・紫
Fe 濃い緑・赤
コバルト Co ブルー・ピンク
ニッケル Ni 淡い緑色(アップルグリーン)
Cu
  (3)ヒスイの色
      某博物館のヒスイの説明書きに、翡翠の翡は、雄のカワセミの羽の色で、翠は雌の色と
     書かれているが、大きな間違い。カワセミは、雌雄、同じ羽の色をしている。
      翡は、緋の衣にもあるように赤い羽根の色、翠は緑の羽の色を表し、元々、翡翠玉と
     呼ばれていたものが、いつしか”翡翠”となった。

       
           近山氏        聴講する同志会Tさんほか
               講演会風景

6.文献・資料

      今回購入した鉱物関連の文献は、次の2点であった。
   @横山良哲著:新きらめき鉱物・化石ガイド、1785円
     静岡県・三ケ日の歯科医で石友・Yさんが採集した、「和田峠の満バン柘榴石」が
    ”吉野標本”として、掲載されている。

    吉野標本

   A宮島 宏著:とっておきのヒスイの話 -増補改訂版- 、500円
     新鉱物「新潟石」の発見まで、最新の情報を加えてあり、値段も手ごろなので
    石友への贈呈用も含め、まとめ買い。

7.おわりに 

(1)世の中はデフレで物価は下がる傾向にあるのですが、鉱物標本の値段は未だにインフレ
   傾向にあります。
   数年前には、良く探すと、安くて、面白い標本があったのですが、今回は、メッキリ
   少なくなっています。
(2)会場では、GWの採集会で一緒だったOG氏、Y氏、A氏や乙女鉱山の主のM氏など出会い
   産地情報交換
   また、近々訪れる予定の産地の情報をいただいたH氏にも遭い、直接情報をいただき
   感謝しています。
(3)昨年(2003年)の「ミネラル・フェア」では涙を呑んだ「島根県松代鉱山産球状霰石」は
   宮城県の石友・Tさんに恵与いただき、「乙女鉱山の日本式双晶」は自力採集でき、日本産
   鉱物50種+番外4種も、残すところ8種となった。
   物そのものを見かけないのもあり、気長に探すつもりです。

8.参考文献 

1)東京国際ミネラル協会:東京国際ミネラルフェア公式ガイドブック,2004年
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