2002年12月「第11回国際化石鉱物ショー」

2002年12月「第11回国際化石鉱物ショー」

1.初めに

東京では、年に2回、国際的なミネラル・ショーが開催されます。
ミネラル・ショーへ行くと次のような楽しみがあり、毎回訪れています。
(1)国内では、産出しない種類、大きさ、美しさの鉱物を見たり
   購入できる。
(2)国産鉱物の原産地標本や里帰り品を見たり、購入できる。
(3)外国のディーラと片言の英語で情報交換ができる。
(4)講演会で新しい知識を仕入れたり、講師の先生に不明鉱物の鑑定を
   お願いできる。
(5)石友と出会って情報や標本の交換ができる。
(6)特別展示で、世界の逸品を見ることができる。
(7)文献・切手など鉱物関係資料が入手できる。
ミネラル・ショーの1つ、「第11回国際化石鉱物ショー」が、12/13〜16にかけて
池袋の「サンシャインシティ文化会館」で開催されたので、訪れた。
2002年12月国際化石鉱物ショーの会場
(2002年12月情報)

2.場所と規模

JR池袋駅からサンシャインビルを目指して進み、「東急ハンズ」の脇から
一旦地下に降り、「文化会館」を目指す。毎年12月、ここの2Fで開催される。
公式ガイドブックには、国内外約140社が参加とあり、約1/3が外国のディーラです。
私が訪れたのが日曜日だったせいか、それとも不景気のせいか、心なしかお客が
数年前に比べ、少なくなったように感じました。
展示、即売しているものは、次のようなものがあります。「化石鉱物ショー」と
銘打っているように、「化石」がメインのお店も沢山あります。

(1)鉱物
(2)化石
(3)ジェム
(4)隕石
(5)文献・図書・切手

3.ミネラルフェアの楽しみ

3.1 国際フェアならではの展示・即売品
(1)今回、ブラジル産の「藍晶石」の群晶を「箒石(ほうきいし)」と名づけて
販売していたので、「雲根志」の候補として購入した。
箒石(藍晶石)【ブラジル産】
3.2 国産鉱物の原産地標本と里帰り品
国内の鉱山が閉山して久しく、しかもあちこちの産地が採集禁止になって、
良品の採集が難しくなっている昨今、国産標本の人気が高く(ついでに値段も)
国産標本を扱うブースは、比較的人だかりしていました。
(1)日本産鉱物50種
HPに掲載した「日本産鉱物50種」の穴埋めを兼ねて、国産標本を販売している
ブースを重点に物色し、下記の標本を購入した。
気になるお値段は、それぞれ300円〜3,000円で、まずまずでしょう。
@ベータ・フェルグソン石   福島県飯坂町
A自然蒼鉛          兵庫県生野鉱山
Bトパーズ          田上山
Cベスブ石          大分県木浦鉱山
D黄鉄鉱(鏡鉄鉱を伴う)   新潟県赤谷鉱山
E安四面銅鉱         群馬県中丸鉱山
F閃亜鉛鉱          秋田県佐山鉱山

Fの閃亜鉛鉱は、同じ阿仁町でも阿仁鉱山産のものとなっていますが「某社」に
あった阿仁鉱山産の群晶の値段は、22万円もするので、佐山鉱山で勘弁願います。
(2)里帰り標本
Ms.Hisami が持ってくる里帰り品には、良いものが沢山ある。以前、20cmを
超える市ノ川鉱山の輝安鉱や秩父鉱山の紐状自然金などを、今になって思うと
比較的廉く購入した。
今回、乙女鉱山産の日本式双晶が70万円と聞いて、断念。
(最近、標本ラベルと現物の不一致で煩くて・・・・・とのこと。)
3.3 外国のディーラとの情報交換
珍しい色、形の外国産鉱物を見かけると、片言の英語で鉱物名、産地や産状を
聞いています。
最近は、インターネットが普及し、あとあとのコンタクトも取り易くなって
います。
3.4 講演会と不明鉱物鑑定依頼
著書でしか存じ上げない先生方の講演が行われることがあり、鉱物関係の場合、
許可を得て、ビデオを持ち込んで撮影させていただくこともあります。
今回は、加藤 昭先生による「日本産主要マンガン鉱物」と題して講演があり
石友と一緒に受講した。
講演会でのYさん一家
今回は、マンガン鉱物の中で比較的馴染みのある@バラ輝石とAブラウン鉱について
やさしい解説がありました。(小学生の”博士”も理解できたそうです。)
講演の後、小尾八幡山で採集した、「燐灰石?」と期待していた不明鉱物を
ジックリ見て頂き、あっさり「雲母です。」とのご託宣。ガックリです。
3.5 石友と情報や標本交換
(1)メールで連絡を取り合っていた千葉県のTさん、Yさん家族、東京のTさん親子
そして横浜のMさんとお会いできた。
  石友勢ぞろい
私は、京都・奈良や増富鉱山で採集した標本をお渡しし、Mさんから「高根鉱山の
自然蒼鉛・ザバリツキ―石」の良品を頂いた。
(2)千葉県のYさん親子と一緒に、会場を回って、掘り出し物を探したり、
楽しい時間を過ごすことができた。
3.6 特別展示
今回の特別展示は、「夫婦(めおと)水晶の世界 〜世界の日本式双晶〜 」が
テーマで、世界中の日本式双晶100点余りが一堂に展示してあった。
(日本のものが少なく、日本式が泣きます。トホホ・・・・。)
特別展示「日本式双晶」ブース
国産では、「奈留島」産は掃いて捨てるほど見かけますが、「洞戸鉱山」産を目の当たり
するのは初めてなので、写真を撮って来ました。
「洞戸鉱山」産日本式双晶
3.7 文献・切手など鉱物関係資料入手
地方にいると、なかなか入手できない、鉱物関係の文献や資料を入手する機会でも
ある。
加藤先生が今回の講演に合わせて編まれた、「日本産マンガン鉱物」を購入。

5.おわりに 

(1)鉱物のフェアが年々賑やかになっていくのは鉱物ファンとして嬉しい限りです。
(2)世の中はデフレにも拘わらず、鉱物の値段はインフレの傾向があり
少ない予算では、なかなか思ったものを購入できません。
(今回、日本式双晶は特集だったこともあり、1〜2年前の10倍くらいの値段でした。)
しかし、良く探すと安くて面白い標本があり、外国での買い物では当たり前の
「値切り」で、自分でリーゾナブルと思う価格で買えば楽しめます。
(3)HPに掲載した日本産鉱物50種【番外含めて54種】の未収集品を求めて
リスト片手に会場を駆け回り、何とか新たに7種追加できた。
これで、70%が揃ったことになり、一応、一流コレクタの仲間入り(??)。
国産品を扱う業者の方々に聞くと、秋田県日三市鉱山の荒川石は、難関そうです。
(4)「小尾八幡山の燐灰石」には、続報があります。乞う、ご期待。

6.参考文献 

1)プラニー商会:第11回 国際化石鉱物ショー公式ガイドブック,2002年
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