2001年9月福島県石川町の鉱物

2001年9月福島県石川町の鉱物

1.初めに

日本の3大鉱物産地は、「蛭川」「田上山」そして「石川」といわれ、中でも石川地方は、
結晶が大きい事で有名です。
福島県石川町では、1910年代(大正)から昭和40年ころまで、ガラスや陶器の釉薬の
原料になる石英、長石を盛んに採掘した。それらに伴って、電気石、石榴石や
希元素鉱物も採集でき、多くの採集人が集まり、賑わったようです。
しかし、今ではそれらの採掘場のほとんどが、埋立てられたり、水田の下に埋もれ
たりして、実際に採集できる場所は少ないのが実態です。
しかし、最近の宅地開発や道路建設などで、ヒョッコリとペグマタイト脈が顔を
出す事があり、油断ができません。
石川町は、私の寮から約2時間の位置にあり、東北地方の採集の行き帰りに、休憩を兼ねて
立ち寄る事にしています。
今回は、妻と裏磐梯吾妻珪石山採集の行きに立ち寄り、頭付き電気石や鉄バン柘榴石などを
採集した。
(2001年9月採集)

2.産地

常磐道の「那珂IC」から、118号線で北上し、里美村の妙見山を右に見て、福島県の
矢祭町を過ぎ、棚倉町、浅川町を通って石川町に入ります。東北道からのアクセスも良い
と思う。
石川町の珪長石採掘場所は、水郡線の野木沢駅といわき石川駅の周辺に多く、猫啼や
南山形などにもあった。
今回訪れたのは、いつも立ち寄る、118号線沿いの、土取場跡を造成した場所です。

石川町の造成地

3.産状と採集方法

ここは、典型的な花崗岩ペグマタイト脈ですので、文象花崗岩の内側にある長石の
巨晶帯やこの内側の石英帯に各種の鉱物がある。
ここを、タガネとハンマで掘りながら、採集するが、脈に亀裂が走っており、バールなどで
こじりながら掘れば、比較的楽です。
残念ながら、晶洞性ではないので、六角柱状の完全結晶をした水晶は採集できません。

4.産出鉱物

(1) 鉄電気石【Schorl;NaFe3B3Al3(Al3Si6O27)(OH)4】
黒色柱状で縦に条線があるのが特徴です。大きな物は、径10cm、長さ30cmを
超えるものも希ではありませんが、ボロボロなものが多い。
しかし中には、結晶がしっかりし、頭付きのものもあります。
今回、頭付きが4本、内一本は、写真に示すように、長さ、光沢もあり、気に
入っています。
鉄電気石【頭付き 2cm×12cm】
(2) 鉄バン石榴石【Almandite;Fe3Al2(SiO4)3】
ここの鉄バン石榴石は、塊状や結晶していても赤錆びているものが多いのですが、
中には、結晶の形もしっかりして、味わいのあるものがあります。

5.おわりに

(1)目的地へ行く途中での休憩を兼ねた採集ですが、毎回、そこそこの標本が
得られています。
加藤さん親子が7月に訪れて以来、訪れる人も少ないのか、ほとんど手付かずの
脈が残っているので、まだまだ楽しめます。
(2)この近くの切通しや造成地なども歩き回ってみましたが、ペグマタイト脈は
あるのですが、鉱物は見かけませんでした。
でも、「何とかも歩けば、棒(状の大きな結晶)に当る」を信じて、次回も
探してみます。

6.参考文献

1)野木沢宝物探し研究会編:鉱物の里 のぎさわ,ホワイト,1999.11
2)石川町観光課,歴史民俗資料館:石川の鉱物と岩石
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