2001年夏湯沼鉱泉の鉱物

2001年夏湯沼鉱泉の鉱物

1.初めに

2001年の夏休みに兵庫県のNさんご家族を案内したあと、久しぶりに、
湯沼鉱泉に1泊し、周辺で採集したり、観察したりして楽しんだ。
湯沼鉱泉を訪れた最大の目的は、宮城県宮崎鉱山で採集した、大きな石膏の
結晶を展示してもらうため、社長にお渡しすることでした。
夕食前に時間があったので、「角閃石入り水晶」の産地を訪れ、4cm前後の
頭付きを10本ほど採集した。
翌朝、水晶洞を見学したが、展示品も増え、敷地の奥に産出したままの状態で
「石膏」や「渇鉄鉱」を展示するための工事をやっており、近いうちに
オープンすることでしょう。
(2001年8月採集)

2.産地

2.1 「角閃石入り水晶」
場所は、湯沼鉱泉の社長に場所を教えてもらうと良いでしょう。

湯沼の角閃石入り水晶産地

3.産状と採集方法

湯沼鉱泉の社長の話では、ここでは、褐鉄鉱を採掘したそうです。晶洞の水晶を
渇鉄鉱が埋めたようで、水晶が無数に入った渇鉄鉱の大きな塊が転がっています。
板樋で、鉱石を山裾まで落とした際に、こぼれたものが、ズリになっているようです。
落ち葉の下の、赤玉土状のところを、小さなツルハシや熊手で掘り返して、採集します。

4.産出鉱物

(1)角閃石入り水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶は、ほとんどが白色・針状の角閃石が入っています。大きさは、5cmどまりで、
3cmクラスが最も多い。
表面が渇鉄鉱で覆われているものも多いので、頭付きは持ち帰り、蓚酸で処理すれば、
綺麗になります。
酸性雨のせいか、表面の渇鉄鉱が消え、表面がきれいな水晶の単晶や母岩付きもある。
今回、5cm級の頭付き水晶が2本入った大きな渇鉄鉱の塊を採集した。

渇鉄鉱と角閃石入り水晶【母岩20cm】

5.おわりに

(1)ここの角閃石入り水晶は、他の産地には見られないユニークなもので、手軽に採集
できますので、湯沼鉱泉に宿泊した翌朝、朝飯前の採集に持って来いの産地です。
(今回は、夕飯前でした。)
(2)ここの夕食は、川上村ならではのものが味わえます。
岩魚の生造り、岩魚の塩焼き、鹿の刺身、岩茸の酢の物そしてすき焼きと大食漢の私でも
食べきれないほどです。
(3)現在、敷地の奥を掘っており、ここから「石膏」や「渇鉄鉱」が出ています。ここは、
スカルンでCa(カルシュウーム)があり、渇鉄鉱に代表されるように硫化鉱物が酸化して
硫酸イオン(SO4)ができていますので、石膏(CaSO4/2H2O)ができても当然です。
以前、ここの敷地で、透明石膏を採集したことがある。
今回、宮崎鉱山産の石膏のお返しに、ここで産出した、透明石膏の母岩付を社長から
いただいた。

湯沼鉱泉産透明石膏【母岩付き】
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