大正鉱山の錫石2

茨城県大正鉱山の錫石2

1.初めに

茨城県七会村の高取鉱山の西にあった大正鉱山は、自形結晶をした錫石が産出し、
以前、「鉱物同志会」の採集会も催された。
関東以北では、錫石の産地はほとんどなく、しかも母岩つきとなると、全国的に
見ても産地は少ない。
5月連休の最終日に、千葉県のY氏ご一家を高取鉱山や錫高野に案内した道すがら
立ち寄った。30分ほどの短時間でしたがY氏の奥さんが良品を採集し、私も
最大5mmの錫石がビッシリついた母岩付きを何個か採集した。
これに気を良くして、その翌週に再度訪れ、最大1cmの母岩付きを採集できた。
(2001年5月採集)

2.産地

茨城県七会村の水戸茂木線(51号線)から笠間緒川線に入り約1km
行き仏国寺の手前で道幅が狭くなる所に駐車する。
左手の茅(かや)のはえたやぶの中の踏み分け道を道なりに約150m行くと、
左側に白い石英塊が点在する大正鉱山のズリに到着する。
ここから、枯れ沢を登って行くと、一面のずりや坑口が幾つか目に入る。
産地 :ヒノキ林の中のズリ

3.産状と採集方法

錫石は、珪質(砂?)岩に脈状に胚胎した石英脈の空隙に結晶している。
石英脈は、層に水平より、垂直に入っているものに、錫石がきています。
従って、まず石英脈のついているズリ石を探す。表面にも良品があり
ズリを掘って探すと美品を発見できる可能性が高い。
石英脈を割ってみると、脈の空隙に錫石の結晶を発見できることもある。

4.産出鉱物

(1)錫石【Cassiterite:SnO2】
結晶の大きさは、大きいと1cm程度ですが、5mm以下のもののほうが
輝きが強い。時に飴色〜透明の結晶は美しい。

錫石(横10cm)
(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】
層状の石英脈には、小さな透明度の高い水晶がビッシリ生えていて、
美しいものです。Y氏が15cm×20cmの標本を採集した。

5.おわりに 

(1)比較的簡単に良品を採集できますが、ズリの特定の場所での
採集になりますので、場所が分かるまで、手こずるかも知れません。
(2)錫石は、漂砂鉱床の代表とされるように、分離結晶やその
川摺れしたものとして採集するのが一般的で、母岩付きは珍しい。
10年近く前にマレーシアに出張に行った際、現地工場長のMr.Ch'ng P.H が、
片道300kmも車を運転して錫の採れる川に案内してくれた。そこで、
現地の人の指導で、大きな木皿を使ってパンニングして、砂錫を採集したことを、
懐かしく思い出しています。
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