2001年初冬の採集会-梓(甲武信)鉱山の鉱物-

2001年初冬の採集会-梓(甲武信)鉱山の鉱物-

1.初めに

長野県佐久郡川上村にある梓(甲武信)(こぶし)鉱山は、日下先生の
「鉱物採集フィールドガイド」にも取り上げられている通り、水晶の日本式双晶、
透明な方解石や柘榴石の巨晶をはじめ、各種の鉱物が採集できる。
しかし、ふもと一帯がきのこ山で、その権利を地元の某氏が買ったため、
鉱物採集が目的でも「入山禁止」になっていたのですが、きのこ山の権利を
「湯沼鉱泉」の社長が買い戻し、宿泊客は無料で、宿泊しない人は1人当り1000円
(子供500円)を払えば、入山できるようになりました
今回、私のHPが縁で知り合った、東京に住むMさんと静岡県に住むYさん、
Oさんの4人で初雪の積もる梓(甲武信)鉱山で代表的な鉱物を一通り採集でき
ました。特にベスブ石について報告します。
雪の梓鉱山採集【MさんとYさん】
(2001年12月採集)

2.産地

141号線を佐久に向かって走り、JR最高地点の先で「川上村」の表示に従い右折し、
三国峠に向かって走る。「梓川」の手前で右折し、町田市の自然休暇村を過ぎ、
橋の手前の路肩に駐車する。
登り口には、「入山禁止」の標識が新たに付け加えられています。
梓鉱山「入山禁止」の標識
一般的には、ここから尾根を目指してまっすぐに登って行き、大ズリ→緑水晶坑
→ベスブ露頭→松茸水晶ズリ→ベスブ石露頭(坑道?)→柱石露頭→緑水晶ズリ
→灰重石坑道の順で、途中、途中で採集しながら約4〜5時間かけて灰重石坑道
まで登るのですが、今回は積雪もあり、私がその日に茨城まで帰ることもあり、
下山開始を14時と決めていたため、緑水晶ズリどまりでした。
水晶坑道から上に登ったテラス(平坦部)に、上のピカピカベスブ露頭から
落とした分離結晶がある。
ここから左上に約150m行くと一面開拓畑状態の場所があり、松茸水晶の
産地です。
ここから左上に約150m行くと昔のベスブ石の露頭を掘り込んだ坑道がある。

3.産状と採集方法

ここには、ペグマタイト脈とスカルン鉱床がある。ペグマタイトの
代表である水晶からスカルンの代表の灰重石まで幅広い産出鉱物が採集でき
何回訪山しても、その度に新しい発見があって飽きない。
また、ここは、他の産地と違って、ズリ以外に露頭から直接採集できる
場所が多く、新鮮で大きな標本が採集できる。
ズリでは、ツルハシやクマ手を使って土砂を崩しながら、結晶を探します。
露頭では、大き目(1.5kg)のハンマとタガネで、目的の鉱物の周りを
ちょっと大きめにかきとります。
ベスブ坑道

4.産出鉱物

(1)ベスブ石【Vesuvianite:Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4】
ベスブ石

5.おわりに

(1)ベスブ石の露頭(坑道)は、10年以上前に川端下のズリや坑道への行き
帰りに立ち寄ったことがありました。大きな塊が採集できるのですが、結晶が
ポロポロと脱落してしまうのが難点でした。
約10年ぶりに訪れてみると、露頭は深さ5mほどの坑道に変身していました。
(2)初雪の積もる梓(甲武信)鉱山のズリ・坑道で2001年の長野県の採集納めを
することができました。
案内していただいたMさんに感謝しています。
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