2001年11月北関東鉱物採集行

2001年11月北関東鉱物採集行

1.初めに

京都に住むN氏は、10年ほど前に、私が某鉱物倶楽部に所属して
いた頃に知り合い、年齢や採集歴も同じくらいということもあり、
それ以来親しくさせて頂いている。
N氏が友人のY氏を連れて、北関東の鉱物産地を案内して欲しいとの
ことで11月23日〜25日の3連休を使って、妻と一緒に色々な産地を
案内した。
栃木県足尾町・・・・・・久良沢(きゅうらさわ)鉱山
栃木県塩谷郡・・・・・・野州鉱山
福島県須賀川市<泊>
福島県玉川町・・・・・・川辺鉱山
福島県石川町・・・・・・黒江鉱山
福島県石川町・・・・・・塩の平
福島県石川町・・・・・・石川町民俗資料館
福島県塙町・・・・・・・矢塚の緑簾石
茨城県里美村・・・・・・妙見山
茨城県ひたちなか市<泊>
茨城県七会村・・・・・・高取鉱山
茨城県七会村・・・・・・大正鉱山
茨城県八郷町・・・・・・仏生寺
産地によって当り、外れが大きかったのですが、北関東の産地をおおよそ
理解していただいたと思います。
(2001年11月採集)

2.第1日目

N氏一行は、京都始発の新幹線を乗り継いで、10時過ぎに東北新幹線の小山駅に
到着する。
改札口が3ケ所あるが、待ち合わせの場所を決めておかなかったため、出会うまで
20分ほど掛かる。
N氏の希望であった久良沢鉱山にまず向かう。いつも足尾側から回り、小山からは
行ったことがないので、道に迷う。(カーナビを買うとますます馬鹿になるし・・・)
12時過ぎに、到着。先客2名がいる。
ズリの末端に取り付いて、真っ黒いマンガン鉱石を片っ端から割る。
久良沢鉱山ズリでの採集
「バラ輝」や「テフロ」などはあるが、お目当てのマンガンパイロスマライトと
マンガン柘榴石が出てこない。
それでも、N氏がマンガンパイロスマライトらしき標本を採集する。
先客2名は、某鉱物同志会のメンバで、私のHPを見て、野州鉱山に紫水晶を採集に
行ったが、場所がわからず、仕方なく久良沢鉱山に来たとのこと。
我々が野州鉱山に行くと聞き、付いて来ることになる。
足尾から日光の町を抜け、今市を過ぎ、塩谷郡に入り、野州鉱山への林道を進むと
工事中で、そこから歩き、山を登り200m程で、鉱山の入口に着く。
2人曰く、「こりゃ〜、案内してもらわないと分からない場所だ」
HPに掲載したKさんが割っていた紫水晶の脈の入った大岩は、割られて欠片になっている。
各自ここぞと思われる場所に展開して、採集する。
野州鉱山ズリでの採集
日も暮れ、薄暗くなったので、引き上げる。
ここでは、Yさんが手のひら大の塊に、濃い紫の石英脈が入り、晶洞部分に紫水晶の
結晶がついた佳品を採集していたことが後日判明。
国道4号に出て、北上、那須ICから東北道に入り、須賀川でおり、ホテルへ向かう。
食事をしながら、明日の作戦を練り、疲れもあり、早めにベッドへ。

3.第2日目

6時30分にホテルをでる。外は薄暗く、しかも車の窓ガラスは、完全結氷!!
途中のコンビニで朝食を済ませ、玉川村の川辺鉱山に向かう。
ここでは、時間を節約するため、フルイ掛けした鉱石をダンボールに詰めて、さっさと
引き上げる。
石川町に入り、黒江鉱山では、ズリから鉄バン柘榴石、雲母などを採集し、早々に引き上げ。
塩の平では、露頭を深くほり、ペグマタイト脈を追っかけ、電気石を採集。直径10cm
近いものがあるが、残念ながら「ボロボロ」。
塩の平での採集
石英脈の中にあるものは、表面も光沢があり、結晶もシッカリしている。
ここでも、Yさんが、直径3cm長さ10cmを越える頭付き電気石をゲット。
次に、石川町民俗資料館の収蔵鉱物を拝観する。見事な標本が多い。
N氏の最大の目的である、矢塚に急ぐべく、古殿町から鮫川村に入った矢先、老夫婦の
車が路肩に停まって、難儀している様子。聞くと、後輪が走行中に外れたとのこと。
走行中タイヤが外れた話は聞くが、目の当たりにするのは初めて。
ナットがなくなっているので、他の3輪から1ケずつはずして、3ケで締める。
12時前に矢塚に着く。先客1名、2週間ほど前に、ここを案内したひたちなか市のKさん。
透明頭付を求めて、坑道の壁から晶洞を探すも、出てこない。必ず探せると思っていたがダメ。
大きいが不透明な、結晶を探しただけ。
Yさんが行ってみたいという妙見山に向かう。林道を抜け、30分ほどで着く。そこで、我々を
待っていたのは、無情な「持出禁止」の標識。貴重なリチウムペグマタイト鉱物の持ち出しを
禁止するため、地元が建てたようです。
妙見山「持出禁止」の表示
仕方なく、ペグマタイトの位置や貯鉱場跡などを案内するにとどめる。
日もトップリ暮れ、今夜の宿のひたちなか市に向かう。ホテルに入る前に、私の寮に立ち寄り
川辺鉱山の鉱石をバケツ7分目位入れ、泥水が出なくなるまで洗ってホテルに持ち込む。
私の招待ディナーでは、2人にワインやテーブルマジックなどを楽しんでもらう。
夕食後、部屋に帰って、川辺鉱山のズリ石から、モナズ石探しの要領を説明する。
バケツ1杯から、何とか1ケ探し出す。

4.第3日目

いよいよ最終日。
ホテルで朝食の後、N氏は宅配便で、昨日までの採集標本を自宅に送る。第4日曜に
開催される骨董市をのぞき、甘酒で温まり、最初の産地高取鉱山へ向かう。
鉱山事務所脇で入場の許可をいただき、ズリに向かい、採集。
高取鉱山ズリ
30分ほどの採集で、2mm位の庇面式トパーズのついた標本を採集。
七会村大正鉱山へ向かう。最近だれか来たらしく、掘り込まれている。
大正鉱山ズリ
まず、表面採集で、石英の表面にスズ石のついた標本を探す。ここでも、Yさんが、
手のひらサイズで頭付き水晶が全面に付いた母岩の上に輝きのある最大5mmのスズ石
結晶がついた良品を採集。N氏、残念がる。
12時近くになり、最後の産地である仏生寺へ向かう。途中、コンビニでYさんが、
宅配便で標本を自宅に送る。ズシリと重たく、ダンボールを2重にして梱包。
仏生寺は、10年程前に緑柱石を産したところで、私も母岩つきと分離結晶を採集したが
10年振りの訪問となる。

左:仏生寺坑道      右:石英脈の採掘
坑道の入口天井に緑柱石を含む煙石英の脈が走っていたが、ほとんど残っていない。
抜け殻はあるものの、ベリルはなし。その真下の土砂を篩って見たが、カケラさえも出てこない。
既に、絶産か。
筑波山の尾根を越え、下館を通り、小山駅に17時到着。2人と別れ、帰途についた。

5.おわりに

あわただしい、駆け足での北関東の産地めぐりでした。、
産地によって、当り外れがありましたが、そこそこ楽しんでいただけたと思います。
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