山梨県竹森の自然硫黄

山梨県竹森の自然硫黄

1.初めに

山梨県塩山市竹森は、「ススキ入り水晶」はじめ、各種の鉱物が採集でき、
しかも、東京からも近く、鉱物採集に訪れる人が後を絶ちません。
私の妻の友人から、最近、ここも立入り禁止になったとの情報があり、
様子見をかねて1年ぶりに訪れた。
案の定、水晶山案内看板の脇に「無断で水晶山に入る事禁ず   山主」の表示が
追加してありました。
竹森水晶山の案内板
看板に向かって右後ろの山の持主(雨宮 愼さん)宅に挨拶に行くと、運良く
在宅で快く入山を許可してくれました。
帰りにお礼に伺うと、奥さんがおられて、私のように挨拶に来る人でなく、
こない人のための表示だとのこと。
挨拶来た人には、
(1)山を荒らさない。
(2)怪我をしないように
と、お願いするそうです。
来てほしくないのが本音なのだがインターネットのHPの地図を見て日本全国から
来るので、仕様がないと言っておられました。
私は、このように産地情報をHPに掲載することで、産地を荒らす片棒を担いでいる
ような後ろめたさを少し感じます。
でも、私のHPを見て産地にいく人は、山を荒らすことは無いだろうと信じています。
今回、ススキ入水晶、鋭錐石などのほか「自然硫黄」の自形結晶を採集できました。
(2001年10月採集)

2.産地

竹森は、「鉱物採集フィールドガイド」などにも、詳しく地図が掲載されており
改めて説明は不要でしょう。
小倉山の南斜面(前山)がいま掘り込まれて、露頭も出ていますので、ここで
比較的良品を採集出来ます。
竹森の露頭

3.産状と採集方法

露頭や大きな転石を叩き、晶洞から母岩付きやガマ粘土の中から分離結晶を探します。
表面採集では、頭付の2cmを超えるものを探すのは、絶望的です。
少し深く(1m弱)ズリを掘れば、3〜5cmのものも採集できますが、
手の切れるような稜を持つ、ガマ出し品にはかないません。

4.産出鉱物

(1)ススキ入り水晶【Rock Crystal with inclusion;SiO2】
水晶の中に、針状の苦土電気が入った水晶は、透明なものより多いくらいです。
母岩付きと単晶と採集できます。
単晶では、長さ 7cmのものを筆頭に5cmクラスを数本採集できました。
(2)星入り水晶【Rock Crystal with star;SiO2】
水晶の中に、白雲母が入った星入り水晶も比較的多く見られます。
この他、緑泥石が入った「マリモ入り状」なども採集できます。
(3)自然硫黄【Native Sulfur;S】
今回、石英の晶洞の中に、自形結晶をした自然硫黄を採集した。火山地帯なら硫黄は
極ありふれた鉱物ですが、石英脈の中の硫黄の自形結晶を採集したのは初めてです。
このほか、石英の空隙を充填する形のレモンイエロー色自然硫黄を数個体採集した。
火山性のものと違い、ガラスを思わせる緻密な結晶が特徴です。

竹森の自然硫黄  右:自形結晶  中:空隙を充填  右:分離結晶
(4)鋭錐石【Anatase;TiO2】
水晶の表面や中や晶洞の雲母に貫入する形で、1mm程度の細長い八面体結晶が
見られる。これに伴って、六角板状の板チタン石も見られる事がある。
鋭錐石や板チタン石は、玉宮神社近くのズリの米水晶の間からの方が、見つけ易い。
竹森の鋭錐石

5.おわりに

(1) 竹森が採集禁止と聞いて心配したのですが、雨宮さんのご好意で幸い
まだ採集は可能です。
しかし、山の持ち主の雨宮さんは、山が荒らされ迷惑しておられます。
この産地がいつまでも採集できるよう、次のことをみんなで守りましょう。
a)採集前に入山許可をいただく。
b)立ち木を倒したり、山を荒らさない。
c)ゴミは散らかさず、必ず持ち帰る。
d)採集で怪我をしない。
e)採集が終わったら、お礼の挨拶。
(2)昨年今ごろの竹森での採集は、土砂降りの雨で、良品も採集できず心身ともに
冷え切ってしまい、採集の後、塩山駅北西にある塩山温泉街にある「笹本屋温泉」で
入浴、食事して帰りました。
今回も、帰りに立ち寄りました。ここは、創業100年を誇り、地元の方に伺うと、
塩山温泉街でも一番の泉質だとのこと。
アルカリ温泉で、入浴している間に、皮膚がツルツルの滑らかになるのが分かり、
温まります。
入浴後に、山梨名物の「ホウトウ」を食べ、心身ともに温まって帰途については
いかがでしょう。
入浴(400円)はいつでもできますが、食事はあらかじめ電話したほうが良いでしょう。
TEL:0553-33-2646
篠本屋の入浴風景【パンフレットから引用:女性はいません】
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