2001年秋の採集会-湯沼の角閃石入り水晶-

2001年秋の採集会-湯沼の角閃石入り水晶-

1.初めに

梓(甲武信)鉱山や小川山に行く途中、右手に「天然水晶洞」の看板が出て
います。ここが、ハート形草入り日本式双晶で有名な湯沼鉱泉です。
2001年のゴールデンウイークにここをベースに採集会を開催した際、
ここの鉱物好きな社長(大将と呼ぶ人もいる)に教えていただいた角閃石入り
水晶の産地を紹介します。
GWの時は、前日の疲れのせいか、爆睡状態にあった柳生さん一家と
加藤さん親子に声を掛けなかったため、心残りの産地だったようで、今回の
コースに加えました。
この時期の日の出は6時ごろですので、6時に湯沼鉱泉を出て、朝食ができる
8時までの、文字どおり「朝飯前」の採集でした。
(2001年10月採集)

2.産地

川上村を秩父方面に向かって走ると、右手に「天然水晶洞」の看板が出ています。
この看板に従って、坂道を登り、突き当たりを右折し、約150m先の2又を左に
進むと、湯沼鉱泉に着きます。
ここで、社長に場所を教えてもらうと良いでしょう。
社長は、外見や言葉使いに似ず(失礼!)、シャイな方で、気に入った(鉱物が好きで、
産地を大事にする)方には教えてくれるはずです。
湯沼の角閃石入り水晶産地【カラマツ林の中にある】

3.産状と採集方法

湯沼鉱泉の社長の話では、ここでは、褐鉄鉱を採掘したそうです。晶洞の水晶を
褐鉄鉱が埋めたようで、水晶が無数に入った褐鉄鉱の大きな塊が転がっています。
板樋で、鉱石を山裾まで落とした際に、こぼれたものが、ズリになっているようです。
落ち葉の下の、赤玉土状のところを、小さなツルハシや熊手で掘り返して、採集します。
今回の採集風景の写真から分かるように、斜面の一部に帯状で産出します。
湯沼の採集風景

4.産出鉱物

(1)角閃石入り水晶【Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶は、ほとんどが白色・針状の角閃石が入っています。大きさは、5cmどまりで、
3cmクラスが最も多い。
表面が褐鉄鉱で覆われているものも多いので、頭付きは持ち帰り、蓚酸で処理すれば、
綺麗になります。【私のHP,「水晶のクリーニング」参照】

角閃石入り水晶 上:洗浄前【5cm】下:洗浄したもの

5.おわりに

(1)ここの角閃石入り水晶は、他の産地には見られないユニークなもので、
手軽に採集できますので、湯沼鉱泉に宿泊した翌朝、朝飯前の採集に持って来いです。
(2)しかし、水晶の量は有限ですので、次世代の方にも残しておくよう、乱獲は、
厳に慎みましょう。
(3)日の出とともに鉱物採集に出かけ、新鮮な空気を吸いながら、ふと遠くの
金色の針のようなカラマツの林を眺めると、会社でのゴトゴタを忘れる
至福のひと時です。

湯沼周辺【紅(黄)葉したカラマツ林が美しい】
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